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3話

それからの日々、少しずつこの世界の生活に慣れ、家事の手伝いも板についてきた。

自分の想像よりも身体が小さくてついてこなくて転んだりものを掴めなかったり、ということは多々あったけれど、「病み上がりだから無理しないで」とふたりがどんどん過保護になっていくのも肌で感じていた。



ーーーーーー


ふふ。今日も最高な焼き上がり!

良い香りだわ!!


時は経ち、リーナは16歳になっていた。

美味しいお菓子を毎日作る生活。

前世で何度夢見たことかと思う日々。


「リーナのマフィンは世界一美味しいわ。

大人になったら、お店を出すのも良いかもしれないわね!」


「きっと評判の店になること間違いないさ。」


「食べたら元気100倍になるのよ!本当よ!」


作るたびに嬉しそうなお母さんとヴェールお兄ちゃん。お世辞が上手…と言いたいところだけど、自画自賛するレベルで本当に美味しい。


「リーナ、教会の隣のカルファおばさんとラランドルさんたちがリーナのマフィンまた食べたいって言ってたから、もしよかったら持ってってやって」


「はーい!」


こんなにも美味しいマフィン!

より多くの人に食べさせなくっちゃ!

私の自己肯定感は非常に高く育ち、そしてこの日々を守るための正義感も強くなって成長した。


「教会の近くだから気をつけろよ。

最近じゃよくない話も耳に入る。

何しろ、裏で繋がっているマフィーー」


「大丈夫!!腕っぷし自信あるし!!

いってきまーす!!」


「おい聞けって!…ったく」


ヴェールお兄ちゃんは何か言ってたけど、冷める前に焼き立てを早く持っていってあげなきゃ。1番美味しい状態で食べてほしいもんねっ!

最後の方、まふぃ…?って言ってた?最近は教会周りでもマフィン流行ってるのかな。





街よりも少しだけ離れにある私たちの家から走って、この街で1番大きな教会の方を目指す。

少しだけ森を抜けなきゃで、この前通った時は甘い匂いに釣られた動物たちに追いかけられて大変だったっけ…


今回はしっかり封をしてきたから大丈夫なはず!頑張って早く届けようと走る脚に力を込める。


ちょっとした坂を下る時、「浮く」感覚をイメージしながら少し飛んでみた。


ふわっ…


「…!やった!」


天才ヴェールお兄ちゃんにはまだまだ届かないけれど、こっそり練習を頑張っているおかげで実は浮遊魔法が使えるようになりつつある。今は10秒くらい浮けたと思う。


人口の9割は魔法を使えない世界だったけれど、私も使いたい!と思ってイメージしまくってたら使えるようになってる…気がする。

使えたら使えたで教会に捕まっちゃう確率が高まるから大っぴらにもできないし、お兄ちゃんが知ったらむしろ怒り出しそうだから言えないけど。


「もう一回っ…と」


さっきよりもさらに高く浮いた瞬間、

少し遠くに倒れている人が見えた。

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