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第18話 革命会議!

挿絵(By みてみん)


謎のラブコメ騒動の翌日、俺は中庭でクサレマグロ指導の元、アリシアと稽古をしていた。


「さあソウジ、好きに掛かってくるがいい」


不敵な笑みで木剣を構えるアリシア。

剣術ド素人の俺でもわかる。隙がない。


『相棒よ、薙ぎ払う振りをして突っ込め』

「わ、わかった」


俺はクサレマグロの言う通り、薙ぎ払う形でアリシアに突っ込む。


「うおおおおおお!!!!」


俺の突撃に対して構えを変えるアリシア。


『よし、直前で振り下ろすように構え直せ』

「おう!」


またクサレマグロの言う通りに動く。


「むっ!?」


アリシアは即座に対応すべく構えを変える。


『相棒よ、今だ!』


「ーーッ!?」


俺のミドルキックがアリシアの脇腹にクリーンヒット…したのだが。


「痛ってぇぇぇ!!痛てぇーよぉー!!!」

「だ、大丈夫か!?ソウジ!!」

『軟弱者だな…お前は』

「鎧とケンカして俺の足が勝てるわけないだろ!!」

『…我なら抉っていたぞ?』

「お前と一緒にすんな!!」


挿絵(By みてみん)


「はは!これはある意味一本取られたな」

『ある意味ではない。戦場なら完全に一本だ』

「そ、そうか…」

『下着娘よ。お前の剣は見事だ。美しいと思える程にな?だがお前は相手が剣なら確実に斬撃が来る、と身体が覚えてしまっている』


「痛ってぇよぉぉぉ!!」


「む…確かに、クサレマグロ殿のご指摘通りだ」

『剣術の試合ならそれでいいだろう。だが戦場になると生きるか死ぬかだ。そのことをよく考えてお前の美しい剣を完成させるといい』


「痛てぇぇぇぇ!!!!」


『うるさいぞ相棒!!せっかく珍しくいいこと言ってるのに!!!』


「ありがとう、クサレマグロ殿。精進するよ」

『うむ、いつでも我に尋ねてくれればよい』


「ソウジさーん、アリシアさーん!そろそろお時間ですよー☆」


俺達は稽古を切り上げ、エヴァンシアの元へ向かう。


「ソウジ、肩を貸すよ」

「ああ、ありがとう。アリシア」

「フフ、しっかりしがみついてくれていいんだぞ?」

「歩きづらいだろ…」

『…昨日からお前ばかりいい思いをしているな』

「どういうことだよ?」

『お前昨日湯浴み場でおいしい思いをしたそうじゃないか?ナルシスから聞いたぞ』


アリシアは赤面する。


「あ、あれは事故で…ってかエピの野郎わかってやがったんだな!!!」



その後、俺達はエヴァンシアを訪ねると、今度はこの邸内で最も大きな建物に案内される。


「今日は世界に革命を起こす為の大事な話し合いだからね!しっかりと会議室を使わせてもらうわ」

「皆さん、おはようございます。本日はよろしくお願いします」

そこにイリアスも合流する。


「改めまして、イリアスと申します」

「そうか、お互い自己紹介がまだだったな。アリシアだ」


アリシアに続いて俺たちも自己紹介をし、早速会議は始まる。


挿絵(By みてみん)


「まず会議を始める前に言っておきたいことがあるの」

エヴァンシアは真剣な顔で俺達に話し始めた。


「私達はこれから共に革命を起こす同志よ!ソウジ君、リリムちゃん、エピステーメー君、アリシアさん、サバオ君。私のことは市長なんて呼ばなくていい。仲間としてエヴァンシアと呼んでちょうだい」


「…アリシアは“さん”なんだな?」

「ゔっ…だって…なんかアリシアちゃんって感じじゃないかなぁって…」

「ははは!それなら無理に敬称は付けなくていい。アリシアで構わないよ」

「そう、ならそうさせてもらうわね」


「それでは早速、鉄道の話からよろしいでしょうか?」


イリアスの声掛けと同時に本題に入る。


「エヴァンシア市長より、ソウジさん発案の鉄道計画と信用経済化計画についてお話を聞かせていただきまして…」


「…なあリリム、信用経済って何だ?」

「え…ソウジさん自分で小切手だの銀行だの言ってたじゃないですか…」

「あー、そういうことか…」

「…まだボケるには早いですよ?」


「ではこの鉄道計画ですが、手始めにマロ漁港とこのユーダイモニアを繋ぐ路線を作りたいと思っています。そして、この広大なユーダイモニアの街中を走らせる。まずは試験的にここから始めていきたいと考えております」

