第55話 黄金の檻⑧
ガリが棺を運んでくる。
「よく見なさい!これが10年前の真実よ!!」
ガリが棺の蓋を開ける。
「ーーーーーーーッ!?」
その場にいた観客たちは驚愕する。
「サラ様!?」
「どういう事だ?遺体が腐敗してないぞ?」
「一体どういうことなんだ?」
しかし、イザベラは依然認めない。
「フン!それが何だと……」
「これです!」
エピステーメーがイザベラの部屋から回収した農薬の瓶を取り出す。
「!?」
「イザベラ王妃、あなたの部屋から出てきた農薬です。これを使って、サラ様や側近の方たちを殺害した、そうですね?」
「そ、そんな物は知らない!大体どこに私の物だという証拠が……」
「農作物を育てられないこの国に農薬を持っている人間なんていないわ!こんな物を持ち込めるのは、外部から来た貴方しかいない!」
「あなたがユーダイモニアの行商人から買い付けたという記録もエヴァンシア市長から確認が取れてます。後日その記録が届くことでしょう」
エピステーメーはメガネをクイッと上げる。
すると、ジンは震えながらイザベラにしがみつく。
「い、イザベラ!嘘だよな?お前がサラを殺したなんて……」
次の瞬間、観客席にいる民衆が苦しみ始めた。
「ーー!?」
「こ、これは...魔毒?」
エピステーメーは片膝をつく。
「しまった……」
続けて、他の仲間たちも次々と膝をつく。
「イザベラ!」
ミシカは苦しみながらもイザベラを睨みつける。
「お、お母様...?」
イザベラの実の娘のクロエも苦しんでいた。
ジンは苦しみながら、イザベラを止めようとする。
「イザベラ、止めるんだ!こんな事をしては……」
「うるさいよ!!」
イザベラはジンを蹴り飛ばす。
「どうやら……イザベラの手にある魔晶石で発動させたようですね……」
エピステーメーが呟く。
その力は強力で、セラフドラゴンのサバオでさえも、その力を奪われ、苦しんでいた。
イザベラは高らかに笑い声を上げる。
「あーはっはっはっ!!ミシカ!お前の選択肢は二つ、この魔毒を止めてほしければ、家宝を渡し自害するか、このまま民衆共々死ぬかだ!」
イザベラはミシカの前に歩み寄り、平手打ちをする。
「ッ!?」
「何だ、その目は?生意気な小娘だよ!」
「イザベラ...教えなさい……どうやってお母様を手にかけたの……」
「ハッ!いいよ、どのみち死ぬ運命だ。教えてやるよ」
「…………」
「そうさ!サラもお前の執事も、サラの使用人もその側近も、全て殺したのは私さ!」
更にイザベラは続ける。
「簡単だったよ?その馬鹿な男はちょっと誘惑したら、簡単に私を愛人として受け入れ、未来を予言する占い師として城に迎え入れた。
魔物の襲来も、賊の襲撃も、あの大火災も全て私が仕組んだものさ!そうとも知らずに、この国の馬鹿共は予言を的中させたと、私を神のように崇めたね。そう、サラを除いてね!」
「……お母様」
「私が女の国王は不吉だ、災いが起こると言っても、あの女は頑として聞く耳を持たなかった」
「やはり...そういうことでしたか……」
エピステーメーはメガネをクイッと上げる。
「仕方ないから私が災いを起こしてやることにしたのさ。サラの命をもってね!」
「……どういうこと?」
「お前を殺すと脅したのさ!」
「!?」
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サラの部屋、幼い頃のミシカがベッドで眠りについているところ、サラは机で何かを書き綴ろうとしていた。
「サラ様、スープをお持ちしましたわ」
イザベラはスープポットとカップをテーブルに置く。
「貴方が持ってきたものなんて……怖くて頂けないわ。出て行って」
「そうですか……」
イザベラはナイフを取り出し、ミシカに向ける。
「何をしているの!!」
「騒ぐな!この子の喉を裂くよ?」
「クッ……」
「サラ、お前に選択肢をやる。娘を生かしたければ、そのポットのスープを全て飲み干せ!できないならこの場で娘を殺す!」
「ミシカ……」
「どうせお前は私を追放するつもりだろう?だったら娘をここで殺すくらい何とも思わないさ!」
