第22話 ヤタガラス視点 カラス対決
サウザー達から離れ、フィールドボスを探すこと数分、樹液の垂れた大樹を発見した。ダンジョン内の設置物なら自動で修復するから、この痕跡が真新しいものだと読み取れる。
注意深く観察してみると、上部にひっかき傷があることに気づいた。
「これは…狩りの最中にできたものか?」
特徴的な傷から、鳥型の魔物によるものだと発覚。しかもかなりデカい。
この場にはいないことを確認し、【探知】を発動――
「総員、迎撃態勢!」
100メートル先から、男の声が聞こえた。現場へ急行すると、複数のテントと教員達、そして彼らを襲っている巨大な黒鳥の姿があった。
教員達が火魔法を放ち、剣を片手に斬りかかる。だが、黒鳥が羽ばたくと同時に火がかき消され、近づいた前衛は吹き飛ばされた。
意図せずゴールに着いたのだが、あの黒鳥のせいで報告どころじゃない。
「――加勢するぞ!」
黒鳥の背後に回り込み、大鎌を振るう。翼を狙った一撃は私が発した声のせいで感づかれ、位置をズラされる。
不意打ちを受けた黒鳥はターゲットを私に変更し、空へと飛び立つ。空中で弧を描くように旋回し、急降下してきた。直撃すれば無事じゃ済まない。だが私はあえてその場に留まり、迎撃態勢をとる。
「何をしている!避けろ!」
「面倒くせえな……【骨喰】」
大鎌を天に掲げると、先端から骨の竜が出現した。そのまま黒鳥に勢いよく突っ込み、食らいつく。
黒鳥は寸前で身をよじって噛みつき避けようとするも、片翼を嚙み千切られてしまった。制御を失った一瞬、私は黒鳥へ跳びかかり、首めがけて一閃。大量の血を噴き出し光となって消えていった。
ドロップアイテムは黒い羽と魔石、銀色に輝く宝箱だった。
「こうも容易く討伐するとは。ありがとう。助かった」
「どういたしまして。じゃ、私はこれで」
「待て。班員は無事なのか……?」
「おう、ピンピン生きてる」
「それはよかった……。気を付けるんだぞ」
ドロップアイテムを回収し、サウザー達の下へ戻る。宝箱を抱えてるせいで時間がかかり、夕日が輝く時間帯にたき火へと着いた。
「おーい、片付いたぞ!」
3人に声をかけ近づくと、肉が焼ける香ばしいにおいがした。見ればロイドとエルシオンが協力して肉を焼いている。腹が減ってきた。
「おかえり。って、それ宝箱かい?」
「今はそれより飯を食いたい。それもらうぞ」
「あっハイ、どうぞ」
ロイドが差し出した肉にかぶりついた瞬間――スパイシーな香りと肉汁が口いっぱいに広がった。塩コショウのみならず、ハーブによるアレンジが効いている。一口入れたと思ったら、あっという間に半分なくなっていた。
「うめえ……これ二人が作ったのか?」
「そうだ。俺が味付けし、ロイドが焼き加減を調整。完璧な出来だろう」
「貴族が作ったとは思えんな。屋台出せるレベルだぞ」
空腹は最大のスパイスとも言うが、それを加味しても見事なもんだ。サウザーが焼いてたパンとスープを一緒にたいらげ、満足した頃には、完全に日が沈んでいた。




