第6話 保存スキルの可能性
未来は1冊の本にそっと手を伸ばした。
「【保存】」
すると、本が淡い光に包まれた。
『本を保存しますか?』YES / NO
「YES」
本は光の粒となり、一瞬で消えた。
「本当に消えた……」
『1冊の本が保存されました』
未来は驚きながらも、次々と本へ手を伸ばしていく。
「【保存】」
『本を保存しますか?』YES/NO
「YES」
1冊。2冊。3冊。
……
やがて50冊目を保存した瞬間だった。ピコン――。ステータスに新たな文字が浮かび上がる。
『条件を達成しました』
『【知識保存】がレベルアップしました』
未来は思わず息を呑む。
【知識保存 Lv.2】
・王国語の読み書きを習得
・本をまとめて保存可能
※本1冊ごとに保存魔力を「1」消費
・保存した本はいつでも取り出し可能
〈レベルアップ条件〉
・魔導書、歴史書、図鑑をそれぞれ50冊以上保存すること
・本を累計300冊保存すること
「えっ……!」
未来は急いで近くにあった看板を見る。さっきまでは文字の上に日本語が書かれていたのに、今は消えている。それなのに看板の文字が、自然と頭の中へ入ってくる。
『ご自由にお持ちください』
「読める……!」
未来は驚きを隠せなかった。文字だけではない。店先から聞こえてくる人々の会話も、今まで以上にはっきり意味が分かる。
「これが……知識保存?」
さらに画面が光る。
『新たに【食料保存】を獲得しました』
【食料保存 Lv.1】
・食料に関する知識を保存
※本1冊ごとに保存魔力を「1」消費
〈レベルアップ条件〉
・食料に関する本を100冊保存
「食料も保存可能…本の種類を増やすことで、保存できるものが増えるかも。」
未来は思わず笑みを浮かべた。沢山の本を持ち歩く必要はない。必要な時に、必要な知識を取り出せる。
「これなら、セレス村に行っても困らないかも……」
未来が嬉しそうに呟くと、マリが不思議そうな顔をする。
「ミク様、何か良いことでもありましたか?」
「うん!役立たずじゃなかったって思ってさ!」
未来は笑顔でそう答え、胸の高鳴りを抑えられなかった。
役立たずと言われた【保存】。
その力は、未来が思っていた以上に、無限の可能性を秘めていた。




