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子爵領の庭で、、、石屋マチスの見聞録

朝から私は張り切っていた。昨日の午後はたくさん体を休めたしね。

今日の朝の打ち合わせで、お兄様は館に残り、午後はこの間伯爵領で手に入れた野菜、魔肉などを配達に行く。  このところ、良質な魔獣の肉、野菜がたくさん届けられたので、村の人も喜んでくれると思う。

お兄様の滑らかな陶器のような、輝く顔を見て、天使のようだと、拝んでくれるかな?

お兄様、ごめんなさい、本当のシンドバッドは顔色が浅黒い砂漠の盗賊なんです。 王子様ではありません。

でも乙女のハートを盗むのが上手な、モテモテの盗賊なので、許してね。

私は裏庭でもう少し土をだしたら、土を表の庭に移動させ、魔石を使い、さらに多くの土を呼び出す。


お父様、お母様、お兄様はすでに裏庭で作業をしていた。  私が行ったときには、綺麗な平らな四角い石がたくさん、庭の隅に整理されてた。   

庭も三分の一ほどは、土が露出していた。

父と母は、討伐に出たが、私は兄の前で、土魔法を得意げに披露した。

まずは、女神様と風神さまに祈りをささげ、お兄様、見ててね。私の土魔法。

出でよ、土。 地底の底からよみがえれ?   土はみるみる、盛り上がり、裏の庭にいっぱいでた。

愛しの土よ、前庭への通路、前庭に移動。 

私が呪文を唱えると、土は通路、前庭に移動した。  私の姿を兄は茫然と見ていたが、私は兄に昨日の土魔石を持ってくるようお願いした。   兄が石を取りに行った間に私は同じ呪文を繰り返した。


裏庭は三分の一は石の大きなブロック、三分の一は少し背が低くなった岩盤、三分の一は土、に変わった。   私が、土を出してる間に。今まで動かせなかった金と銀の大きな鉱石はお兄様がせっせと運んで、風のシールドに入れてた。 我が家の大切なお宝だものね。 

さすがお宝泥棒、シンドバッド様。抜け目ない。

  お兄様、このミスリルの鉱石で素晴らしい剣、防具を作ってね。


兄が風のシールドの中に土魔法の魔石の入った魔石を持って来てくれたので、私は裏庭と表庭の通路に魔石を撒き、土よ、よみがえれと呪文をとなえた。  少し砂利交じりの土は完全に土に戻った。

ここにあった砂が土に変わったのかな? それとも、逃げた?  

お兄様は嬉しそうに土を鑑定してくれた。  良い土だ。 砂は完全に土に変わった。とにっこり私に笑ってくれた。   良かった、さあ前の庭にもやってみましょう。

お父様もお母様も戻ってきたら、きっと喜んでくれる。        私は前の庭に急いだ。


前の庭の井戸の周りにある土にバケツ一杯の魔石を撒き、土よ増えよと呪文を唱えると、土はもりもり盛り上がり、やがて広がっていた。

ここにメリーとマークがいたら、手を叩いてまた喜んでくれたかな?

土が土仲間を呼んだような、そんな感覚だった。  私は残りの魔石をおじいさまがわずかに残してくれた場所に撒き、同じ呪文を何べんか唱えた。  その場所からジワリと土はよみがえり、私はフゥツと息を吐いた。  お兄様は無邪気に手を叩いていた。

お兄様が今日は石屋のマチスさんがくるので、レイナも一緒に話を聞いてほしいと言われたので、早めに館に入り、メリーとマークの帰りをまった。  お兄様、まだまだ、土魔石が必要です。

このぶんじゃぁ、あとバケツ10杯位、あと、野菜の苗も、午後、マチスさんを送る馬車に乗って、おじい様のところに行きたいと、兄に言ってみた。 お兄様は、とうとう、我が家の庭で野菜がみられるのか?

と嬉しそうに私に微笑んだ。  


恐ろしく美しい髪と肌をした、子爵領と使いという姉弟が馬車で迎えに来て、マチスはその馬車に乗り込んだ。

馬車は小さな男の子が上手く操り、砂漠を軽快に走っていた。   そういえば、ありがたいことに、毎春恒例の砂漠のブリザードが最近ないな。  マチスの街にも最近砂嵐の被害がない。

砂漠に暴風が吹けば、こんな小さな馬車ひとたまりもない。などと、思いながら、隣にいる美しい娘メリーに、こんな砂漠の中に岩盤が大量に出たというのは、本当のことなんですか?

と尋ねると、はい、お嬢様が、出されました。と俄かには、信じられないことを、答えた。

マチスはそのまま、黙った。 こんな砂の中、石ころなんて一つもありゃしねえ、と心で思った。

砂の砂漠の中、子爵領主の館が蜃気楼のように立っていた。  

馬車が着き、美しい娘がまずは館にどうぞ、といって、館に案内してくれた。

庭は途方もなく広かったが、驚いたことに、土があちこちに盛り出ていた。

この館には確かに土があった。  マチスは、その庭をキョロキョロ見ながら、館に入っていった。

玄関で、昨日の美しい少年が、笑顔で私を迎えてくれ、そのまま居間に通された。


居間の飾り棚には金色の女神像、金の壺など、豪華な調度品が置かれてあった。

いらっしゃいませ、と、これまた可愛い、兄によく似た美しい少女が挨拶して、兄のとなりの座った。

マチスは2人のその白磁のような肌とツヤツヤ輝く髪をまじまじみてしまった。  世の中にこんな美しい人形のような、人間がいるのだろうか?   そういえば、馬車で迎えに来てくれた、姉、弟もきれいだったが、この屋敷には美しい人が多いのだろうか? 

先ほど馬車で一緒だった、メイドと思われる娘が皆にお茶と菓子を持って来てくれた。

喉が渇いていたので、私はお茶を飲み、菓子を食べた。

兄が席をはずし、黒い石と白い石、砂鉄を持ってきた。

昨日見せてもらったものと同じものだ。これらはすべて建築資材として使える、と私は言った。

黒い石はレンガの材料に、白い石と砂鉄は石材をくっ付ける、材料になると私は続けざまに言った。

肝心な石材は?  私は、はやる心をおさえきれず、たずねた。

あとで、裏庭にご案内いたします。 その前にと天使のような、少女は私に言った。

この黒い色の石はレンガより薄く石材につけて、綺麗に外見を飾る、タイルというものにならないでしょか?   タイル? 聞いたことのない名だが、小さく、薄くすることは可能だと答えた。

レンガとは頁岩を粉々に粉砕して、水を加え、型に入れ、乾かし、それを高熱で焼く技術だ。

石屋の私に出来るかどうか、やったことはないが、息子達ならできるかもしれない。

タイルというのも作るのが可能かもしれない。  私は熱心にメモをとる少女を見ながら、そう思った。

もう一杯お茶を頂いた後、私は当主の息子、ジェラルド様に連れられ、驚愕の裏庭に出た。

そこには、庭の三分の一ほどある場所に渦高く四角い石が積まれていた。

嬉しくて触るると、表面がつるつるした美しい大きな四角い石の塊だった。


これなら、これを積んで、立派な家が作れる、私は今まで眠っていた情熱で体の中が熱くなった。



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