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第16話 奪還&救出大作戦③

挿絵(By みてみん)


瓦礫の転がる街路。

俺はディミトスと向かい合っていた。

ディミトスの魔晶アーマーの黒い装甲が脈打っている。


挿絵(By みてみん)


「そうだ!リリム、サバオ!一緒に…」


リリムはサバオに抱えられ、ふわりと空へ浮かび上がる。


「ソウジさーん、あとは頑張ってくださいねー☆」

リリムとサバオはそのままフワフワと町の外へフェードアウトしていく。

「逃げんなぁぁぁ!!せめてサバオは置いてけ!!!」


挿絵(By みてみん)


『案ずるな。大した敵ではない』

クサレマグロの声が響く。


『どんな形であれ、お前は我を相棒にしたのだ。自分の力を信じろ。自信を持て』


「自分の力を…信じる…?」


俺は星守を鞘から抜き、刀身を見つめる。


「やっぱ無理だってぇぇぇ!!この世で一番信じられないのは自分自身だよぉぉぉぉ!!!!」

『(本当に何でコイツが相棒なんだろう…)』


「お前…それ聖剣だなぁ?」

ディミトスがニヤリと笑う。

「げっ…」

「お前を殺して聖剣も貰うぜぇ!!」


ディミトスは地面を抉る勢いで突進してきた。


「ぎゃああああ!!!」


瓦礫を飛び越え、倒れた荷車を蹴飛ばし、俺は必死で逃げる。


挿絵(By みてみん)


『愚か者!敵に背中を見せるヤツがあるか!!』

「無茶言うなよ!」


ディミトスから放たれる衝撃波が背中を掠める。

そして俺は石壁に追い詰められる。

「もう逃げられんぞぉ!」


『相棒、身体を反転させながら我で薙ぎ払え!』

「こ、こうか!?」

俺は半ば転びかけながら星守を振り抜く。

『ゴウッ!!!』


見えない剣圧がディミトスに直撃。


「ぐはっ!」

ディミトスの魔晶アーマーにヒビが入る。


「え?当たった?」

『奴も相当馬鹿だな。いくら逃げ回ってるとはいえ、こうも無防備に突進してくるとは』

「……」

『よし、相棒次だが…おい、聞こえているか?』

「俺は…俺はすごい力を手に入れたのか!?これは…ついに…ついにチートになれたってことなのか!?」

『しまった…コイツも馬鹿だった…』


ディミトスが立ち上がる。

何やらブツブツと言っている。


「…もっとだ…もっと力があれば…力が…力…チカラ…チカラ…チカラチカラチカラチカラチカラ…」


「ラリってんのか?」

『うむ、様子がおかしいな。相棒よ、少し離れろ』

俺はその場から離れる。


「ウオオオオオオアアア!!!!」

ディミトスが雄叫びを上げる。

すると、魔晶アーマーの胸部が裂け、口のようなものが現れる。


それは倒れている兵士を吸い込み、咀嚼音が響く。更には戦闘中の兵士まで引きずられていく。

「な、何だ!?吸い込まれ…!」


挿絵(By みてみん)


そこへ駆け寄る影。

「ソウジ、これは一体?」

いち早く異常を察知したアリシアであった。

「アリシア!俺にもわかんねーよ」


『奴では魔晶アーマーの本来の力を制御出来なかったようだな。奴の鎧、恐らくあの吸収が本来の力といったところか…』

「剣が喋った!?」

「クサレマグロってんだ」

「クサレマグロ?というかそれ、聖剣では…」

『下着娘よ、見事な剣だった』

「あ、ありがとう…下着娘って…」

『…お前美しいな』

「は?」

アリシアは頬を赤らめる。

※アリシアはソウジに口説かれたと思っています


挿絵(By みてみん)


『見た目の美しさだけではなく、太刀筋、武人としての心、全てが美しいと…』

※アリシアにクサレマグロの声は届いていません


「い、いやほら、俺もアリシアのことはすっげー美人だと思うぞ!今も何て言うか…ほら、目のやり場に困るというか…」

「ん?何だ、そんなことか。屈強な男共の中にいたんだ。私は気にならないぞ?何なら見せてやろうか?」

アリシアは悪戯に笑う。

「何でそうなるんだよ!?」


挿絵(By みてみん)


