第52話 黄金の檻⑤
「だーかーらぁ!私は極闘祭を見に来ただけで、ここでやってると思ったんですよぉ!」
「嘘をつくな!先程までお前の姿など見なかったぞ!」
リリムは兵士と言い争いをしながら連行されていた。
「離してくださいよぉ!どっからどう見てもヒロインでセクシーなレディですよ?そんな悪いことするように見えます?」
「は?」
兵士はリリムの胸元を見る。
「へっ!」
「あー!絶対今失礼な事考えましたよね!?」
「やかましい!これから全て吐かせてやる!」
「何を騒いでいる!」
その声に兵士は直立する。
やって来たのはクレアだ。
「クレア副団長、お疲れ様です!怪しい者を捕まえたので、これから尋問をしようかと...」
「お前たちの一存で勝手に決めるな!何様のつもりだ?」
「も、申し訳ございません」
「その女は私が連れていく。お前たちは持ち場へ戻れ」
「はっ!」
兵士たちはリリムをクレアに引渡し、持ち場へ戻っていく。
クレアは無言のまま、リリムを地下牢へ連れていく。
リリムを空気を察し、無言のままついていく。
地下牢に着くと、クレアはリリムに中に入るよう促す。
「ごめんね、リリムちゃん。あの場ではこうするしかなかったから...」
「大丈夫ですよ☆ミシカちゃんは無事に保護しました。今頃エピステーメーさんが魔装船に連れて行ってると思います」
「そう……ミシカ様は無事なのね?」
「はい……とても酷い怪我でしたが……」
「...ミシカ様はいつもこうやって耐えてきたの……でも、もう少しでミシカ様を救えると信じてる」
「はい!イザベラさんの部屋から証拠となりそうな物も見つけました」
「本当!?」
「はい、この後ソウジさんたちで何か考えると思います」
「わかった。私もすぐにあなたの仲間たちのところへ向かうわ。リリムちゃん、あなたは何があっても必ず助けるから、もう少しここで待っててね?」
「はい!待ってます☆」
クレアは急ぎ足で地下牢を後にする。
クレアが地下牢を去った後、少し経ってからカエラが兵士に連れられて戻ってくる。
「入れ!」
「チッ...」
兵士が去ると、カエラはそこに居るリリムの存在に気付く。
「リリム!?」
「カエラさん!えへへ、捕まっちゃいました☆」
「あ、アンタ...何やってんだよ?」
「実はですね……」
リリムはカエラにこれまでの動きを説明する。
「……そうか、なら明日全てケリがつきそうだな?それまではアタシとアンタは他人のフリをしておいた方が良さそうだ」
「そうですね。でもカエラさん、いざという時は、私のことは気にせず暴れちゃってくださいね☆」
その頃、ミシカを連れたエピステーメーは、魔装船に到着していた。
「ミシカ、ここが僕たちの船です」
そう言うと、エピステーメーは隠密魔法を解く。
「ひっ……!」
ミシカは乗り込み口の前に立ちはだかる大男に怯える。
「エピステーメーさん、おかえりなさい」
「ま、魔物が喋ったわ!?」
「え、えーと……彼はガリといって、僕たちの仲間の船守ですよ?」
「な、仲間……?」
「あ、俺……魔物に見えますかね?」
ガリは少しショックを受けたようだった。
「ご、ごめんなさい……こんなに大きな人初めて見たから...」
「と、とりあえず、中へ行きましょう」
船に乗り込むと、マリーナがエピステーメーに飛びつく。
「エピ先輩♡おかえりー!上手くいった感じぃ?」
「ち、ちょっと...マリーナ?」
「あれ?この子誰?てかチョー可愛いんですけど?」
「あ、この方は……」
「エピ先輩?もしかして……浮気?」
「ま、待ってください、マリーナ!今日僕たちが何をしに行ったか聞いてましたよね?」
「……リリムちゃんいなくね?え?リリムちゃん置いてちゃっかりデートしてたとか?それで部屋に連れ込む系?」
「そ、そうじゃなくて……」
「ウフフ♡エピステーメーさん、とても優しくエスコートしてくださいましたわ♡♡」
「ミシカ!?」
「……へぇ?エピ先輩?ちょっと中でいいことしよっかぁ?」
エピステーメーはマリーナに引きずられ、奥の部屋へ連行される。
「ちょっ!ミシカ、ちゃんと説明を……」
扉が閉まる。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
「あら、何だか楽しそうね?」
騒ぎを聞いて駆けつけたのはミレア。
「あなたは?」
「私はミレアだよ!あなたは?」
