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コミュニケーション・オンライン~コミュ力最強!仮説~  作者: C


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89/95

あたりまえのこと



生々しい血肉が飛び散り、さらりとした赤い液体が石畳の上でベットリと広がる。地に落ちた腕はひしゃげて骨が覗き、唇、鼻口から呼気と共に血飛沫がとんだ。




「なにしてるんです?」




ニートの口から出た言葉。


全員が思った。

全員が訊きたかった。

全員が言葉に出来なかった。


それを言葉ではっきりきっぱりと訊く。

そこに怯える逃げ出せる~~~~~~~~~~な、ニート。


だがしかし。他の誰が訊いても、ダメだ。訊いちゃダメだ。おまえ、ニートだけは、世界中でオマエだけは訊いちゃダメだろ!!!!!!!!!!




アーネはニートをかばって斬り刻まれ、串刺しなのだから。




「誰がアナタ・・・・・・・・・・・・なんか、をかばいますか!!!!!!!!!!」


え??????????

誰に言われる前に全否定するアーネ。


かばって、ない、ならば意味する結論は?




大広場のネコカフェ。

セイが蒼白になり、トモが真っ赤になる。


ゲーム世界各地でこの中継映像を見ている大勢の中、ほんの一握り。

ニートを知る者たちが、ニートを好きな者も嫌いな者も大嫌いな者も考えるだけで虫酸が走る者たちも一様に考えた。




――――――――――――――――――――やりやがったな。



どんな手口かわからない。

だが、ニートに好意的な者も、コレは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「げふっ!・・・人が・・・・・・襲われ・・・・・・のを・・・・・・・・・・・・・・・・・・防いだだけです!!!!!!!!!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・防げた、のか?それは言わないお約束。ニートが襲われるところに飛び出した、アーネが刺され突かれ斬られ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だがまあ心意気はわかった。



アーネは自らの意志で、凶行を防いだのだ。

防げたか?

野暮はよしなさい。


凶行を防いだ結果、別な凶行が発生しただけだよね?

やめい。

うん、何も矛盾はないな。



そして、アーネの心意気とはまた別に、一部に、いや数は少ないが、かなり広範囲に広がる安堵感。


良かった良かった。他人を操って盾にするスキルなんかなかったんだ。あんな自殺行為をさせる技術があったら、どうなることか!


それをサイコパスが持つなんて、悪夢以前である。サイコパスという見方こそ少ないが、ニートをみる人々の目が解ろうというもの。



『信じてたぜ~』

と涙目なセイ。

『今回は違って良かったよ~~~~~~~~~~~』

と泣くトモ。

ネコカフェ一同の麗しきギルド愛!!



「つまり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私のためじゃないから、勘違いするな、と」


ニートの要約。

ツンデレか!!!!!!!!!!


違わないけど違うと言いたいアーネ。だから、アーネはアベンジャーズを睨みつけた。何が、だから?ソレどころじゃない。


つまり何が起きたのかと言えば。


アベンジャーズの各種武器。

剣、メイス、槍、鎌、短剣、手裏剣、短刀。


その向かう先は、ニート。七人全員が全力でニートに突撃。


間に割り込めばそれは刺さる斬る貫かれる。


アーネの胸を貫いた剣、喉を突いたメイス、腹を抉った槍、右腕を落とした鎌、わき腹を裂いた短剣、左手の平を貫いた手裏剣、右腿を切り裂いた短刀。


安全圏だけに右腕わき腹右腿は再生を始めたが、他は傷口を抉ったままの武器に阻まれ、治らない。


内蔵まで垂れ下がるヴァーチャル・ゲーム《スフィア》の無駄クォリティー。リアルダメージ描写こそが、痛みを連想させて現実でのゲーム模倣を防ぐ。


とまあ、一般的な心理学的結論により、究めきったリアルなヴァーチャル表現。しかし、傷口がリアルなのに、HP、ゲームシステム上被害者が倒れないし痛がらない。


まさにホラー。


「痛いわよ!!!!!!!!!!」


え?そうなの?

やっとメイスが抜かれ、喉が再生したアーネ。痛みはヴァーチャル演出上省かれていますが?


「幻痛です」


ニートは知っている。さすが惨殺爆殺に豊富な経験をお持ちだ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あくまでもゲーム内のお話ですよ?

