第12話 再び異世界へ。引きこもり魔術師と出会う
便器に頭を突っ込んでから一瞬目の前が真っ暗になったが、次に目を覚ますとそこは異世界での俺の部屋だった。
「ホントに戻ってきたんだな…」
この世界での出来事は全て夢だと思っていたので、またこの世界に、それも自分の意思で戻ってくるなんて不思議な感覚だ。
『キィーン』
天井から何か音がする。
「何だ?」
次の瞬間、空間が避けたように穴が開き、リリムとサバオが俺の頭上から降ってくる。
「ぐはぁっ!!」
「あら、ソウジさんお目覚めですか?」
「ソウジ、オハヨウ」
「お前らな…それでその荷物は何だよ」
「カップ麺です!ソウジさんの部屋にあったやつ全部持ってきました!」
「いつの間に…」
おかげで最悪な目覚めとなったが、俺はベッドから立ち上がり窓の外を見る。
「すげぇ活気だな」
「はい!あれからマヨネーズを作る為に王都からたくさんの人がこちらの集落に集まってくれましたから」
「そういえばあれから本格的に王都の名物にする為に動き始めたって言ってたもんな」
以前の人気のない集落とは大違いだ。
壊された建物や畑も綺麗に修繕されており、家の数も増えた気がする。
「そういえばあれからどのくらい経ったんだっけ?」
「そうですね、どうやらソウジさんの世界とこの世界では少し時間の流れが違うようで、こちらでは大体半年といったところでしょうか」
「そうなんだ?何かサバオがまたデカくなった気がするけどそのせいか?」
「ボクオトナ!ムフー」
「あはは…かもしれませんね(笑)」
「さて、戻ってきたはいいけど、まずは何からするんだ?」
「そうですね、私達の最終的な目的はマブロス帝国を止めることです。まだ全貌が明らかになったわけではないですが、この魔物の異常発生、禁忌の術の使用、そしてあの仮面の者と、この世界の平和を脅かす存在となっていますので」
「これからその帝国のやつらが世界で色々派手に動き回る可能性もあるんだろ?」
「もちろんです。なので目の前でマブロス帝国に苦しめられている人達がいれば助けなくてはなりません」
「わかった!でも俺達だけじゃ少なすぎないか?」
「そうなんです。そもそもソウジさんは戦力外ですし、共に戦ってくれる方も見つけなければですね!」
「絶対言うと思ったよ…でもさ、今の俺…」
「そうでしたね!ソウジさん急に強くなられて…」
と言いながら、リリムはまたどこからかハンマーを取り出し振りかぶる。
「フッ…」
俺は余裕の笑みを浮かべる。
「えいっ!」
『ゴッ!』
「……」
「……」
「…ソウジ、チマミレ」
「痛ってぇぇぇ!!しっかり痛えぇぇ!!俺じゃなかったら死んでたぞ!!!」
(この人どうやったら死ぬのかしら…)
「何で?俺の世界ではハンマーが折れたのに!」
「うーん…夢だったのでしょうか…」
「そんなわけあるか!しっかり現実だわ!!」
「ま、まあとりあえずこの件は置いといて、早速旅の準備をしましょう!」
「血まみれの俺を置いとくなよ…」
俺は旅の準備を済ませ外へ出る。すると家の前を見張っていた兵士から声をかけられる。
「ソウジ様!お目覚めでしたか!!」
「あ、あぁ、長い事見ててくれてありがとうございます」
「何とも有難いお言葉!是非ここで働く者達にも声をかけてあげてください。きっと皆喜ぶはずです」
「そ、そうなんだ?」
(まあこれから長いこと留守にするわけだし、一応声はかけておくか)
そう思った俺はかつて三人でマヨネーズ作りをしていた小屋へ向かう。
「え…ここ…だよな?」
そこはかつての小屋が大きく改装され、立派な建物が建っていた。どうやらここで作業をしている人達はこの中にいるようだ。
「しかしこれ…どこから入ればいいんだ?」
「あれ?ソウジさん、支度は終わったのですか?」
「あぁ、一応皆に声をかけようと思ったんだけどさ」