「ミシカよ」
「ああ!あなたが?こっちへ来て?食べ物作って待ってたの。お腹空いたでしょう?」
「ええ、お邪魔させてもらうわ」
その後、俺たちも船に戻り、さらにクレアも合流した。
「ミシカ様!良かった……無事で本当に良かった……」
クレアは涙ながらにミシカに抱きつく。
「クレア...心配かけたわね。貴方だけよ?私をずっと信じてくれていたのは」
「ミシカ様……」
「君がミシカ?」
俺はミシカの前に立って声をかける。
「ええ、貴方はソウジさんかしら?」
ミシカは小さく微笑みながら問い返す。
「あ、ああ。よろしくな!」
(この子がミシカか。なんというか……めちゃめちゃ可愛い子だな……)
「あら、ソウジきゅん?何を考えているのかしら?」(圧強め)
「あ、いや……」
「ウフフ♡お仕置が必要かしら?」
「いやいやいや!怖ぇって!!」
その時だった。
「エピ先輩!!それマジで言ってんの!?」
マリーナの怒号が響き渡った。
「……」
エピステーメーは何も言わず、俯いていた。
俺たちは二人に駆け寄る。
「ど、どうしたんだ?」
「ソウジ!リリムっちが城で捕まったって……」
「ーーーーッ!?」
「エピ?何か理由があったんだろ?」
「……ええ」
エピステーメーはミシカと共に、城での経緯を話す。
「……そうか、リリムは無事なんだな?」
俺がそう問いかけると、クレアが答える。
「ええ、それは私が保証するわ」
「エピステーメーは何か見つけたのか?」
アリシアがエピステーメーにそう聞くと、
「はい、これです」
エピステーメーは瓶を取り出す。
「これは……農薬?」
「そうです。イザベラの部屋から出てきました。お世辞にも作物を育てられる土地ではないので、不要な物ですし、ミシカの話では、イザベラは作物を自分で育てるような人ではないと」
「てことは、イザベラの部屋にあるのは不自然ってことだな?」
「そういうことになります」
「……これ、しっかり中身が減っているわね?」
レイシェルは中身が減っていることに気付く。
「去年...私の専属だった執事が病気で亡くなったわ……まだまだ若かったはずなのに……」
「だとすると……やはり……そうだ、クサレマグロ様?」
『何だ?』
「クサレマグロ様でしたら、ここからユーダイモニアのエヴァンシアと念話は可能ですか?」
『可能だ』
「では、確認してもらいたいことがあります」
「…………」
『...わかった。すぐに確認しよう』
「ありがとうございます」
クサレマグロはエヴァンシアと念話を始める。
「クレア、この国は火葬ですか?土葬ですか?」
エピステーメーはクレアに尋ねる。
「この国は土葬よ。それがどうかしたの?」
「そうですか、それならば……」
エピステーメーはミシカの方を向く。
「ミシカ、少しいいですか?」
「何かしら?」
「イザベラの犯行と確定づける為、確認したいことがあります。しかし、これには貴方の許可が必要です」
ミシカとクレアは目を合わせる。
「私も一緒に聞いてもいいか?」
「もちろんです。それは……」
俺たちはクサレマグロの念話が終わるのを待っていると、クレアの怒号が聞こえてきた。
「ふ、ふざけるな!!そんな事、許されるはずがないだろう!!!」
ミシカは俯いている。
俺たちは慌てて三人のところに駆け寄る。
「どうしたんだ?」
「はい、確認したいことがあったので、ミシカに許可を得るところでした」
エピステーメーはメガネをクイッと上げる。
「許可?何の許可だ?」
「...サラ様の墓を掘り起こす許可です」
「ーーーーッ!?」
「ほ、掘り起こすって……何でまたそんなことを?」
俺はエピステーメーに問いかける。
「僕の推理が正しければ、これが一番確固たる証拠になるからです」
「……」
ミシカは俯いたままだ。
「ふざけないで……これ以上ミシカ様を苦しめないで!」
クレアは怒りを滲ませる。
「……行きましょう。お母様の墓へ」
「ミシカ様!?」
「クレア、前に進まないと、何も始まらないわ」
「……わかりました」
そして、俺たちは真実を確認するため、サラの墓へ向かうのであった。
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ーーおまけ小話ーー
【夜といえば?】
「カエラさん、どうします?恋バナでもしましょうか☆」
「……さっさと寝ろよ」




