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不遇王子は脳筋になりたい  作者: 田中恵人
第一章 学園生活リスタート
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第17話 授業

 「……で、あるからにして、人間と敵対する存在として魔族が台頭し始めたのです。それらを統べる魔王には誰も敵わず、人間は長らく苦しめられました、しかし、対抗する存在として――」

 現在僕は8日ぶりに学園で授業を受けている。が、先生の話を聞いているだけで眠くなってきた。大体、魔族が国を作ってから早数百年、今では多くの国で人間との共存に成功している。今更「魔族は危険な存在です」なんて言われても、イマイチ実感が湧かない。

 隣の席のヤタガラスは――あダメだ夢の世界にトリップしてるわ。肩を揺すってもペチペチしても目を覚まさない。……仕方ない、翼から羽を引っこ抜くしかないか。

 

 「痛っっっ!おいサウザー、お前」

 「ではレイブンさん、魔族が『ヒト』と括られたきっかけを答えていただけますか?」

 「……え?」

 目を覚ました瞬間、なんと先生から名指しされてしまった。頭がフリーズしている彼女に代わり答えてあげよう。


 「ジョブ…神の加護を同じように受けられること、ですね」

 「ええそうです。神の前では人間も魔族も変わらないのです。強いて言うなら魔族は身体能力が高く、人間は魔力が多い傾向があることでしょうか」

 ふう…何とかなった。

 にしても、今の質問はステータスカードがなければピンと来なかった。どうして学園で用意してくれなかったんだろう。

 

 「それでは皆さん、班でまとまって活動してください」

 授業を終えホームルームに参加していると、身に覚えのない指示を受けた。一体何の班なんだ?

クラスメイトに確認すると、今度行われるダンジョン演習のパーティのことだそうだ。

 どこかの班に入れてもらおうと辺りを見渡してみたが、大体の班が定員の4人で固まっている。ひとまず先生に相談しに行こう。

 

 「というわけで、どこに入ればいいですか?」

 「……前もって決めてくれた者がいる。あそこに行きなさい」

 ちゃんと学校に来いと言わんばかりに睨まれ、逃げるように指定された席に移動した。

 そこには、ヤタガラスと、二人の男子生徒が本を広げ話し合っていた。

 

 「ここが()の班で合っているかな?」

 「……お、やっと来たっスね!」

 明るく迎えてくれたのは、犬耳としっぽの生えた魔族の男子生徒だった。もう一人の方は眼鏡をかけた人間で、すぐに興味をなくしたのか一瞥しただけで本に目線を移した。

 「んじゃ改めて自己紹介するか。私はヤタガラス、冒険者名で呼んでくれると助かる」

 「ロイド・ミルグラム、剣士っス!」

 「エルシオン・フォン・クルーガー。魔法使いだ」

 「ふむふむ。ロイドにエルね、ご存知だろうが第二王子のサウザーだ。よろしくね」

 「……なぜ俺だけ略称なんだ」

 各々名乗り終えたところで、机上の本を手に取る。開かれたページには王都のダンジョンの情報が記載されていた。今回の演習で行くのは王都東部のダンジョンで、草原が広がっているとのこと。出現する魔物も動物系や植物系が多く、火属性が有効だと書かれている。

  

 「ちなみに、この中で火属性使えるのは?」

 「無理だな」

 「無理っス」

 「使えるのは風と土だけだ」

 ……今回は誰も有効属性を持っていないようだ。ひとまず僕が来たことで中断していた作戦会議を再開し、必要な物資や戦術について話し合った。

 装備は学園側で用意するようだが、ロイドが長剣、エルシオンが杖を持つと決まった。残るは僕とヤタガラスなんだけと……

 ヤタガラスは大体の武器が使えるのに対し、僕は使える武器がイマイチわかってない。なので当日武器を見てから判断することになった。

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