「それならこちらから入るといいですよ」
「ソウジ、コッチ!」
俺は二人に案内された扉から入ると、そこではたくさんの人がマヨネーズを作っていた。
「すげぇ…工場みたいだ」
「私達がソウジさんに教えてもらった流れ作業を皆さんに実施してもらってます」
「そうなんだ?そんな大した事教えたつもりじゃなかったけど…」
「いえいえ、皆さんとても働きやすそうですよ?これだけの人が集まれば得意な作業苦手な作業と出てきますから、各々得意な作業をしてもらってます」
「なるほどなぁ…」
すると一人の男性から声をかけられる。
「ソウジ様!お目覚めになられたのですね!?」
「あ、はい。長い事すいませんでした」
「とんでもない!無事お目覚めになられて良かったです!お目覚めになられたということはこれから旅立たれるのですね?」
「はい、なので出発前に皆さんに挨拶をと…」
「皆!こっちに注目してくれ!!ソウジ様からご挨拶があるそうだ」
作業場内がざわつき、皆俺に注目する。こんな仰々しい感じじゃなくて良かったのだが…
「えーと、皆さん長い事心配かけて申し訳なかったです。俺はこれから出発しますが、ここの事よろしくお願いします」
皆から大きな拍手が。何となく照れくさくなった俺はリリムとサバオの手を引き、早速出発しようと声をかけた。
「もういいんですか?」
「こういうの苦手なんだよ…」
そして外に出ると馬車が用意されていた。
「ソウジ様、リリム様、サバオ様。王都までご案内致します。護衛もおりますので、道中の魔物もお任せください」
「そんな事までしてくれるのか?」
「そりゃあソウジさんはマヨネーズを作った王都の英雄ですよ?手厚い待遇は当然です」
本当に一番最初にマヨネーズを作った人、何かごめんなさい。
王都までの道中、俺達は馬車の中で今後についての話をする。
「んで、まず王都に行って何をするんだ?」
「まずはアリシアさんと合流したいところですが、アリシアさんはすでに旅立たれてます。国王陛下に行き先を伝えておくとの事でしたので」
「んじゃ国王に会って、アリシアがどこに向かったのか確認するんだな?」
「そういうことになりますね。あとはソウジさんの装備も買わないとです」
「装備?」
「これから旅に出るのにさすがに丸腰という訳にはいかないですよ?まあ装備揃えたところで雑魚ですけ…ゲフンゲフン」
「おい…」
その後もしばらく馬車に揺られ、俺達は王都に到着する。今までは徒歩だったのですごく早く感じる。
早速俺達は国王陛下と謁見する。
「おお!ソウジよ、よくぞ目覚めた。何か変わったことはないか?」
「はい、大丈夫です。ご心配をおかけしました」
「では早速だが本題に入ろう。まずアリシアだが、プレアリー地方へ向かうと言っていた。プレアリー地方も魔物が多く発生しているが、マブロス帝国のものと思われる施設があったそうだ。それが何なのか、もしかすると魔物を発生させる為の拠点かもしれんとのことでな」
「そんな危険な所へアリシア一人で!?」
「ははは、さすがに単騎で突撃なんてことはせんよ。プレアリー地方の町や村を回りながら君達との合流を待つと言っていたぞ」
「それなら良かった」
「ソウジさんじゃあるまいし、そんな無謀な事はしませんよ?」
「俺がいつ無謀な事したよ?」
「ソウジよ、そなたの装備はここの武器庫から好きな物を持っていくといい」
「え?いいんですか?」
「もちろんだ。そなたらの旅は世界の命運が懸かっていると言っても過言ではない。この位の事はさせてほしい」
「国王陛下、大丈夫ですか?こんな雑魚に世界の命運を託して…」
「おい…」
「ははは!ソウジには不思議な何かがあると思っている。サバオよ、そなたも主の事しっかり守るのだぞ?」
「ボク、ソウジ、マモル!」
「それじゃ早速装備を見に行きましょう!」
「そうだな!」
「……」
