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『保存スキルで始める異世界村づくり』 〜役立たずと言われた能力が、最強の村を作る〜  作者: 玖龍
第1章 召喚された『保存』の少女

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第11話 小さな宝石店

王都百貨店ロイヤル・マーケット三階。そこは宝石や装飾品が並ぶ、美しい売り場だった。赤や青、緑に輝く宝石。金や銀で細工されたアクセサリー。

未来みくは思わず見惚れてしまう。

「綺麗……。」

ステータス画面を確認する。

素材保存マテリアル・アーカイブLv.1】

・素材の知識を保存可能

未来みくは小さくため息をつく。

「まだ知識しか保存できないんだ。」

宝石そのものを保存することはできない。今のレベルでは、知識を得るだけだった。


その時、一つのアクセサリーが目に入る。虹色に輝く、しずく型のピアス。しかも値札には赤文字で、

『SALE』と書かれていた。

「綺麗……。」

未来みくは思わず手に取り、店員に尋ねた。

「どうして、これだけ安いんですか?」

店員は少し苦笑した。

「宝石だと思って仕入れたのですが、鑑定してもらったところ偽物だったんです。ですので、在庫処分価格となっています。」

未来みくは少し考えたあと、笑顔で答えた。

「これ、ください。」

(セレス村に行ったら、つけようかな。)

偽物だとしても、不思議と心を惹かれた。今は、素材保存マテリアルアーカイブでは保存できないため、大切に袋に入れてもらった。


店を出ると、その隣に小さな宝石店『Orphe』があった。入口には大きく張り紙が貼られている。『閉店SALE』店内を覗くと、多くの宝石が並んでいた。どれも驚くほど安い。

「閉店するんですか?」

未来みくが店主へ尋ねる。黒髪交じりの男性店主は寂しそうに笑った。

「隣の宝石店の店主が変わったことにより店舗を拡大することになりまして。急遽今月でこの場所を明け渡すことになったんです。閉店したあとは、妻と子どもを連れて、新しい仕事を探すつもりです。何か仕事が見つかればいいのですが…」


未来みくは胸が締め付けられた。

(何とかしてあげたい……。)

そう思っても、今の自分にできることは少ない。

しばらく考えた未来みくは口を開く。

「あの。お店にある宝石を全部買いたいのですが……可能ですか?」

店主は驚いて目を丸くした。

「えっ?全部ですか?」

「はい。」

「ですが、全部となると金貨百枚ほどになりますよ。それに、持ち帰るのも大変でしょう。」

未来みくは申し訳なさそうに頭を下げた。

「お金はあります!ただ今日ではなく、明日買い取らせていただけませんか?必ず来ます。今はまだ、持ち帰る準備ができていなくて……。」

店主は少し考えたあと、優しく笑った。

「分かりました。どうせ明日で閉店です。買っていただけるなら、明日までお待ちしましょう。」

未来みくはほっと胸をなで下ろした。

「ありがとうございます。」


すると未来みくは、もう一つ気になっていたことを尋ねる。

「あの、宝石や素材について詳しく載っている本はありませんか?できれば図鑑のようなものが欲しいんです。」

店主は嬉しそうに頷いた。

「それでしたら、平民街にある『Luna』というお店へ行ってみてください。私の妹が営んでいる本屋です。宝石や鉱石、魔物素材の図鑑も扱っていますよ。」

「ありがとうございます!」

未来みくが頭を下げると、店主は一枚の紙を差し出した。

「では、お約束のために誓約書へサインをお願いします。魔力での契約になりますので、ご安心ください。」

未来みくは困ったように笑う。

「実は私、魔力がないんです。」

「えっ……?」

店主が驚くと、隣にいたマリが一歩前へ出た。

「でしたら、私が保証人として署名してもよろしいでしょうか?」

未来みくは驚いてマリを見る。

「いいの?」

マリは優しく微笑んだ。

「もちろんです。また明日、一緒に来ましょう。」

未来みくも笑顔で頷く。

「うん!ありがとう!」

マリが契約書へ署名を済ませる。


こうして二人は、翌日『Luna』を訪れることにし、宝石店をあとにした。


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