第44.5話 クサレマグロと、とあるエルフの邂逅
ルナとの約束を果たすため、クサレマグロは一人大きな棺を抱えて、とある森の奥深くまで来ていた。
「やはり、ここを選んで正解だった。ここには特殊な磁場と魔力がある。ここであれば誰にも見つかるまい」
クサレマグロは深く穴を堀り、そこに抱えてきた棺を納めた。
棺に結界を張り、とある魔法をかける、
その後土を被せ、一つの苗木を植えた。
「こいつは特殊な樹木になる。早くに成長し、根を張り、棺を守ることだろう。」
作業を終え、森を出ようとした時だった。
突然の雷雨。
辺りは暗くなり、足場も悪くなる。
「くそ、大したことではないのに……まだこの体に馴染めぬ……思うように動か……!?」
足下を取られたクサレマグロ。
そのまま滑り落ち、谷底へ落ちてしまう。
「しまった……こんなところで...」
「ッ!?」
クサレマグロが意識を取り戻すと、そこはどこかはわからないが、建物の中のようであった。
「ここは?」
「あら?目が覚めたの?」
そこにはエルフの少女が。
その後ろにはさらに小さな、幼いエルフが顔を覗かせていた。
「お前が助けてくれたのか?」
「……本当は放っておいても良かったんだけどね」
「あなたが、まだ死ねない、約束が……とか言ってたから...」
「そうか、すまなかったな」
エルフの少女はじっとクサレマグロを見つめる。
よく見ると、その瞳の片方は金色で、僅かに光を放っていた。
(オッドアイ?珍しいな……)
「……あなた、死ぬわよ?」
「え?」
突然の一言にクサレマグロは微かに動揺する。
「……まあ、人間いつかは死ぬものだからな」
「そうじゃなくて……」
「……わかっている。だが、我の命が尽きようと、果たさねばならぬ約束があるのだ」
「……そう」
「我はクザレ・マクロイヤーだ。お前は?」
「レイシェルよ」
「そうか、レイシェルよ。助けてくれたこと、感謝する」
「それならば、私の方こそありがとう」
「……お前に礼を言われる覚えはないが?」
「……魔獣」
「ん?」
「あなた、魔獣を倒してくれたでしょう?この子が襲われそうになっていたの。まあ、あまり周りは見てなかったようだけども」
「そ、そういえば……」
「私、人間は嫌い。でも、クザレ・マクロイヤーさん、あなたには感謝しています。妹を助けてくれてありがとう。ほら、ミレアも」
「...ありがとう」
「……ああ」
クサレマグロは起き上がり、支度を整える。
「どこへ行くの?」
「我には時間がない。もう行かねば。それに、お前たちの隠れ里に、我が長々と滞在するわけにはいかぬだろう」
「……本当に人間らしくない人ね」
「お前、未来が見えるのだな?」
「ーーーーーッ!?」
「悪しき者には気をつけることだ。それと、いずれお前の運命を変える出会いもあるはずだ。それまで達者でな」
「……はい」
「では、失礼する」
クサレマグロは颯爽と、エルフの隠れ里を後にするのであった。