俺達が武器庫へ向かおうと立ち上がると、国王陛下に呼び止められる。
「ソウジよ、すまない。どうしたもんかと悩んでおったのだが…一つ頼みを聞いてくれぬか?」
「もちろん構いませんが、何でしょう?」
「そなたらの旅に同行させてほしい者がおるのだ」
「それはちょうどいいです!私達の旅に一緒に来てくれる人を探そうと思っていたので」
「どんな人なんですか?」
「ふむ…名はエピステーメーといって王国魔術師なんだが…」
「魔術師?魔法使いって事か?」
「そうだ。だがちと変わり者でな?今も地下の書物庫に籠って魔術書でも読み漁っているのだろう。ここ何年も書物庫の外で彼の姿を見ていない」
「えーと、引きこもり?」
「ニートなんですかね?」
「一応王国魔術師と言ったはずだが?彼は非常に優秀な魔術師でな。四大元素全ての魔法を操れる稀な存在で、その他の魔法も一流に扱える、私は世界一の魔術師だと思っておる」
「四大元素全て!?そんなの聞いたことありません!」
「四大元素って何だ?」
「火、水、風、土の事です。大体の魔術師はこのどれか一つの魔法を使いますが、四大元素全てを使えるなんてとてつもない魔力と知識を持った方かと」
「そんなすげぇ人なんだ…」
「ただ何せ外の世界に興味が全くない男だ。素直に応じるとは思えないが…ソウジ、もしかするとそなたの声にならと思ってな。必ず旅の役に立つし、何より彼には世界を見せてやりたくてな」
「わかりました。そういうことなら早速書物庫へ行こうぜ!」
「あっ、ソウジさん装備は?」
「そんなん後でいいって!」
「待ってくださいよぉー」
「ソウジ、マッテ!」
バタバタと書物庫へ向かう俺達の背中を見て、国王陛下はフッと笑い、
「自分の事よりもまずは仲間か…ソウジなら本当にエピステーメーの心を動かせるかもしれないな」
「あ、ここかな?」
俺達は地下に来ると大きな扉を見つける。
「そうですね、書物庫と書いてます」
「それじゃ早速…」
『ピィィン』
「キャッ!」
「ワー!」
俺が扉を開けて中に入ると、リリムとサバオは何かに弾き返されたようにしりもちをついていた。
「力のある者にだけ反応する結界です。よく戦地へ来てほしいだの力を貸してほしいなどと言ってくる兵士が煩わしいもので」
そう言いながらメガネをクイっと上げながらこちらへ近づいて来る男性。スラッと長身で銀髪の長い髪を後ろで縛っている。
「はわわわわっ!イケメンさんですっ!!」
「ほぇぇ、モデルみてーだな」
「よくわかりませんが、ここへ来た理由は察してます。お帰りください。お断りします」
「まだ何も言ってないんですけど…」
「見たところ貴方達はこれから旅に出るのでは?一緒に来てほしいとかそういう類の話ならお断りです」
「俺は蒼司。よろしくな!」
俺は握手をしようと手を差し出す。
「…エピステーメーです。覚える必要はありません。今後お会いすることはないでしょうから」
「ふーん、長くて呼びづらいからエピでいいか?」
「…貴方は僕の話を聞いてましたか?」
エピステーメーは呆れた様子だったが、俺は気にせず続けた。
「なぁなぁ、魔法ってすげーよな?俺でも使えたりするんかな?」
「まあ…貴方の身体が自分の魔力に気付けばですが」
「ん?どういう事だ?」
「要するにですね…」
「あのぉ…もしよろしければ私達もそちらに入れてもらってもいいでしょうか?」
「ハイリタイ」
「あ、やべ忘れてた。エピ、入れてあげれるか?」
「はぁ…どうぞ。もう結界は解いてます」
「あ、ありがとうございます…でもいつの間に?」
「そんな大した魔法じゃありませんから」
「でも限定して結界を反応させるなんて、そんなの聞いた事ないですよ!」
「そんなすごいことなのか?」
「すごいですよ!それに今だっていつの間にか解いちゃってましたし」
「でも何で俺は入れたんだ?」
