第7話 進化する知識保存
「ねぇ、マリさん。この中で、気になった本はあった?」
マリは少し考えてから、静かに答えた。
「……母が昔、読み聞かせてくれた絵本がありました。懐かしくて、つい手に取ってしまいました。」
その表情はどこか切なかった。
「じゃあ、持って帰ればいいんじゃない?」
未来が笑顔で言うと、マリは首を横に振る。
「荷物が増えてしまいます。それに今はミク様の付き添いですから。」
未来は少し笑った。
「じゃあさ。ここにある本、私が全部もらってもいい?」
「え?どういう…」
マリは目を丸くする。
「それに、こんなに沢山の本を持ち帰るなんて無理ですよ!」
未来はいたずらっぽく笑う。
「大丈夫、大丈夫。まぁ、見てて。」
未来は山積みになった本へ手を向ける。
「【保存】」
その瞬間。
山のように積まれていた本が、淡い光に包まれた。
次の瞬間――。すべての本が、一冊残らず消えた。
「えっ……!?」
マリは目を見開く。
「本が……消えた?」
未来は笑いながら答えた。
「うん。今のが私のスキル。【保存】。意外と便利じゃない?」
ミクは自慢気に笑った。そして、ステータス画面を確認し直した。
『保存した本を種類ごとに分類します』
・魔導書 32冊 ・恋愛小説 52冊 ・童話 16冊
・歴史書 27冊 ・図鑑 67冊
✢累計194冊✢
未来は画面を見つめた。
「まだ足りない…か。ほかのお店にも行ってみるか。マリ、どんどん行くよ!」
「えぇっ?は、はい。」
マリは驚きながらも笑顔で頷いた。
その後、二人は商業区の本屋を全て巡った。無料で持ち帰れる本を、見つけるたびに【保存】を発動する。
気付けば――
累計保存冊数は578冊になっていた。その時だった。
『【知識保存】がレベルアップしました』
【知識保存 Lv.3】
・図や絵、設計図、地図、紋章などを保存可能
・保存した本の内容を解析し、図鑑のように閲覧可能
※本1冊ごとに保存魔力を「1」消費します
〈レベルアップ条件〉
・累計五百冊の本を保存すること
『【知識保存】がレベルアップしました』
【知識保存 Lv.4】
•保存した知識を比較・分析可能
•複数の本から共通点や矛盾点を見つける
〈レベルアップ条件〉
累計1,000冊の本を保存すること。
未来が画面を見つめていると、さらに文字が浮かぶ。
『新たに【素材保存】を獲得しました』
『新たに【魔法保存】を獲得しました』
【素材保存 Lv.1】
・素材の知識を保存可能
〈レベルアップ条件〉
・素材の知識を100種類保存すること
【魔法保存 Lv.1】
・魔法の知識を保存可能
〈レベルアップ条件〉
・火、水、風、土の初級魔法を覚えること
(また新しい能力……。)
未来は思わず笑みを浮かべる。
【保存】は、本を保存するだけでは終わらない。知識を集めれば集めるほど、新しい可能性が生まれていく。その力は、まだ始まったばかりだった。




