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『保存スキルで始める異世界村づくり』 〜役立たずと言われた能力が、最強の村を作る〜  作者: 玖龍
第1章 召喚された『保存』の少女

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第22話 自己紹介

ガタゴトと馬車が揺れる。王都を離れ、セレス村へと向かう街道をゆっくりと進んでいた。

「とうとう出発ですね。」

マリが窓の外を眺めながら、穏やかに微笑む。

「そうだね!」

未来みくは嬉しそうに頷いた。

「あのぉ〜。私、村に着くまでの間に皆さんのことをもっと詳しく知りたいです!」

その言葉にエレナは笑みを浮かべる。

「それじゃあ、改めてみんなで自己紹介でもしようか。」

全員が頷き、最初に未来みくが口を開いた。


「じゃあ、私から。名前は未来みく、18歳です。以前お話した通り、召喚されてこの国に来ました。このことは内緒でお願いしますね!スキルは【保存アーカイブ】。いろいろな物を保存できます。Lunaで保存した本はそのまま取り出すことも可能で、知識として私の中に保存されています。もちろん『Orphe』で保存した宝石もいつでも取り出せます!ただ、今はまだ魔力を保存している状態で、魔力解放ができないため魔法も使えません。」

少し照れくさそうに笑う。

「これからセレス村の領主になります。まだまだ未熟ですが、よろしくお願いします。」


「私はマリです。16歳です。」

マリは丁寧に頭を下げた。

「元伯爵家の娘でしたが、両親は事故で亡くなり、弟も魔力暴走マナブレイクで亡くしました。」

魔力暴走マナブレイク?」

「自分の魔力を制限できなくなる現象です。遺体は残らなかったと教会の方に聞きました。」

一瞬だけ表情が曇る。

「スキルは唯一技能ユニークスキル模倣アーカイブ】です。でも魔力量は少ないです。掃除は得意なので、お役に立てるよう頑張ります。よろしくお願いします。」


次にエレナが口を開く。

「あたしはエレナ。31歳。」

少し遠くを見るような目をした。

「探したい息子がいるんだ。生きていれば十二歳になっているはずさ。」

静かに息を吐く。

「旦那は二年前に亡くなった。スキルは【鑑定アーカイブ】。物は鑑定できるけど、人は鑑定できないんだ。」

ふっと笑う。

「料理は得意だから、楽しみにしててね。」


サリーが続く。

「あたしはサリー、28歳。スキルは【魔導錬成マナアルケミア】よ。物に魔力を込めて合成できるの。元宮廷魔道士だったんだけど、ガレスと結婚する時に辞めたの。」

隣に座る黒髪の少女の頭を優しく撫でる。

「この子は娘のリリー。5歳。昨日ら魔道具で髪の色を変えたわ。」

「リリーです!」

元気よく頭を下げる。

「よろしくおねがいします!」

サリーは微笑みながら続けた。

「こののスキルはまだ洗礼式を受けていないから分からないの。」


最後にガレスが口を開いた。

「私はガレス、32歳です。ミクさんにはとても感謝しています。スキルは【倉庫ストレージ】。収納した物は一年間、保存状態を維持できます。商売は得意ですので、いつかお役に立てれるかもしれません。よろしくお願いします。」


全員の自己紹介が終わると、リリーが嬉しそうにマリへ近づいた。

「マリおねぇちゃんと」

小さな手で自分の耳を指差す。

「おそろい!」

耳には水色に輝く小さなピアスが揺れている。マリは優しく微笑んだ。

「そうですね。」

「お姉ちゃんのピアス、ピンクでかわいい!」

リリーは目を輝かせる。

「いいなぁ。リリーのは水色なんだ…。」

少しだけしょんぼりした表情を浮かべた。すると、首元に目を向ける。


「あっ! ネックレスもしてる!見てみたい!」

「いいですよ。」

マリはゆっくりとネックレスを外し、リリーに渡した。

「なかにおはながさいてる!きれい…」

「お花…?(そんなのあったかな…?)」

リリーの言葉に疑問を持ったその時。さらり――。

黒く美しかった髪が、毛先からゆっくりと白く染まり始める。

「……え?」

未来みくが目を見開く。

「マリ……髪の色が……!」

マリ自身も何が起きたのか分からず、髪に触れた。

「え……?」

サリーはポケットに入れていた小さな鏡をマリに差し出した。

「これ使って。」

鏡を覗いたマリは息を呑む。

「そんな……。」

そこに映っていたのは、雪のように白い髪の自分だった。馬車の中が静まり返る。その沈黙を破ったのは、エレナだった。

「……マリちゃん。」

優しい声が響く。

「あなたは、ご両親にずっと守られてきたのね。」


その一言を聞いた瞬間。マリの瞳から、大粒の涙がぽろぽろと零れ落ちた。

「両親が最後に祝ってくれた誕生日にくれたピアスとネックレスなんです。私を守る大切なお守りだと。だからどんな時でも外さずに身につけていてほしいと言われていました。」

それはただの形見ではなかった。娘を守るための、最後の愛情だったのだ。


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