「そりゃソウジさんが雑魚だか…」
「あ、やっぱいいや」
「全ての人を拒んでしまうと私の食事やここの掃除が困ります。なので力のある者だけ反応するようにしてたんです」
「あ、ちゃんとその辺考えてるんだな」
「当たり前です。食べないと生きていけないですし、定期的に掃除をしてもらわないと私の読み終えた本等の片付けが困ります」
エピステーメーはメガネをクイっと上げた。
「いや、それは自分でやれよ…」
「典型的なダメ人間ですねぇ…」
「それよりさっきの話さ、魔力に気付かないってどういうことだ?」
「どんな人間にも多かれ少なかれ必ず魔力はあります。でも身体がその魔力に気付かないから魔法にする事が出来ない…といった感じですかね」
「じゃ俺にもあるってことか…でも今エピから魔力あるって聞いたから俺の身体もわかったんじゃ」
「そういう話ではないんです。身体が魔力というものを扱う事を知りませんし、貴方の魔力はまだまだ潜在している状態です。それに魔法にするだけの魔力を秘めているかもわかりません」
「ソウジさん、魔術師の方は人よりも多くの魔力を持ってる方なんですよ。誰でも魔力があるからといって魔法を使える訳じゃないんです」
「そんじゃ俺の世界で魔法を使うやつなんて聞いた事ないけど…それはみんな魔法を使えるだけの魔力がないってことか?」
「まあそういうことになりますかね?それか魔法そのものが存在していないか」
「だとしたら、存在してないのに魔法をみんな知ってるって…何か不思議な話だな」
「それにしてもエピステーメーさん、四大元素全ての魔法も使えてこの精度の結界まで張れるなんてすごいです!一体どうやって?」
「全く…貴方達は私を誘いに来たのではないんですか?まあ行く気はありませんから構わないですが」
「いいんだよ!気になる事は聞きたいし」
「そうですか…僕にとって魔法はイメージです」
「イメージ?」
「はい、例えばこう…」
エピステーメーが一瞬サバオに目をやると、サバオの足元が凍りつく。
「ワァ、ツメタイ」
そしてメガネをクイっと上げると、氷がパリンと割れる。
「今僕は数秒だけ彼の足元を凍らせるイメージをしました。それだけです」
「それだけって…」
「イメージ出来るものは何でも魔法に出来るのです。僕はその研究を生涯すると決めた。だからここを離れる気はないのです。それに…」
「それに?」
「いえ、何でもありません」
「そんじゃさ、隕石降らせたり出来んの?」
「隕石?」
「何かこうビームみたいの撃ったりとか」
「ビーム?」
「それこそ核兵器みたいな威力の魔法とか出来たらヤバいよな!」
「核兵器?何です?それは」
「あ、そっかこっちじゃわかんないか。んーと…」
「……」
「そ、そんな恐ろしい物が…貴方の世界にはあるというのですか!」
「あぁ、まあな」
「私達何も知らずにそんなに恐ろしい世界に行ってたんですね…」
「ガクブル」
「まあそのおかげで俺達はあーゆう暮らしが出来てるってのもあるけどな?」
「そのおかげでかっぷめんがあるということですね…」
「そのおかげかは知らんけど…」
「かっぷめん?」
「お、エピ食ってみるか?ちょうど腹も減ったし。魔法でお湯って沸かせるか?」
「できますよ」
するとエピステーメーの飲料用であろう水を手に取り、
「…できました」
「はやっ!んじゃ作るぞ」
「じゅるり…」
「ジュルリ…」
「これは一体何を?」
「カップ麺って俺の世界の食べ物なんだけどさ、とりあえず食ってみろよ!」
「…いい匂いですね」
そして恐る恐る一口。
「ッ!?これはっ!美味すぎる!!」
「ですよね!わかりますよね!!私もかっぷめん大好きなんです!!!」
「ウマウマ」
皆でカップ麺を食べながらエピステーメーに俺の世界の話をした。何でも知ってるわけではないが、思いつく限りの文明や技術の話等だ。
