タイムカウント
ルールを重んじる人たちがいる。
ルール、規範、道義。言い換えてもいいが人の在るべき姿、立ち居振る舞い。
議長なら「為すべき事」を規則にする。
シスターなら「かくあれかし」を目標にする。
ニートなら「そのように見えた」と多数派を言いくるめる。
ではアーネは?
鬼ごっこ三日目。
午前中。
ネコの限界が近い。
早いなオイ!!朝から始めてまだ半日経ってないよ!!!
青筋を通り越して、涙目。泣き出すのは時間の問題だ。
ニートは愉しく観察していたが。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい。
ニートは、まあ、いいか、と思った。
え?
元来、ネコは我慢しない。
え゛?
ここまで耐えたのは奇跡だった。
だからニートは思う。
次はもっと我慢させよう。愉しいから。
おぃぃ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!
ともあれ。
初日、二日目。
ノンストップAM6:00~PM6:00の12時間耐久。
それを平然と休憩なしでやり遂げたネコ。
※午前午後はゲーム内表記。リアルとヴァーチャル昼夜が逆です。
まだ半日に満たない。
限界?我慢??奇跡って、おいおい???
ありえねーよ!!!!!!!!!!!!!!!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――それがありえたのである。
新戦術でピッタリと喰い下がるアベンジャーズとの追撃戦。
初日は雑多なプレイヤーを勢い任せにかわし続けただけ。
二日目はワクワクしながらニートに言われた通りにかくれんぼ。
今日、三日目は?
ネコは感情行動完全一致。全力脱力ONとOFF。
さんざん邪魔された挙げ句に、微妙な加減で相手を殺さないよう注意して逃げ続ける。
ネコは人嫌い人混み嫌い人声嫌い。人の気配に敏感で、ニートが一緒じゃなけりゃ殲滅轢殺全力逃走。
朝からピッタリマークされ追跡され常に人の気配を感じ続けている。しかもそれを続けることを強いられている。
嫌で嫌でたまらない。ほんの少し力を出せばすべて片づけられる。なのにニートにダメと言われる。
不慣れ不向き不機嫌。
これじゃネコもたまらない。ネコが泣き出したら『はじまりの街』を地獄に変えるだろう。
――――――――――――――――――――――――――なぜ!!!!!!!!!!
八つ当たりで。
そこまでネコをイラつかせるのはアベンジャーズ。未だにネコは振り切れない。ネコを見失わない。そこは、感心するニート。
ハンデ付きとはいえ、ネコの勘は伊達じゃない。身をかわし、走り、止まり、飛ぶ。その基本動作だけで人並みじゃない。
ニートをお手玉していても、だ。
それはこの二日間、有象無象の棚ボタ狙い初心者だけではなく、並み居る中堅プレイヤーをかわし続けたことで実証済み。
ニートが思うに、アベンジャーズはゲーム的なスキルに頼らないから手ごわい。
彼らも見て走り、聴き探し、軌跡をあてる。
プレイヤーが本来持っている五感に頼り、ソレを超えたところで中継映像を利用している。
ネコの高度な隠ぺいスキルが全く使えない。
ネコは慣れない環境に戸惑っている。勘に従って動けない。ニートの強要で力を出せないネコのストレスがマッハ。
はじまりの街、滅亡まであと少し。
ああ!!
なんということでしょう!!
いたいけなネコのストレスは、多くの初心者プレイヤーを殲滅してしまうのでしょうか!!!
乞うご期待!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ニートが悪いんじゃないか?
中継もそれに気がついて・・・・あれ??
『さーさー混戦続く鬼ごっこ!解説のエルコレさん?』
『おーう、読むぜ、伝言』
『『は?』』
中継映像の右下、放送席がアップ。ネコ対アベンジャーズが左上に縮小。
『かくれんぼ勝負!範囲限定タイムアタック!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だとよ』
ふてくされたような、実際ふてくされている、セイ。
『ニートさんのイベントでーす』
無邪気に笑うトモ。
『ナニ割り込んでるんですか貴女たち!』
制止する実況ルーシー。
『うっせーよ!!!!こっちもやりたかねー!!!!!!』
『なんで割り込んできた貴女が怒ってるんですか!』
『目立ちたがりデカ乳ババアのマネなんかしたくねーっての!!』
『誰に言ってますか誰に!!!!』
肩をすくめた解説エルコレとトモ。そりゃあまあ、ここで年齢とバストサイズについて言われるのは・・・・・。
『『実況のルーシーさん』』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
『ハモりますか!!!!エルコレさんまで!!!!!!』
キッとセイを睨む実況ルーシー。落ち着いて、冷静に、レポーター薬とはいえ、貴女はジャーナリスト志望じゃないですか。
何が関係するのかわからんけど。
『ババアってなんですか』
そこかよ!!!!!!!!!!
『ババアってのはな、義務教育をとうに終わってるやつさ』
邪悪に微笑む中学生、セイ。
『デカ乳は受け入れてますよね』
『言った方も突っ込まないな』
『オッパイはタブーです』
『自爆か?年齢なら勝負になるってか』
ヒソヒソ。トモとエルコレ。
『あ゛』
『え゛』
下からねめつけるセイ、上から睨み据えるルーシー。
エルコレの背に隠れるトモ。
『オレかよ!』
矢面のエルコレ。しかたなく、とりなした。
『ようは、アレだろ?ニートから鬼ごっこ参加者への提案だろ?早く告知しないと、拙いよな?』
曖昧ながら、鬼ごっこ標的のネコ、の管理っていうか、保護者っていうか、のニートはすでに鬼ごっこ運営側と言っても過言ではない。
ニートがいないと、ネコが役割を果たさないし。
いやまあ、鬼ごっこ自体がなし崩しにはじまり、発起人不明(公式見解)。評議会が引きずり込まれ、スフィア・タイムズが便乗し、売り子野次馬参加者中継視聴者が発生し、育成圏全体が巻き込まれたのだから、責任範囲なんぞあってないようなもんだが。
『ニートさんからの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
ルーシーは、ニートが嫌いだ。あえて言えば、大嫌いだ。ダイッキライ、である。
渾身の取材活動を邪魔されたり、(高校では新聞部に属する)ジャーナリスト志望なのに(お飾りタレント)レポーター向きと揶揄されたり、からかわれたり、足蹴にされたり
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――そりゃ嫌う、しかたないねー。
だが、鬼ごっことニートの関わり、ニートの尽力(騙されてる騙されてる)を好き嫌いで否定するほど、幼くはない。
義務教育は終わっているが、まだまだ子供
「高校生だから!高校生だから!」
――――――――――あ、はい、オトナデスネ。
ルーシーは、大人だから、ここはぐっと怒りと不快と不機嫌をのみこんで、笑顔を創るのである。
字が怖い件について。笑顔って創るもんだったですね??
『ニート、さんからの告知は私が読み上げます。評議会も参加者も、受け入れるでしょう
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お子様は、屋台でもまわってらっしゃい』
中指を突き立てる、セイ。
女の子がそんなことするんじゃありません!!
ともあれ。
賽は投げられ、手袋が飛び、英訳が間に合わないままトラトラトラ。
さーさー始まりました!本日のメインイベント!!
え?
違う??