「なるほど、しかしこことマロ漁港を繋ぐとなると…魔物もいますし、建造も大変そうですね」

エピステーメーはメガネをクイッと上げる。


「はい。なので地下を使おうと思います」

「なるほど、地下ですか。ソウジ、その鉄道は地下を走ることは可能なんですか?」

「ああ、地下鉄ってのがあるくらいだし」

「でも穴掘るの大変そうですねぇ…」

「それならば既にマロ漁港からユーダイモニアまでの直通のトンネルは出来ているのです」


「え?」


するとエヴァンシアが口を開く。


「私が指示したの。魔物の多い街道を避けるには地下しかないと思ってね。ウチに在中してるドワーフ達は優秀だから仕事が早いの」

「ドワーフ?何かヒゲボーボーなやつか?」

「まあ個人差はありますが…各国必ずドワーフは在中していますよ?彼らの技術無くして我々の生活は成り立ちません」

「そ、そうだったんだ…漫画とかで読んだことあるけど、地底に住んでるもんかと…」

「まさか!彼らだって私達と同じように生活するわよ?」


「しかし一つ、この鉄道計画には大きな問題があるのです」


イリアスは深刻そうな顔で言う。


「大きな問題とは?私達で解決できるものだろうか?」

「その、鉄道がどのようなものか、見た目から何から全く想像がつかないのです」


全員黙り込んでしまった。

俺にとっては日常的に当たり前のものであるが、この世界の人達にいきなり鉄道と言っても、形から何から全く想像ができないのであろう。


「ソウジ、君はその鉄道をよく知っているのだろう?ここは一つ、絵を描いて説明してみてくれないか?」


アリシアの提案に俺はドキッとする。


「絵…その…俺、絵めちゃめちゃ苦手なんだけど?」

「しかしソウジにしかわからないのでは、貴方が描くしかないですよ?」

「大丈夫よ、ソウジ君。何となく雰囲気がわかるだけでもいいから」

「わ、わかった…」


エヴァンシアの言葉を聞き、俺は電車の絵を描き始める。考えて、考えて、考えて、何度も描き直して一時間後。俺の鉄道の絵は完成した。


「ど、どうだ?俺めちゃめちゃ頑張ってみたんだけど、これならわかると思う!」

「お、どれど…」


『ーーーーーーー!?』


「こ、これは…」

「何とも独創的というか…その…なんと言えばいいのか…」


「ん?何かおかしかったかな?」


「うわぁ…ソウジさん、ド下手ですねぇ(直球)」

「リ、リリム!もう少し優しい言い方を…」

「え?だってアリシアさん、これを上手だと思います?昨日産まれたばかりの赤ちゃんが描けるレベルですよ?」


そう、俺の絵はもはや画伯レベルだったのだ。

この絵の下手さがコンプレックスで、よく美術の授業では仮病を使ったものである。


「わ、わかってるよ…そんなん俺が一番よくわかってるよ…でもさ、皆わかんないって言うから頑張ったのにさ…ブツブツ」


「あら、拗ねちゃいましたねぇ☆」

「リリムのせいだと思います」

エピステーメーはメガネをクイッと上げる。


「ま、まあまあ!この絵を参考に考えてみましょう!ソウジ君、この鉄道は屋根に跨るのかしら?」


「…それ、運転手さん描いただけっす…実際は中にいるっす…屋根なんか乗ったら危ないっす…」


明らかに困惑するエヴァンシア。


「仕方ないですねぇ☆皆さん、一旦ソウジさんの落書きの事は忘れましょう!」

「落書きって何だよ!!じゃお前は描けるのかよ!?」

「フフフ…お任せください。完璧なものを仕上げて見せましょう☆」


妙に自信満々なリリム。


「さあ、サバオ!鉄道の絵を描いてください☆」

「サバオに描かせんのかよ!!!」


「デンシャー!!」


サバオはものすごい早さで絵を描いていく。

そしてあっという間に完成させてしまう。

「デキター!」


「嘘…だろ…?」


そこには写真ではないか?と言うほど完璧な仕上がりの鉄道が描かれていた。


挿絵(By みてみん)


