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不遇王子は脳筋になりたい  作者: 田中恵人
第一章 学園生活リスタート
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第23話 ゴール 

 ヤタガラスの到着を待ち、食事を終えた頃には、すっかり夜になってしまった。今日はここでキャンプするか、そう思っていた所、彼女が立ち上がる。

 

 「すぐそこに教員のテントがあった。今日の内にゴールすんぞ」

 「マジっスか⁉いやでも、この暗さじゃ何も見えないっスよ」

 「魔法を当てるのも難しい。危険ではないか?」

 「僕はヤタガラスを信じるよ。君は夜目が効くんだろ?」

 「もちろん。それじゃ行くぞ」

 光源一つもない暗闇の中、手をつないで森を進む。正直この中を進むとか恐怖でしかない。特にエルシオンは忙しなく辺りを見渡し、怯えてしまっている。

 夜になると魔物が活性化すると聞いているが、幸い遭遇することはなかった。慎重に、恐る恐る移動すること1時間、ついに開けた空間に建てられたキャンプ地にたどり着いた。


 「――ここが、演習の終点」

 「いよーっし、ゴールだぁぁぁぁ!」

 「ああ……光が、人がいる……!」

 「先生、連れてきたぜ」

 教員達は夜中に現れた僕たちを快く受け入れてくれた。演習達成を報告し、今日のところはこの地に一泊することになった。

 見張りの心配もなくぐっすり眠り、次の日。料理好きな教員から朝食を振る舞ってもらい、一息つく。


 「美味しかったね。……それじゃ、この後どうする?」

 ダンジョン演習2日目、定められた期間は3日間なので余裕がある。故に僕たちには2つの選択肢が存在する。帰還するか、探索を続けるか。できれば探索を続行しレベリングしたいところだが、他3人はどうだろう。


 「……オレ、ダンジョンに籠りたいっス。」

 「ほう、その心は?」

 「深い理由はないっス。ただ――強くなりたい」

 「僕も同じ考えだよ。ヤタガラスは自動的についてくるし、エルはどうしたい?」

 「はぁ……俺も同行します。わざわざ帰る必要もないですし」

 全会一致でダンジョンに残ることが決まった。第4層への階段を守っている教員に声をかけ、進みたい旨を伝えると、ヤタガラスの方を見て渋々道を開けてくれた。

 突入する前に、ドロップアイテムを買い取ってもらえるか確認し、冒険者ギルドより多少安価でよければ換金してもらえることになった。どこまで潜るかわからない以上、なるべく多くのアイテムを拾えるようにした方がいい。

 カブトムシの甲殻に角、その他の魔石は金貨6枚と交換された。浅層、しかもたった1日でここまで稼げるとは思わなかった。僕が3枚、他3人に1枚ずつ配分する。

 

 「私にはフィールドボスの羽と魔石が手元にあるからこれでいいな」

 「じゃあ後は……この宝箱だな」

 エルシオンが宝箱を地面に降ろし罠の有無を調べるも、特に細工はなさそうなので思い切り開ける。開放と同時に淡い光が放たれ、その中には牙の模様が描かれたペンダントが入っていた。

 ヤタガラスがペンダントを装備し、ステータスを確認する。どうやらこのアクセサリーは、攻撃力が上昇する装備品みたいだ。

 

 「で、誰が装備する?」

 「ここは僕が……と言いたい所だけど、火力的にロイドが持ってた方が良さそうだね」

 「いいんスか?」

 「俺には不要だし、ヤタガラスさんと殿下は十分強い。お前が適任だろう」

 ということで、ペンダントは彼に渡し、第4層への階段を下る。次の階層は虫が減ってくれると助かるんだけど、一体どうなるのか。

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