「…………」
サラはポットのスープを一気に飲み干す。
「クッ……かはっ……」
「あーはっはっはっ!!絶景だよ!!いいよ、まだしばらくお前の娘は生かしておいてやるさ!」
「……はぁはぁ……ミシカに手を出さないで!」
「ならそのまま大人しく死ね!」
イザベラは部屋を出ていく。
サラは苦しみ、朦朧とする意識の中、血を吐きながら何かを書き綴り、ミシカの元へ行こうとする。
「……ミシカ」
サラはそのまま床に倒れ込み意識を失い、
翌朝には息絶えた状態で発見されるのであった。
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「……お母様」
ミシカは涙を浮かべながら、イザベラを睨みつける。
「あの女は迷わずスープを一気に飲み干した、娘を守る為にね。あの姿は滑稽だったわ!」
「何と卑劣な……」
アリシアも怒りを滲ませる。
「その後は本当はお前をすぐに殺しても良かったんだが、家宝の存在を知ったのさ」
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サラの死後、イザベラはサラの部屋に忍び込み、金目の物を漁っていた。
「フン、女王だったくせに大した物がないねぇ!」
そこにサラ専属の使用人と二人の使用人が部屋に入ってくる。
イザベラは咄嗟に隠れる。
「侍従長、今日もサラ様のお部屋を掃除されるんですね?」
「当たり前よ。サラ様のお部屋は常に綺麗にする、それが私たちの役目よ」
(チッ……めんどくさい、適当にやって早く出ていきなさいよ)
「侍従長、この木箱は?」
「ああ、それはサラ様の家宝よ。ミシカ様に受継ぐものなの」
(家宝だと?)
「そうですか、ではミシカ様にお渡ししますか?」
「そうねぇ...それはミシカ様が18歳になったら開けられるものなの。それまでは私がどこかに隠しておくわ。サラ様の遺した最も大切なものだからね」
「わかりました」
「ほら、あなたたちは他の部屋に行っていいわ。ここは私がやっておくから」
二人の使用人は部屋を出ていく。
「……その木箱は家宝なのね?ミシカが18歳になったら開けれると?」
「イザベラ様!?どうしてここに……」
イザベラは持っていたナイフを、使用人の手に握らせる。
「な、何を?」
「この家宝は私が頂くわ」
「そ、そんなこと許さな……」
イザベラは使用人に握らせたナイフで、使用人の首を突き刺す。
「がっ……!」
「フフ……ミシカ、あと10年は生かしてやるわ……この木箱を開けれるまではね」
イザベラは部屋を出る。
「誰か来て!侍従長が自害したわ!!」
使用人と兵士が駆け寄る。
「侍従長!!」
侍従長は既に息絶えていた。
「思い詰めた様子で……自分でナイフを首に突き刺して……私は止めようとしたんだけど、間に合わなくて……」
使用人と兵士が慌ただしく動き始めた隙を見て、イザベラは家宝の木箱を持って、その場を去った。
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「中身は何だか知らないけどね!どうだい、ミシカ。あの哀れな母親の愛で生かされてた気分は?」
「イザベラ...!」
ミシカは殺意を込めた目でイザベラを睨みつける。
「あーはっはっはっ!!あんたは今母親と同じような選択を迫られてるのさ!さあ、どっちを取るんだい?家宝はお前が持ってるんだろう?」
俺はイザベラの話を聞き、これまでにない程の怒りに震えていた。
『さて、相棒よ。あの馬鹿な女は全て吐いたぞ?そろそろいいだろう』
俺は立ち上がり、イザベラに向かって突進し、突き飛ばす。
「な、何だと!?」
そして、俺は星守を抜き、剣先をイザベラに向けた。
「俺はお前を絶対に許さない」
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ーーおまけ小話ーー
【大一番登場前】
「はぁはぁ……ど、どうしよう……ミシカさんが合図をしたら……」
「ダーリン、頑張ってね♡♡」