「な、何でサバオが電車描けるんだよ!?」

「ソウジさんの世界に行った時に乗ったじゃないですか?」

「いや、でもこの絵って…」


「ウフフ♡ウチのサバオちゃん、模写能力が異常に高いんでございますのよ」

「お前は教育ママか!」

「ウチのサバオちゃんなら、夜な夜な私の下着を盗んでいくソウジさんの姿もバッチリ描けますの☆」

「俺がいつそんなことした!!」

「ソウジ…そんなに下着が欲しいなら私の…」

「アリシアさん、ソウジさんを甘やかしてはいけませんっ!」

「お前らな…」


「フフ、本当に仲がいいのね」

「ええ、僕も彼らと一緒にいれて毎日楽しいですよ」


「何にせよこれで制作・研究に取り掛かれます!ありがとうございます」


「えーと、俺の絵はいらない…よな?」

ちょっと恥ずかしくなってしまった俺。


「あらぁ、ソウジちゃん上手に描けまちたねぇ☆お部屋に飾りましょうねぇ☆」

「やかましいわ!!!」


「さて、オチがついたところで次の話に進んでよろしいでしょうか?」


イリアスが冷静に場を仕切る。


「オチって…」


「次に信用経済の話ですが、実は信用取引に関しましては僕も以前から考えていたのです」

「あら、そうだったの?イリアス」

「ええ、金貨の代わりに札や券等を作ってどうにかできないものかと思ってたのですが…何せ実例もないですし、何より心配なのが…」

「…偽造ですか?」

エピステーメーはメガネをクイッと上げる。


「そうなんです。なのでソウジさんの小切手のお話を聞いて、もしかしたら何かいいやり方を知っているのではないかと」

「そうだなぁ…紙幣には透かしってあるけど」


俺は持っていた紙幣を皆に見せる。


「これは?」

「偽造出来ないようにしてるんだ。光に透かすと絵が見えるだろ?」

「確かに…でもこんな印刷技術、この世界にはないわ」

「うーん、でも魔法があるだろ?何とかなんねーの?」

「なるほど、これも研究してみる価値があるわね!早速研究を始めてユーダイモニアで試験運用しましょう」


この後三日間、細かい話を詰めたり俺の知ってる限りの知識をエヴァンシアとイリアスに教えた。


そして三日後、俺達はネブリナ国へ向けて旅立つ日を迎える。


「皆ありがとう!これからイリアスを中心に研究を進めるわ!私達はいつでも君達を歓迎するから、是非また立ち寄ってね」

「ああ、ちょくちょく寄らせてもらうよ」


「…ソウジ君、やはりここに留まって一緒に…」


「ダメだ!」

「ダメですっ!」


「あ、そうだ!エヴァンシア、ここでエルフを連れた占い師がいたんだけど知らないか?檻に入ってたんだけど…」

「うーん、ここは色んな商人が出入りするから…君達がマロ漁港を奪還したあの日かしら?」

「そうそう、俺とリリムが出発する時に見かけたんだけど」

「行商人かしら?でもエルフを檻に入れてるなんて…何だか怪しいわね、その占い師」

「そうか…」

「ソウジさん、その占い師が気になるんですか?」

「いや、エルフがさ。何となくな」

「ここに寄った行商人であれば、ネブリナ国へ行く途中に立ち寄ったか、もしくは既にマロ漁港から別の大陸へ渡ってしまったか…ってとこね」

「ありがとう、ネブリナ国に着いたら探してみる!」


こうして俺達はエヴァンシアとイリアスに見送られながらユーダイモニアを後にした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーおまけ小話ーー


【教育ママの指導】


挿絵(By みてみん)


「ソウジさんの目はもっといやらしい目で!あっ、頭にはパンツを被ぶせて…」

「パンツー?」

「何を描かせてんだよ!!」

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