「…気が変わりました。ソウジ、貴方の話は驚かされる事ばかりです。新しい魔法の研究にも繋がりそうだ」
「お、てことは?」
「どうでしょう?ここで僕と一緒に魔法の研究をしませんか?」
「何でそうなるんだよ…これから旅立つっての…」
「そうですよね…わかりました。では是非僕も貴方の旅
にお供させて下さい」
「そうこなくっちゃな!」
「わーい!仲間が増えましたー」
「エピ、ヨウコソ」
「あくまでソウジの話に興味があるからそれを聞きたいからです。では僕も支度がありますので、出発は明日でもいいでしょうか?」
「あぁ、もちろん!」
「王国魔術師を連れ出すんです。国王陛下にお伝えしてきますね!」
「わかりました。では明日またお会いしましょう」
書物庫を後にする俺達の背中を見ながら、エピステーメーはふと過去を思い出す。
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「エピステーメー、魔法はイメージだ。お前は私以上の才能がある。お前なら四大元素全ての魔法が使えるだろう」
「師匠のようにできないよ!僕なんて…」
「…エピステーメー、魔法は好きか?」
「…うん」
「よし、それなら続きだ!」
✦ ━━━━━━━━━━━━━━ ✦
「師匠!スカンダリ戦線に行かれると聞きましたが本当なんですか!?」
「ああ、本当だ。かなり深刻な状況だ。急がねば」
「待ってください!師匠は魔法で人々を幸せに出来たらって…いつもそう言って研究してたじゃないですか!」
「その人々の幸せの為にやらねばならん事もある」
「それならば僕も一緒に…」
「エピステーメー、お前の仕事はこの戦争の先に来る時代で人々を魔法で幸せにすることだ」
「師匠…」
「世界が平和になったら、世界中を回るといい。いつか共に世界を旅する仲間もできる事だろう。ではエピステーメー、後は頼んだぞ」
その後エピステーメーが師匠と呼ぶ王国魔術師は帰らぬ人となった。
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(あれから随分とここに籠ってしまいましたね…まさかこんなに僕の興味を惹く者が現れるなんて…師匠、貴方の言う通り、共に世界を旅する仲間に巡り会えたのかもしれません)
翌日、旅の支度を済ませたエピステーメーと合流し、国王陛下の元へ向かっていた。出発の報告をする為である。
エピステーメーと一緒に歩いていると、すれ違う兵士が皆驚いた表情をしている。
『エピステーメー様が旅に?』
『まさかソウジ殿が説得したというのか?一体どうやって…』
特に何か交渉をしたという訳ではないのだが…
そして謁見の間に着いた俺達は国王陛下に出発の報告をする。
「リリムから話は聞いたぞ。エピステーメー、よくぞ決心してくれた」
「陛下、長い間面倒を見て頂きありがとうございました」
「エピステーメーよ、そなたの帰る場所はここだ。その目で世界をよく見て成長して帰ってくるといい」
「ありがとうございます」
「しかしソウジよ。そなたならもしやと思ってはいたが、エピステーメーの心を本当に動かしてしまうとは…一体どんな話をしたんだ?」
「ま、まあ世間話というか?ははは…」
「ソウジさんあわよくば自分も魔法を使えたらってエピステーメーさんに迫ってただけですよね?」
「ソウジ、ナニモシテナイ」
「そ、そんなことないだろ!」
「いえ、僕の好奇心を動かしたのは事実ですから」
「ふふ、まあよい。港に船を手配しておいた。プレアリー地方には船で行くといい」
「何から何までありがとうございます!」
「では皆の者、英雄達の出発だ!敬意をもって見送ろう!!」
国王陛下が声を上げると、場内の人々から歓声が。
こうして俺達は皆に見送られながら遂にこの異世界で初めて旅立つこととなったのであった。




