第15話 完成された知識保存
「やった!できることが増えてきた。」
未来は嬉しそうに笑った。そんな姿を見て、店主は思い出したように口を開いた。
「そういえば、お嬢ちゃん。本は何でもいいのかい?」
未来は手を止める。
「はい!」
「古くて少しホコリっぽいものでもよければ、地下の倉庫にもたくさんあるよ。」
「えっ!? 地下にもあるんですか?」
「歴史書や魔法書は平民街では売れなくてね。あとは店に並べきれなくなった本や、何十年も売れなかった本をしまってあるんだ。もう誰も読まないだろうと思って、そのままにしてたんだよ。」
未来の目が輝く。
「ぜひ見せてください!」
店主は笑いながら頷いた。
「そんなに本が好きなお嬢ちゃんは初めて見たよ。」
三人は地下への階段を降りていく。そこには天井近くまで積み上げられた本棚と木箱。想像をはるかに超える数の本が眠っていた。
「す、すごい……。」
未来は思わず息を呑む。
(これは……全部保存したい!)
未来は地下倉庫に積み上げられた本へ手を伸ばした。
「【保存】」
一冊、また一冊と本が光に包まれ、保存されていく。
地下に眠っていた古い本も、魔導書も、歴史書も、すべて【保存】吸い込まれていった。
すると――。
『累計保存冊数 1,000冊を達成しました。』
『【知識保存】がレベルアップしました。』
未来の目の前に、新たなステータスが表示される。
【知識保存Lv.5】
・保存した知識を瞬時に検索可能
・古代語を理解可能
・外国語を理解可能
〈知識の統合が完了しました〉
---
未来は驚きを隠せなかった。
(古代語まで読めるようになった……。)
(外国の言葉も理解できるの?)
この世界の歴史や技術は、まだまだ謎に包まれている。しかし、その謎を解く鍵が、今、自分の中へ蓄積されていく。
「ミク様?」
マリが不思議そうに声をかける。未来は慌てて笑顔を作った。
「なんでもない!本がたくさん手に入って嬉しくなっちゃって。」
マリも笑みを浮かべる。
「よかったですね。」
未来は小さく頷いた。
「うん。知識は、きっと誰かを助ける力になるから。」
そう呟きながら、未来は最後の一冊を【保存】へ保存した。




