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第25話 エルフを救え②

挿絵(By みてみん)


エルフ救出に向けて一致団結した俺たち。

さっそく作戦を立てようとしたのだが――


「ここから先の話は、不本意だが、あの女ったらしも交えた方がいいだろう」


カエラは露骨に嫌そうな顔をしながらそう言った。


「そうか…カエラがそう言うのであれば、私も不本意だが仕方がないのだろう」


アリシアまでもが同じように嫌そうな顔で頷く。

……こいつら、いつの間にそんな息の合う関係になったんだ?


「長い一日になるかもしれません。明日に備えて早めに休むこととしましょう」


そう言ってエピステーメーは立ち上がろうとする。


『カシャン!』


「……」

「…アンタ、さっきから鎖で繋がれてるぞ?」

「へへ~☆エピ先輩はこれからぁ…」

「マ、マリーナ。お願いですから今日は休ませてください…」

「んん~、仕方ないなぁ」

「アンタらって夜な夜な何やってるんだ?」


「そーいえば、カエラ姐さんの部屋どーしよ?何も準備してなかったんだよねー」

「アタシは主の部屋で一緒に寝るから別に……」


「ダメだ!」

「ダメです!」


リリムとアリシアの声が見事に重なる。


「そ、そこまで……」

「カエラは私の部屋で寝るといい」

「何だよ……堅物女と一緒かよ」

「誰が堅物だ!貴様、部屋から一歩も出れると思うなよ」


そのまま言い争いながら、アリシアとカエラは部屋へと戻っていった。


「だ、大丈夫なのか?あの二人……」

「大丈夫ですよ!だって仲良しさんじゃないですか☆」

「どこが!?」


一抹の不安を覚えながらも、俺も自分の部屋へ戻り、その日は休むことにした。


深夜。

ふと目が覚めた俺は、夜風に当たろうと部屋を出る。


(そういえばあの二人、あれから大丈夫だったんだろうか?)


そんなことを考えながら廊下を歩いていると、アリシアの部屋の扉がわずかに開いているのに気付いた。

いけないことだとは分かっていたが、どうしても気になり、俺はそっと隙間から中を覗く。


挿絵(By みてみん)


「え……こいつら、いつの間に仲良くなったんだ?」


寄り添うようにして眠っている二人の姿を見て、思わず声が漏れる。


「だから大丈夫って言ったじゃないですかぁ☆」

「のぁぁぁぁぁぁ!!!」


振り返るとそこにはリリムの姿がいた。

なぜか手には油性マジックを持っている。


「ソウジさん、また覗きですか?」

「またって何だよ!?たまたま通りかかったら扉が開いてたから……」

「ふーん…まあそういうことにしておきましょう」

「というか、お前こそ何してんだよ?」

「え、私ですか?最近ヒロインの座が危うい気がしまして、今のうちに出る杭は打っておこうかと……」


※マリーナ修正済み


挿絵(By みてみん)


「やめとけ!!大体そのマジックどこから持ってきた!!!」


そして翌日。

俺たちはエリアスの館へ向かって歩いていた。


「こないだは馬車だったからわかんなかったけど、こうして歩いてみると結構距離あるんだな」

「無駄に広い街だからな。いけ好かない貴族共はああやって高台に住んで下界を見下ろしてるってわけさ」


「マリーナ、どうしました?」

エピステーメーはメガネをクイッと押し上げる。


「うぅ……か、かかか顔がヒリヒリします…」

かなり強めの力で顔を洗ったのだろう。


挿絵(By みてみん)


(リリムの被害者がここに……)