ただ、アーネの痛みを理解しながら何をするでもなく眺めているニート。


こいつはこういうやつである。

目の前で電車に人が飛び込んでも、死んだな、と確認して迂回路線に向かうタイプ。「いや、処理が長引くから待っても無駄でしょう?」チガウソウジャナイ。



アーネの感じる、痛み。


リアル描写と衝撃判定による、脳の錯覚。アーネが想像する痛みだから、過去の経験で合成されたモノ。つまり現実のそれとは似て否なるモノだ。

電子的刺激で痛みを与えることは禁止されている。痛みかどうかわからない微妙なラインは需要により提供されている。

それはさておき、プレイヤーのリアルボディを完全に電子制御化にでも置かない限り、痛みを完全になくすことはできない。



中堅プレイヤー七人の、全力アタック。それを最初から受け止める覚悟と勢いで立ち塞がったアーネ。相乗倍増。正確には痛みじゃないが、衝撃は相当だろう。


それはヴァーチャルの視覚効果と相まって、アーネの意識に苦痛と認識された。ゲームシステム処理とは別の脳内処理が発動する。


し続ける。

つまり今この瞬間も、アーネは痛いし苦しいし辛い。

しかもヴァーチャルゲームの悪い面。

気絶しない。

そしてデス・ゲームの悪い面。

セーフティーによるログアウトが発生しない。


まあ、デスゲームにいい面があるのかって話だが。



「なんでまた?」


振り出しに戻る。アーネがかば、いや、凶行を防ぐ?

そこまでして。


「あっっっっっっっっっったりまえでしょう!!!!!!!!!!」


アベンジャーズが退いた。剣が胸に突き立ったままだ。手裏剣も手の平を貫いたまま。


「大っっっっっっっっっっ嫌いなアンタだからって!!悪辣で!!!卑怯で!!!!恨み重なる!!!!!アンタだからって!!!!!!切り刻まれていいわけないでしょう!!!!!!!!!!苦しくて良いわけないでしょう!!!!!!!!!!」


ニートの胸ぐらをを右手で掴むアーネ。顔をしかめて号泣状態。いや、動くだけで辛いよね。しかも、気絶だけじゃなくて、感覚、つまり苦痛が消えない。

ヴァーチャルゲームだから。


「なんでそんな事がわかんないの!!!!!!!!!!バカなの??????????あんたたちは!!!!!!!!!!」


アーネは振り返った。アベンジャーズの七人を睨む。あんたたち、つまりニートを入れてバカばかり。



「貴女がかってに割り込んだのですから、謝罪するつもりはありません」


アベンジャーズの剣士がアーネに告げた。アイテムストレージから、刀を取り出す。ニートに、アベンジャーズとニートの間に立ち塞がるアーネに切っ先を向けた。


「どいてください」

「イヤ」


即答。

苦痛の中で思考力が残っているのかどうか?


「反射的に答えているとしたら、理性が本能を凌駕してますね」


などというニートのつぶやきは無視。

アーネもアベンジャーズもニートの意見には興味がないようです。


アーネは両手両脚を開き、剣が刺さったままの胸を張ってアベンジャーズに向き直った。武器が刺さったままである以上、安全圏であってもアバター、ゲーム上の体は修復されない。失血死はしないが、流血中。

いろいろ欠損しているし、ホラーを超えつつある。



「わからない、げふっ!く、フリをするのは止めなさい!!!!!!!!!!」


肺にあたる部分が傷ついたまま、血飛沫を実際に吐きながら、アベンジャーズを怒鳴りつけるアーネ。気道をつぶすと声が出せないのはヴァーチャルゲームでもおなじ。

ここまで再現しなくても。



「こんなことは!!!!!!!!!!やっちゃいけないんだから!!!!!!!!!!」

「関係無いだろう!!!!!!!!!!」


剣士がキレた。アーネ越しにニートを指差した。


「貴様になにがわかる!!!!!!!!!!

コイツが弟の死を笑い飛ばしたせいで!!!!!!!!!!

あいつはフィールドに飛び出したんだ!!!!!!!!!!

独りで!!!!!!!!!!

そう!!!!!!!!!!

そいつは笑っただけだ!!!!!!!!!!

茶化しただけだ!!!!!!!!!!

何もしてない??????????

ふざけんな!!!!!!!!!!

コイツは人殺しだ!!!!!!!!!!」



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