ーー秘密の海岸



「ッ!?(ブルッ)」

「ん?リリム、どうしました?」

「何かわかりませんけど、今すごく寒気がしました」

「おや、風邪ですかね?」



ーーマロ漁港


「さて、冗談はさておき。ソウジ、助けてくれてありがとう」

アリシアは微笑む。それは今まで見てきたどのアリシアよりも美しかった。

「あ、当たり前だろ。仲間なんだから」

俺は少し動揺する。


『我は冗談ではなかったのだがな?下着娘に相棒チェンジできないかなぁ…』

「おい!!」


『さて、相棒よ。クライマックスだぞ。見ろ、奴の苦しみ方が変わった』


「あ、あぁぁ…チカラ…チカラ…」

ディミトスの声は二重になっている。


「ホントだ…あいつどうなるんだ?」

『わからん。だがこのままいくと奴は…』


その時、ディミトスの身体が内側から変形するように魔晶アーマーに飲み込まれ始める。

「俺…ハ…選バレ…」

次の瞬間、ディミトスは完全に飲み込まれてしまう。


『ゴキッ…グチュッ…』


「うっ…」

それを見た俺は吐きそうになる。


『うむ、何はともあれ相棒、お前の勝ちだ。最後まで生き残っていたからな』

「え?」

『…まあ、この後を凌げれば…だがな』

「へ?」


ディミトスや多数の兵士を飲み込んだ魔晶アーマーは、爆発寸前まで膨れ上がっている。


ーー秘密の海岸


「…凄まじい魔力のエネルギーを感じます。暴走?これは大爆発を起こすかと…」

「はわわわ!!どうしましょう?ここは大丈夫なんでしょうか?」

「…確実に巻き込まれますね」

『ーー!?』

マロ漁港の人々はザワつく。


「ソウジさん…」


ーーマロ漁港


「おい、クサレマグロ!どうしたらいい?」

『…あの鎧の魔晶石を壊せれば何とかなるかもしれん。あそこがエネルギー源だからな。相棒よ、やれるか?』

「やるしかないだろ…」

『よく言った。ではやるぞ』

「あ、待った。ちなみに失敗したらどうなるんだ?」

『爆発だろうな』

「やっぱ怖い…」

『何を今更怖気付いている。何もしなくても爆発するのだぞ?何もせずただ座して死を待つか?』

「…やる!やるしかない!!」

「ソウジ!」

「アリシア、今この状況を救えるのは聖剣を持った俺だけなんだろ?待っててくれ。俺が皆を助ける!」

『フッ』

「ソウジ…」

「いくぜ!うおおおおお!!!」


俺は鎧に向けて剣を構え、全力疾走をした。

瓦礫を蹴り、石畳を踏み抜き、魔晶アーマーへ突っ込む。


『ガッ!』


石につまづく。


俺は豪快にヘッドスライディングをした。

その拍子に、星守は俺の手から離れる。


「ソ、ソウジ!大丈夫か!?」

(か、かっこ悪い…かっこ悪すぎる!アリシアの顔見れねぇぇぇ!!)


挿絵(By みてみん)


星守はクルクルと回りながら宙へ。

『お前は…この状況でよくもまあ……む?これは?!』


なんと、星守の剣先はそのまま魔晶石へ。

『カッ!!!!』

そして閃光が。



ーー秘密の海岸


「あれは…光の柱?」

「…爆発してないようですね。魔力のエネルギーも感じられません」

エピステーメーはメガネをクイッと上げる。


「ソウジ、やってくれたんですね」

「やってくれたのか、やらかしてくれたのかわかりませんけどね☆」

「戦いは終わったようです。我々も町へ行きましょう」



ーーマロ漁港


激しい閃光の後俺とアリシアは目を開けると、片手に魔晶石、もう片方の手に星守を持った黒い仮面の者が立っていた。


挿絵(By みてみん)


「あ、お前は!?」

「ッ!?」

アリシアは剣を構える。


「やあ、また会ったね」

仮面の者は星守をソウジに投げる。


「君の物だろう?」


ソウジは投げられた星守を受け取る。


「その者を指揮していたのは貴様か?」

アリシアは詰め寄る。

「…ディミトスのことか?それなら彼の独断だ。君達には申し訳ない事をした」

「え?」

仮面の者の思わぬ発言で呆気にとられてしまう。


「彼には偶然適合した実験中の魔晶アーマーを与えてみたんだが…まさかこんな事をするとは」

「あれで実験段階かよ…」

「元々武力も魔力もない者だった。急に大きな力を得て勘違いしてしまったのだろう」


仮面の者はディミトスに殺されたであろう死体の前に行くと、片膝を着き祈りを捧げた。


「あいつ…」


「フフ、ソウジ君。こんな出来損ないとはいえ、魔晶アーマーに勝ったこと、私は高く評価するよ」

「何で俺の名前を?」


「…私はいつでも…フフ。星守も抜いてこれからがますます楽しみだね。ではまた会いましょう」


仮面の者はそう言い残すと魔晶石を手に持ったまま、ディミトスの残骸ごと消えた。


「何なんだ…あいつ」

『只者ではないぞ。少なくともお前達では到底太刀打ちできる相手ではない』

「…」

アリシアは以前集落で、仮面の者に自身の斬撃をいとも簡単に止められたことを思い出していた。

「…世界は広いな」

アリシアの髪が風になびく。


俺はアリシアの肩に自分のマントをかけた

「…早くアリシアの鎧を探そうぜ」

「なんだ?ソウジ、照れてるのか?」

「やかましい!!」


「ソウジさーん!アリシアさーん!!」

リリム達がマロ漁港の人達を連れて駆け寄ると、

リリムはアリシアに飛びついた。


「アリシアさん!無事で良かったです!!」

「リリム、心配をかけたな」


(コイツ…逃げたくせに…)


「お初にお目にかかります。エピステーメーです」

「エピステーメー?君は確か王国魔術師だな?」

「クキュウゥゥ!!」

サバオもアリシアの胸元に飛びつく。


挿絵(By みてみん)


『いいなぁ…』

「は?(×3)」

「待て待て!俺じゃないって!!」

「いいんだぞソウジ?飛び込んで来ても」

アリシアは両手を広げる。

「アリシアさんダメですよ。ソウジさんを甘やかしては…」

「お前らな…」


挿絵(By みてみん)


こうして、マロ漁港奪還及びアリシア救出大作戦は無事大成功となったのであった。


そして、これが世界の命運を懸けた戦いの始まりであったことを今の俺はまだ知らなかった。

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