しばらく歩くと、遠目にも目立つほどの大男が道端に座り込んでいるのが見えた。

どうやらひどく落ち込んでいる様子だ。


「ん?何だありゃ」

「軍人か?何やら落ち込んでいるようだが…」


気になった俺は声をかけてみることにした。


「主、ほっときゃいいって!」

「んー、なんか気になるからさ」

「ソウジはいつもこうなんだ。気になったら何もせずにはいられないようだ」


アリシアはどこか穏やかな表情でカエラにそう語る。


「ふーん、まあ別にいいけどさ」


そして俺は座り込んでいる大男に近づいた。


「あの、どうかしましたか?」

「お財布落としちゃったとかですかねぇ?」


大男は静かに口を開く。


「……また…たんだ……」

「え?」

「また兵士をクビになったんだよぉぉ(泣)」

「え、えぇ……」


「クビにって……貴殿は体格もいいし、お世辞抜きに相手に脅威を与えられそうな感じに見えるのだが……」

「…俺、ダメなんです。戦場が怖くて…この前も、その前も、そのまた前も、戦場から逃げ出して、それでクビにされてきたんです」


「う、うーん……兵士が戦場から逃げるのはな……ましてや貴殿は体格もいいし、余計に目立つだろう?」

「俺、戦場だと戦えないんです。力は自信あります。一つのものを守るのは大丈夫なんですが……」

「何で戦場だとダメなんだ?」

「そ、その、なんていうか、国のためにみたいな……そんな大きなもの背負って戦うなんて……だから誰かを守るとかこの建物を守るとか、そういうことであれば問題はないのですが……」


『ふむ、我の見たところ、確かにこの大男、相当な手練だ。まあ重圧に弱くて、戦場では本来の力を出せないといったところか』


クサレマグロはこの大男を早速分析したようだ。


「い、いいいいい色んな、変わった方がいらっしゃるのですね……」

「……アンタも相当変わってると思うぞ?」


「なあ、あんた名前は?」

俺は大男に手を差し伸べる。

「……ガリ」

「え?ど、どこが!?」

「どこがと言われても……俺の名前はガリです」

「じ、じゃあさ、ガリ!俺たちと一緒に来ないか?」

「え?君たちと?」

「ああ。俺たち今からエリアスって、この街の一番の貴族のとこに行くんだけどさ、もしかしたら用心棒として雇ってくれるかもしれないだろ?俺からもお願いしてみるし!」

「ほ、本当に!?会ったばかりの俺にそんな事まで?」

「困った時はお互い様ってことで!」


そして俺はガリと名乗るこの大男を、エリアスのもとへ連れていくことにした。

……本当にデカい。


挿絵(By みてみん)


ガリを連れて俺たちはエリアスの館に到着する。


「やあ!カエラを連れて来たんだね?」

「ああ。その前に頼みがあるんだけど」

「頼み?」


俺はガリをエリアスの前に立たせる。


「ガリっていうんだけどさ、エリアスの用心棒として雇ってもらえないか?」

「ふむ……」


エリアスはガリをじっと見つめる。


「うん、いいよ!それでは早速君には館の警護をしてもらおう」


エリアスは他の兵士を呼びつけると、ガリに色々教えるよう指示を出した。


「あ、ありがとうございます!一生懸命頑張ります!」

ガリは深々と頭を下げる。


「うん、頑張ってね」

「ガリ、頑張れよ!」

「ソウジさん、本当にありがとうございます!」


ガリを見送ると、俺たちは館の中でエリアスと今後の作戦について話し合うことにした。


「それで、話というのは?僕に何かしてほしいことがあるのかな?」


エリアスはアリシアとカエラにウインクをし、謎の合図を送る。

アリシアとカエラはこの世のものとは思えないほど冷めた顔をしている。


挿絵(By みてみん)


