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不遇王子は脳筋になりたい  作者: 田中恵人
第一章 学園生活リスタート
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第28話 生徒会長からの頼み

 勢いよく入った生徒会室には、山積みの書類と円卓を囲む生徒会のメンバーの姿があった。そして真ん中には、生徒会長にして僕の兄さんが訝しそうにこちらを見つめていた。

 

 「……サウザー。一体なんの用だ?」 

 「エルシオン・フォン・クルーガーの忘れ物を届けに来ました。ほらよ」

 僕は肩に掛けていたエルシオンのカバンを彼のそばに投げ飛ばす。慌ててキャッチし、中身をぶちまけずに済んだことに安堵していると、ドアの外からロイドが何かを伝えようとしているのが見えた。

 そういえば、エルが呼ばれた理由を確かめに来たんだった。どうせならここで聞いてしまおう。

 

 「ああ、そうだ。エルが呼ばれてたのって、どういう案件だったの?」

 「部外者に話すことはない……と言いたい所だが、まあいい。座れ。後ろの奴もな」

 兄さんの指示に従い、来客用のソファに座り込む。厳かな雰囲気にのまれたロイドは縮こまっていたが、僕は堂々と背を預け、出された紅茶を無言で隣にスライドする。紅茶飲むと吐いちゃうからね。

 程なくして、兄さんが書類とペンを持ち、仕事をしながらやってきた。

 

 「手短に話す。旧校舎に幽霊が出たと報告があった。あそこはオカルト研究会の管轄だが、手に負えなくなって生徒会に陳情が届いた」

 「ふむ、よければ私(・)たちが調査しましょうか?今日の放課後にでも行きますよ」

 「……話が早いな。なら放課後、旧校舎前で待機してくれ。案内役を付かせよう」

 「決まりですね。では、失礼します」

 2杯の紅茶を何とか飲み干したロイドを連れ、生徒会室を後にする。他のメンバーから針を刺すような視線を向けられるが、意に介さずスルーする。ドアを閉めた直後、緊張が解けた様子のロイドを連れ、次の授業へと移動した。


 「スムーズに話が進んでよかったよ。ロイド、行けるかい?」

 「――もちろんっス!にしても、短いやりとりだったっスね」

 「そりゃあ、忙しそうだったから」

 その後授業を終え放課後。僕とロイド、話を聞いてついてきたセシリアの3人で旧校舎に向かう。空が夕焼けに染まり暗くなり始めているため、寄り道してランタンや装備を借り、古びた門の前まで来た。

 

 「おーい!こっちですよー!」

 施錠された門の前には、どこかで見たような桃髪の女子生徒が手を振っていた。


 「貴女が案内人ですの?」

 「はい!ルミナス・トワイライトです!よろしくお願いします!」

 人懐っこい笑顔を浮かべセシリアの手を取りブンブンと上下に振る。とても王族貴族が通う学園の生徒とは思えない態度を指摘すべく、手をセシリアから引きはがした。

 

 「どこの家だが知らないが、礼儀がなってないな。いいか?軽率にベタベタ近づくんじゃない。初対面の相手には一定の距離を保つんだよ」

 「は、はい……すみませんでした」

 「いえいえ。以後気を付けてくださいね」

 「わかりました!」

 入る前に簡単な自己紹介を済ませ、旧校舎の鍵を開けた。太陽が沈み夜の帳が旧校舎を包み込む中、僕たちは足を踏み入れた。

 

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