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第5話 社畜男、完成させる!

「...うーん、何か違う」

俺は朝早くから昨晩思い立った「あるもの」を作っていた。が、なかなか思うような味にはならない。

普段料理なんて全くしない為、苦戦を強いられていた。

ちなみにここでの食事当番が何とかなっているのは焼くか煮るか、そして塩で味付けするだけだからだ。

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!何か違う!!!もう一回最初から…」

俺の挑戦はまだまだ続きそうであった。


俺がそんな過酷な(?)挑戦をしている頃、畑ではリリムとアリシアが作業をしていた。

「リリム、そろそろ休憩にしようか」と声をかけるアリシア。

「はーい!」とリリムは元気よく返事をし、二人で切り株に腰掛けた。

「しかしソウジはよく働くな!今朝も誰よりも早く起きてニワトリの世話をしていたよ。畑仕事もこちらが声をかけないと止まらないくらい黙々と……」と俺のことを随分とベタ褒めしているようだ。

「見た目は屈強な男とは程遠いが、なかなかに根性があるな!ソウジは!」

「そうですね、ソウジさんは奴隷の才能がありますから」

「ん?奴隷?才能?」

「はい、ソウジさんは休みなく酷使されても平気なようで、アリシアさんも遠慮なく馬車馬の如く使っていただいて……」

こいつは人の事を何だと思っているのか、俺の人権どこいった?

「ハハハ!そうか!ではもっと色んなことを頼んでも良さそうだな!」とアリシアは笑いながら言う。

うん、何か怖いのでお手柔らかにお願いします。


「しかしソウジは朝から一体何を作っているんだろうな?」

とアリシア。

「そうですね……それも一人で騒ぎながら…」


「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!」


炊事場から俺の声が集落に響き渡る。

「もう言葉にすらなってないですね。ご近所迷惑でしょうから一度眠らせますか?」とハンマーを構えるリリム。

「あ、いや、、ここには私達しかいないから大丈夫だ…」と優しくつっこむアリシア。

「まあしかし、そろそろ腹も減ってきたな。私達も食事の準備を手伝うとするか?」

「そうですね、変なもの食べさせられるのは嫌ですし」と二人が炊事場に向かおうとした時だった。

「できた!できたぞ!!」と俺は大はしゃぎで二人を呼びに来た。

「おお、ソウジ!出来たのか?今ちょうど手伝おうかと思っていたところだ」

「随分長いこと作ってましたねぇ」と返す二人の手を引き、

「とにかく早く来てくれ!」と食堂へ急ぐ。

「わかった、わかったから慌てるなソウジ!」

「やっぱり一度眠らせますか?」と再びハンマーを構えるリリム。

「あはは…余程自信があるのだな」


そして食堂に着くと俺はテーブルにある器を指し、

「さあ!二人とも是非味見してみてくれ!」とドヤ顔を決めてみせた、が、二人はキョトンとしている。

「え、えーと、、ソウジ?これは一体何だ?」

「何かドロっとして見えるような、白?黄色っぽいような…ソウジさん私達をkろそうとしてます?」

「んなわけあるか!」

俺は二人の様子から察した。

「もしかして、二人ともマヨネーズ知らないのか?」

「まよねーず?」二人は声揃えて、何それ?といったリアクションをする。

そう、俺が朝から作っていたのはマヨネーズだ。

とにかく濃い味のものを食べたかった俺は何かないかと考えた時に、ふと以前動画で見たマヨネーズの作り方を思い出したのだ。卵黄、塩、酢、油と偶然にもここには全て揃っていたため、もしかしたら作れるんじゃないか?と思い、朝からマヨネーズ作りに挑戦していたのだ。

分量がわからなかったため、何度も失敗を重ねて今ようやく納得いくものが完成したというわけだ。


「ま、まあ…初めて見る物ではあるが、何というかその…あまり美味そうには…」と目の前の得体の知れない物体に困惑している様子のアリシア。

「まあまあ!騙されたと思って味見してみてくれ!」と、俺はスプーンを渡した。

「アリシアさん大丈夫でしょうか?私達本当に騙されてるんじゃ…」とアリシアにしがみつくリリム。

「本当に大丈夫だから!」と俺はスプーンにマヨネーズを取り自分の口へ運んでみせた。

「ん~!!これこれ!!うんまぁぁ!!」と幸せそうな顔をする俺を見てアリシアは、

「で、では、、私も一口」とアリシアはマヨネーズを恐る恐る口に運ぶ。

「ア、アリシアさぁぁぁん!!」と青ざめるリリム。

お前はそんなに俺の事が信用できんのか!なんて思っていた

次の瞬間。

「ッ!?」とアリシアの表情が一変、驚きの表情から恍惚の表情に変わる。

「な、なんだこれは!?こんなに美味なものは初めてだ!!」と、二口め、三口めと、ものすごい勢いでマヨネーズを口に運ぶ。

「……」

そんなアリシアの様子を見ていたリリムも一口。

「!?」

「はわわわわわ!!!何ですかこれ!!!」とリリムも恍惚の表情を浮かべ、

「程よい酸味に食べ応えのある味!それでいてこのまろやかな口当たり、これはまさに、、食の大革命やぁぁぁ!!!」

(お前は彦〇呂か!)

と、心の中でつっこんでいると、

「ソウジ!こんなものを作れるなんて、君は天才だな!」

とアリシアは俺の両肩に手を置き、今までに見たことない興奮した表情で更に続けた。

「リリムの言う通り、これは本当に革命を起こせるぞ!そこでだ!ソウジ、こんな素晴らしいものをここで食すだけで終わらせるなんて勿体ない!私に考えがあるのだが、いいだろうか?」とアリシアは俺とリリムにその「考え」を説明した。

「…………」

「上手くいくんかな?」

(そもそも俺が発明したもんでもないけど…)

「大丈夫ですよ!ソウジさん!何かワクワクしてきましたね!」と妙に気合いの入るリリム。

そこまで言うならやってやるか!と気合いを入れようとした時だった。

「ところでソウジ?このまよねーずはあまり腹が膨れないようだが、、どれだけ食せばいいものなんだ?」

「あ…」

俺はマヨネーズ作りに没頭するあまり、肝心の食事を作り忘れていたのだ。

俺は二人にマヨネーズがどのようなものかを教え、平謝りをしながら三人で食事の準備に取り掛かるのであった。



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