第45話 次の目的地は?
クサレマグロとルナの過去を聞き終えた俺たちは、これから進むべき道を、ルナに問いかけた。
「女神様、聖都セレスティアの今後についてですが……大司教のカテリーナちゃんが、進むべき道を示していただきたいと……」
「セレスティアについては、再び霧の結界を展開しましょう。そしてカテリーナには、神位継承者として神格昇華をしてもらいます」
『ルナ!それは――!?』
「フフフ♡ クーちゃんとの約束も、もう少しだものね♡」
「な、なあ? 言ってることがよくわかんねーんだけど……」
俺はリリムに問いかける。
「私もよくわかりません☆」
ルナは話を続ける。
「そして、フェンリル。あなたも、この異変に気付きましたか?」
「ああ……余の主の気配が感じられぬ」
「え? それって……」
「わからぬ。しかし主が健在であれば、余はこの聖域に来た時点で魔力が戻るはずなのだが……」
「可愛いワンちゃんのままだものね? もう、この方が可愛いから、ずっとこのままでいたら?」
ルナはサブをつつく。
「やめんか! 余は犬ではない!!」
「何にしても、僕たちはまだまだ世界を回る必要がありそうですね」
エピステーメーは、メガネをクイッと上げる。
「そうだな。帝国の挙動も気になる。女神様、我々は今後どのようにすべきだろうか?」
アリシアはルナに尋ねた。
「そうですね……」
ルナは瞳を閉じる。
「イグニス大陸、グラキエス大陸、そしてヴェルデア大陸――この三つの大陸に、あなたたちにとって重要な運命が待っています」
「ほぼ世界一周になりますね……」
エピステーメーは、メガネをクイッと上げる。
「女神様、そこへ行けば何があるんだ?」
カエラがルナに問いかける。
すると、ルナは優しく微笑み、
「あなたたちの目で確かめてください」
と言い放った。
「余もこのまま、お主たちについて行く。どこかで主の手がかりがあるかもしれぬしな」
「サブは何があっても離しませんよ☆」
リリムはサブを抱きしめる。
「やめんか!!」
「リリム」
「はい、女神様?」
「……シャロンは、まだ生きています。彼女はすべての力を隠し、この世界のどこかで身を潜めているようです」
「え! シャロンお姉ちゃんが!?」
「シャロンもまた、大きな災いに巻き込まれているのでしょう……見つけたら、どうか助けてあげて……」
「わかりました! 必ずシャロンお姉ちゃんを見つけてみせます!」
「……」
『相棒よ、どうした?』
俺には一つ、疑問が残っていた。
「なあ、クサレマグロ。さっきの話だと、この世界のどこかにお前の身体があるのか? それと、お前が最後に戦った奴って……」
『――――!?』
クサレマグロは俺の問いかけに一瞬動揺したように思えた。
『……忘れた』
「は?」
『千年も前のことだ。それに、一部の記憶はないからな』
「な、なんだよ……そりゃ」
「フフフ♡ クーちゃんは、私と愛し合ったことしか覚えてないのね♡」
「うわぁ……さすがお猿さんですね☆」
『やかましい!』(恥)
俺は話をはぐらかされたような気がしたが――
後にこれが、クサレマグロの優しさであったことを知ることになる。
「よし、それじゃ行こうか」
「女神様、また立ち寄りますね☆」
「お気を付けて。世界の命運、あなたたちに託しましたよ」
「クサレマグロ? お前もまだ一緒に来てくれるんだな?」
『当たり前だろう? 我がいないと、誰がお前を守るというのだ?』
「私が命に代えてもソウジを守るぞ?」
「主、アタシが付いてるからな?」
「フフ♡ ソウジきゅん、私たちは運命で……はぁはぁ♡」
『えぇ……ここ割り込んでくる?』
「はは……(笑)」
「フフ……皆さん、クーちゃんのこと、頼みましたよ」
「女神様、事が済んだら、必ずクサレマグロは女神様のもとへ返しに来るから!」
俺はルナにそう言い放った。
「フフ♡ ありがとう、オキタソウジ」
「クサレマグロさんが浮気しないように、見張らないとですねぇ☆」
『我がこの姿でどうやって……』
「フフ……もしクーちゃんが、私以外の女に発情したら……」
――バチバチバチッ!!
『ぎゃああああ!!』
「フフフ♡」
ルナはどうやら、クサレマグロに何か仕掛けたようだ。
「じゃ、じゃあ行こっか」
「女神様、行ってきます☆」
「……待って」
女神が呼び止める。
「ん?」
「何か忘れてない? クーちゃん♡」
『な、何を忘れるというのだ?』
「へぇ?」
――バチバチバチッ!!