「アタシたちはこれからエルフ狩りの首謀者を討ちに行く。それで、アンタに頼みがあるんだ」

「ほう、頼みとは?」

「ハモスの町に一緒に来てもらいたい」

「ハモス?ここから北東にある治安の悪い町だね。そこで何があるんだい?」


治安の悪い町に来てほしいと言われても、一切動じないエリアス。

どうやらこの男は本気でエルフたちを救いたいと思っているのであろう、その顔は真剣だ。


「アンタ、そこにある地下の施設にブラックマーケットってあるの知ってるかい?」

「ブラックマーケット?聞いた事ないけど、あまり穏やかな感じはしないね」

「そこではありとあらゆる違法なものが取引されてるんだ。人身売買もな?」

「……ということは?」

「……もちろん、エルフもだ」


「ーーーーー!?」


「アタシもネメルヴァにやられる寸前に知ったんだけどな?奴は捕まえてきたエルフをそこで取引してるんだ」

「じゃあそこで張り込んでれば、そのネメルヴァって奴と?」

「ああ。これ以上奴の好き勝手にさせない」

「それでは、君たちはそのエルフ狩りの首謀者を討つ。僕は何をすればいいのかな?」

「アンタの人脈と権力を使って、そこから取引されていったエルフたちを辿って救い出してやってほしい」

「なるほど、それならば僕の仕事だね。ついでにそのブラックマーケットとやらも壊滅させよう。今後同じような悪夢を繰り返さないためにもね。では早速準備を始めよう」


エリアスは立ち上がり、部屋を出ようとする。

するとカエラの横に立ち止まる。


「……ありがとう」

「……」


それだけ言い残すと、エリアスは部屋を出て行った。


「…それじゃ、アタシたちも行こうか」

「ええ。早速参りましょう。ところで、彼は大丈夫なのでしょうか?」

エピステーメーはメガネをクイッと上げる。


「アイツなら大丈夫さ。いけ好かない奴だけどやる時はやる男だ。エルフの件もブラックマーケットの件も徹底的にやるだろう」

「ほぇぇ……ソウジさんとは違いますねぇ」

「比べるなよ……」


ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーハモス・ブラックマーケット内


「ネメルヴァ様、いつもありがとうございます。あなたが始めたこのビジネス、今や世界中に広まっておりますよ?」

「……」


ネメルヴァは男にエルフを引き渡し、金貨を受け取る。

ネメルヴァはエルフたちが捕らえている牢の中を見渡す。ここには世界中のエルフ狩りの被害に遭ったエルフたちが捕らえられているようであった。


(いないか。あの血がなければ……)


「何か気になることでも?」

「……いや、何でもない」


ネメルヴァはその場を立ち去る。



ハモスの町の郊外。


「!?」


ネメルヴァはエルフを引き連れた男が小屋に入っていくところを目撃する。



「ククク、テメーらのおかげで儲かってしょうがねえ」


「……」


「なんだその目は?お前の大事な妹、このまま売り飛ばしてやってもいいんだぜ?とびっきりの変態にな?」


「くっ……」


「その前に、俺も楽しませてもらわねーとな…ずっと我慢してたんだよなぁ…」


男はいやらしい笑みを浮かべながら服を脱ぎ、エルフに迫る。


「や、やめ…」

「やめて!妹に触らないで!!」

「じゃあお前からだなぁ…」


すると、扉の開く音がする。

不意に、空気が変わった。


湿ったような重苦しい気配が小屋の中を満たし、エルフの背筋に冷たいものが走る。


「誰だ!?」


「……そのエルフ、私によこせ」


そこに立っていたのは、全身から異様な威圧感を放つ一人の男、ネメルヴァだ。


その存在だけで、場の空気が凍り付く。


エルフは何かを見た。

そして理解する。


(……逃げられない)


「何だ、テメェは…」


男が一歩、前へ出る。


『ザンッ!』


気付いた時には、男の首が床に転がっていた。

血が遅れて噴き出す。


「ーーーーーッ!?」


エルフは声も出せず、その光景を見つめることしかできなかった。


「お前は私と来てもらおうか?その男のようになりたくなければな?」


「姉さん!」

「お前に用はない」


「あ……」


「ミレア!!!」


挿絵(By みてみん)


ミレアと呼ばれたエルフの胸を、ネメルヴァから放たれた糸が貫通する。


「……これで、私の念願が叶うのだ。ククク」

ネメルヴァはエルフを糸で拘束し、そのまま連れ去って行ってしまった。



ーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーおまけ小話ーー


【起こしに行ってみたら】


挿絵(By みてみん)


「くぁー」

「あ、ソウジおはよう」

「いや、お前らどんだけ仲良くなってんだよ」

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