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『保存スキルで始める異世界村づくり』 〜役立たずと言われた能力が、最強の村を作る〜  作者: 玖龍
第1章 召喚された『保存』の少女

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第21話 引越し準備

「私も行きたい!」

リリーが目を輝かせて言った。しかし、ガレスはすぐに首を横に振る。

「駄目だ。セレス村は遊びに行く場所じゃない。魔獣がうろつく危険な村なんだ。」

リリーはしゅんと肩を落とした。

「なんで…?」

その様子を見ていたガレスの妻・サリーが、くすっと笑う。

「もう、いっそのことみんなでセレス村に行っちゃう?」

「サリー!」

ガレスは思わず声を上げた。

「なんでそうなるんだ!」

サリーは呆れたようにため息をつく。

「だったら、どうするの?借金は残らずに済んだけど、これから生活していくお金はないのよ?次の仕事だって、いつ見つかるか分からない。それに、エレナさんもセレス村へ行くんでしょう?家族がバラバラになるくらいなら、一緒に行くっていう選択肢があってもいいじゃない。」

ガレスは何も言い返せなかった。閉店した以上、この先の生活が保証されているわけではない。店を失い、仕事も失った。現実は決して甘くない。未来みくはそんな家族の様子を静かに見つめていた。

「反論がないなら、決まりね!さっそく引っ越しの準備をするわよ!」

サリーの一言で、全員が一斉に動き始めた。


ガレスは【倉庫ストレージ】を発動し、自宅や店の家具を次々と収納していく。大きな棚も、机も、椅子も、一瞬で姿を消していった。未来みくの指示で、ある物はすべて持っていくことになった。


一方、エレナの家にある荷物は未来みくがスキルで保存していく。衣類や食器、本、生活用品――。

必要なものを一つ残らず収納し終えると、一時間ほどで家の中はほとんど空になっていた。


その後、未来みく、マリ、エレナの3人は下町へ向かう。

「セレス村では何が必要になるこかな?」

「まずは食料だね。それから野菜の苗や果樹の苗もあるといい。調味料も必要だよ。鍋や農具も買っておいた方がいいね。」

3人は相談しながら、村での生活に必要になりそうな物を次々と購入していく。購入した品は、その場で【保存アーカイブ】を使って保存した。周りからは収納系のスキルだと思われていたので、好都合だった。


翌日。ガレスの家と店、そしてエレナの家は無事に売却された。そしてガレスは革袋を未来みくへ差し出す。

「ミクさん。これ、預かっていてもらえないか?」

「えっ?」

「私の【倉庫ストレージ】に入れることはできますが、これからは、家族みたいなものですからね。何かあった時は遠慮なく使って頂いて構いません。」

未来みくは少し迷ったが、ゆっくりと頷く。

「分かりました。大切に預からせていただきます。」

ガレスは安心したように微笑んだ。


そして迎えた出発の日。王都の門には、一台の大き荷馬車が止まっていた。荷物を運ぶことを考え、通常より一回り大きな馬車が用意されていたのだ。未来みく、マリ、エレナ、ガレス、サリー、リリー。六人は新たな生活への期待と不安を胸に、馬車へ乗り込む。こうして6人は、「国に見捨てられた村《セレス村》」へ向けて旅立った。

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