砂よ土よ、令嬢レイナの祈り
早朝、私ははやる気持ちで屋敷の外に出た。
まだ、明けきれず、あたりは薄暗かったが、庭を見回した。
おじい様から送られた野菜の苗はしっかり土に根づいていた。
ここで私は気が付いた、しっかり庭づくりを計画的にしないと、収穫の時大変になる。
屋敷の顔となる、前庭だ。 ごちゃごちゃに野菜がなっているのも、ちょっとへんか。
まあ、貴族を呼んで、パーティなんかしないと思うから、どうでもいいか? とも思うけど……。
庭の中央には大きな通路をもうけ、野菜の種類はきれいにわけて、植える。脇に路をもうけ、野菜を収穫しやすくなる。屋敷の前には、エントランスをもうけ、たくさんのお母様が好きな花を植える。ガーデンで花を愛でながら、家族でティーパーティーも素敵ね、などとあれこれ考えていると、メリーとマークが馬車で庭に入ってきた。
メリーもマークも昨日植えた苗を確認して、嬉しそうだった。
私は土魔法だから、植物を増やすことは出来ないので、すこしづつ、野菜畑を大きくしているしかないね。 馬の世話をする場所も新しくしたいし、何より馬は土や草の上が良いよね。
今は、マークが井戸から水を汲んできて馬に飲ませたり、お父様が水をだしてのませているけど、お父様の馬お母様の馬もいるし、もう少し馬が増えたら、もう一つ庭を出たところに、井戸がほしいな、と思った。 やはり車椅子でも入れる、おじいさまのお庭を参考にさせてもらおうと、思った。
そう言えば、おじいさまの庭には、入口に野菜の収穫を収納する大きな倉庫があったな。
やはり、倉庫は裏庭ではなく、前の庭の隅の方にでもあったほうが、良いのかな。 村の人達が野菜を取りに来るにしても、庭の裏の倉庫では不便だものね。 植物に詳しい人が近くにいると嬉しいのだけどね。 私の愛しの砂よ、私に力を貸しておくれ、この屋敷の庭の周りの砂よ、この領土の三分の一の土地を土に返しておくれ、少し蔓延りすぎだよ。 もし、砂の姿でいたいなら、この庭付近からは立ち退いて、砂の勇者として、子爵領の領土を守っておくれ、もし元の土に戻りたいなら、この庭付近の土になって穏やかに過ごしておくれ、と砂に語りかけた。 マークは隣の姉に「おねえさん、砂って意思って持ってるの?」と聞いたがメリーはさぁ、と首を傾げて答えていたけどね。 続いて、大きな声で土よ、植物が立派に育つ豊かな土になっておくれ、もっとお仲間を呼んでおくれ、と土に祈った。
そした最後に(砂よ土よ、よろしくお願いします、私に美味しい生活を与えてください)と丁重に願った。
庭でいろいろ叫んでいるうちに、お父様とお母様と兄様も庭に出てきた。
やはり、3人とも野菜の苗がどうなったのか、気になっていたみたい。
兄には「朝早くから元気だね元気が良すぎる」と笑われた。 私は昨日父様から、いただいた大きな土の魔石2つを庭の中央に置き、土よ増えよ、と高らかに呪文を唱えた。
私の手から放射線状の光が、朝日に輝き、家族の前で、たくさんの土がよみがえった。
その光景を見た皆は、奇跡のように神に祈った。




