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不遇王子は脳筋になりたい  作者: 田中恵人
第一章 学園生活リスタート
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第21話 ユニークスキルの活用法

 僕が6体の巨大カブトムシを討伐し終えると、ヤタガラス達も最後の1体を無事に討伐したようだ。全ての敵対生物が消えたことに安堵し、3人に合流する。

 

 「ハアハア……し、死ぬかと思った……」

 「ヤタガラスさんがいなければどうなってたか……」

 「……サウザー、守り切れなくて悪かった」

 「気にしないで。それより――マズいことになった」

 疑問を浮かべる3人に、簡潔に説明する。

 戦闘中のエルシオンの言う通り、本来カブトムシは群れで行動しない。魔物と化してもそれは変わらないのだが、今回は違った。

 ではなぜまとまっていたのか……僕は何かに住処を追われ、逃げてきたと考えている。そして、このダンジョンには、環境を変える程の力を持つ魔物が存在している。

  

 「いわゆるフィールドボスってやつっスね」

 「……?」

 「とにかく、カブトムシに到底敵わない存在がこの先にいるってこと。……で、僕たちは満身創痍なわけで」

 僕はただ一人、無傷の少女へと視線を送る。

 「私が一人で戦え、ってことだよな」

 「その通り。今度こそ僕を守ってくれよ」

 「ああ、任せろ」

 (サウザー殿下、口調が砕けてるっスね)

 

 今いる場所はちょうど開けているので、小休止することに。大量のドロップアイテムを拾い集め、素材袋がパンパンになった。

 ふと空――ダンジョンの天井を見上げると、来た時よりも太陽が沈んでいることに気づいた。早くゴールを目指さないと。

 負傷したロイドとエルシオンに対して水魔法〈アクアベール〉を使用する。これにより、ほんの少しリジェネ効果が付き、傷の治りが早くなるだろう。今後は戦闘中に使えるようにする必要がありそうだ。


 「ありがとうございます。……サウザー殿下、先程の怪我は……?」

 「ポーションとスキルで治した。これって他人にも使えるかな」

 エルシオンの手を取り、メビウスリングを発動。彼の魔力を生命力へ変換し、傷ついた箇所へ集中させる。

 

 「ぐっ……あ”あ”っ……」

 ふむふむ、生命力が最大値を超えなくても、傷に対して生命力を消費することで塞ぐことができるのか。いちいちオーバーフローさせなくてもいいんだ。

 

 「よし、治ったね。次はロイドの番だよ」

 「えっ……なんか痛そうなんで嫌っス」

 「ふざけるな……。俺だけ痛い思いするのは許さん」

 嫌がるロイドをエルシオンが抑え込み、治療を施す。比較的軽傷だったから痛みも少なく、拍子抜けした。

 治った後もぎゃーぎゃー騒ぐ二人を尻目に、たき火の準備を進める。火打石で着火して空気を送り、少しずつ火力を上げていく。もしかしたら、学園が火属性を推奨していたのは、こうした作業を楽にするためなのかもしれない。

 正気に戻ったエルシオンが肉に香草で味付けし、それをロイドが最適なタイミングまで焼き上げる。息の合った作業に関心していると、銀色の宝箱を片手に抱えたヤタガラスが戻ってきた。

 

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