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2話

お母さんは説明してくれた。

元々のリーナは6歳の時、ひとりで裏山に遊びに行ってから帰ってこず、心配したヴェールが探しに行ったら倒れていたらしい。

それ以降リーナは目を覚ますことなく、いろんな医者に見せた結果「どこかで呪いを受けたかもしれない」と言われ、4年間昏睡状態だったと。


目覚めた今は10歳。でも成長が遅れている。

そして6歳まではあまり言葉を話さず、よく空中を見つめてはぼうっとしている子だったらしい。


「こうしてリーナがまた私の前に立ってくれている。目を見て話すことができる。それだけで、とても嬉しいわ」


お母さんが作ってくれた温かいスープのお料理をみんなで囲いながら、今までのお話を聞いた。


「ゔ、ヴェール、お兄ちゃん…?」


「眠りにつく前も、そして起きた後も、おれを兄としてくれるのが嬉しいよ」


銀髪に蒼く澄んだ瞳が美しい少年は儚い笑みを浮かべた。


「起きる前の記憶はあまり覚えていないかしらね。ヴェールもある日、裏山で倒れているところを見つけてからうちで保護して、ずっとリーナのお兄ちゃんとして家族でいるのよ」


「倒れる前のことは覚えてないけど…お母さんに助けてもらって、家族として迎え入れてくれてずっと感謝してる」


きちんと感謝の心を言葉で伝えられるイケメンだ。将来は有望だなぁと思いながらヴェールを見つめる。だって私の心は三十路だから、お兄ちゃんと言いつつもずっと年下にしか見えない。だって聞いたら14歳らしいし。


そして、過去の私も倒れ、ヴェールも倒れていた裏山は何があるのかな…壊しちゃいけない祠みたいなやつとか…

危ないから近寄らないでおこう、と心に決める。


「そういえば、さっき転ばなくて宙に浮いたの、どうして?」


「あれはヴェールの魔法よ。ヴェールは魔法が使えるの。とってもすごいことなのよ。」


「でも、教会の奴らにバレたら面倒だから内緒な。」


この世界には、魔法が使える人がいて、そして教会が魔法を使える人を囲っているらしい。


「もしバレたら、お兄ちゃんはどうなるの?」


「きっとほぼ軟禁状態で自由がなくなるって噂。食べ物とか勉強とかは困らないけど、出歩くとかは基本できなくなる。」


ヴェールはそう言いながら、食べ終わったお皿を魔法できれいにして、そのまま浮かせて棚のところに片付けた。


「いいなぁ、便利そうで…わたしも使いたい」


「使える人は本当に珍しいのよ。

でもリーナはまず、こうして元気そうにしているだけで私たちに嬉しい気持ちを与えてくれているわ。リーナにしか使えない、素敵な魔法よ。」


元のリーナは消えて私になってしまった。

それでも、こうして笑いかけてくれるふたりに、申し訳なさと感謝の気持ちで、「ここにいて良いんだ」と居場所を見つけられた安堵で、眠くなってしまった。

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