『ぎゃああああ!!』
「行ってきますのチューはできないから、せめて……ねぇ?」
「あ、圧がすごい……」
『わ、わかった……ルナ、行ってくる……その……愛してる(照)』
「フフ♡ 私も愛してるわ♡♡ 行ってらっしゃい、クーちゃん♡」
「……何を見せられてるんだ……俺たちは……」
こうして、聖域を後にした俺たちは、再び聖都セレスティアへと向かった。
セレスティアに到着すると、俺たちは早速大聖堂へ向かう。
「あ、アリシア様♡ おかえりなさいませ……はぁはぁ……今すぐ寝床の準備を……はぁはぁ♡」
「い、いや……大丈夫だ……」
「ホントに大丈夫か? コイツ」
「フフ、もう周りが見えなくなるタイプね♡」
レイシェルが微笑みながら言う。
「アンタ、人のこと言えないだろ……」
リリムが、女神から言われたことをカテリーナに伝える。
「私が……神位継承者に……!?」
「はい、女神様はそのように仰っていましたよ☆ そのために、神格昇華を、と」
カテリーナは涙を流す。
「わ、私が女神様に認められて……まさか、こんな日が来るなんて……」
「な、なあ……そんなにすごいことなのか?」
俺は横にいるエピステーメーに尋ねる。
「僕も詳しくはわかりませんが、聖域で聞いた話からすると……神位継承者となった者が、次の女神様になるのか、それともまた別の存在になるのか……」
『神位継承者は、ナルシスの言う通り、将来的に女神となり得る存在だ』
「で、神格昇華ってのは?」
「人間から女神の存在へと至るための、修行のようなものだ。ルナは元々特殊で、すでに神格昇華を終えていたがな」
「そうすると、あの女はその神格昇華にどのくらいの時間がかかるんだ? 人から神になるんだろ?」
カエラがクサレマグロに問いかける。
『それはわからぬが、ルナが認めた神位継承者だ。すでにあの娘には、その資格がある。それに相当な信仰心もある。もしかしたら、ルナ以上の素質を秘めているかもしれん』
「そっかぁ……カテリーナが女神様かぁ……」
俺たちはカテリーナに視線を向ける。
「アリシア様ぁ♡ 今晩はぜひ私の部屋へ♡ あ、お風呂もご一緒にいかがですか? はぁはぁ♡♡」
「か、カテリーナ、私は君とふしだらな関係にはなれないんだ!」
「アリシア様♡(すりすり)」
「は、離してくれぇ!!」
「……女神様になる人って、みんなああなのか?」
「女神様の素質、ということですか」
エピステーメーは、メガネをクイッと上げる。
『……お前ら、何が言いたい?』
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「……そうですか……あなたたちは、これから長い旅になるのですね」
俺たちはカテリーナに、これからのことを話した。
「世界の命運を託された旅……ぜひ私も同行したいところですが……」
「いや、大丈夫だ! カテリーナは自分のやるべきことに専念するといい(即答)」
(アリシア……ガチで拒否ってる……)
「そうですね、カテリーナちゃんはこれからが大変ですからね」
「私はここで、女神様のご啓示通り、神位継承者を目指します」
「ああ、カテリーナ。また立ち寄らせてもら――」
「あなたは断固拒否します(ゴミを見る目)」
「え、えぇ……」
「カテリーナちゃん、また来ますね☆」
「はい、リリムも気をつけて」
「で、では……」
「アリシア様♡ せめて最後に私の愛を……はぁはぁ♡」
「だ、大丈夫だ……カテリーナ、達者でな」
アリシアは、ものすごい速さで大聖堂を出る。
「あ、アリシア様ぁ!!」
カテリーナは泣き崩れた。
「だ、大丈夫か?」
「……カテリーナ、必ずまた来るから……貴殿も頑張ってくれ」
「アリシア様♡ はい! 私、頑張って……アリシア様とのエデンをお創り致します♡♡♡」
「目的が変わってるな……」
「可愛いわねぇ♡」
俺たちは大聖堂を後にし、魔装船へと戻るのだった。
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ーーおまけ小話ーー
【女神になったら……】
「あぁ……もし私が女神様になったら……一人の方を想い続けるなんて……アリシア様……」
「うん、全然大丈夫だと思うぞ?」
※前例あり




