表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミュニケーション・オンライン~コミュ力最強!仮説~  作者: C


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/95

決着



人が殺されるのを防ぎたかった。

殺す人が本気なのが解った。

殺される人が覚悟しているのも伝わった。


気がついたら、自分が殺されるのが、わかった。



Cはアーネを見ていない。指先の感覚だけで、必要にして十分。

アーネもCを見ていない。殺される恐怖で、見るも見ないもない。

そして、ニートは、半分興味。半分は好み。

ソレは必然。



「優先順位の問題です」


肩をすくめたニート。

答える気になった?


中堅プレイヤーでしかないニート。対するCは最強のハイプレイヤーの一角。・

ニートにはーネの死を止められない。


隠れ潜むネコに指示する時間は、ない。

アーネを守ろうとしているニート、に凶暴な視線を向けるC。やはりニートに騙されていたのか、と。




「命は大切ですか?」


アーネが無言で喘ぐ。首を潰すCのメッセージ。

手で制するニート。

はぐらかす気はない。きちんと順を追って話しているだけ。

Cに伝わる。

・・・・・・肉体言語である。


「大切なのはソレ自体じゃありません

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・代わりが少ないんですよ」


だから、殺すな、と。アーネを。なら、さっさと話せ、とC。


「その幻想を守りたい」


アーネの幻想。圧倒的強者の前に割り込んでくる。いつでも殺せる相手に挑んでくる。殺し合いに憤り、止めさせようとする。


――――――――――力がないのに、力に頼ろうと考えもせず――――――――――


「この眼」


ニートはアーネに、つまりCに近づいて、アーネの眼球を指差した。

くびりころされかけ、恐怖に染まりながら・・・・・・

怒りと非難に満ちた、眼。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・勘違いっしょ」


Cは、少しずつ理解、だが、納得出来ない。


「デス・ゲームが理解出来ないだけ」


デス・ゲームは単に、ゲームアバターの死がリアルとシンクロするだけ。

ただ、それだけ。



――――――――――システム上は――――――――――



「ゲームがリアル(現実)になった」

と、C。

リアルなゲーム、じゃない。ゲーム世界は本来、法も秩序もない。PKルールがその象徴。無法地帯だ。それがゲームじゃなくなった。社会秩序が崩壊した場合を考えればいい。

現実でもよくあることだ。

だからアーネは勘違いして、殺される。


「リアル(現実)がゲームになった」

ニートは肩をすくめた。

「と考えることも出来ます」


ゲーム外に存在する社会秩序。それがゲーム内に移っただけ。

Cとニートは、アーネを見た。


「デス・ゲーム」


ゲームがリアルになったのか。リアルがゲームになったのか。

アーネは後者だ。

身を捨ててなお、捨てている自覚がない。

社会という幻想を、皆が共有していると疑っていない。


人を殺してはならない。


理屈ではなく自明のこととして。善悪などではなく、損得でもなく、判断でもない。



「殺されかけて、なお」


そうあって欲しい、ではない。そうありたい、でもない。疑問を感じていない。

それは、アーネの眼が語っている。

恐怖、怯え、怒り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・非難。


不当な事に対する、糾弾。


Cは、頷いた。確かに、貴重だ。と思ったのだ。

普通、リアルですら、殺される時に殺人者を糾弾出来る人間は少ない。


社会秩序に対する確信。


それは砂上のの楼閣。

一見、安定しているように見える先進国でさえ、社会が滅びたわけでもない災害程度で、社会が残っていると知りながら、暴動が起きるではないか。




――――――――――アーネは違う――――――――――




例え自分がその恩恵から外れても、自分がその義務から逃れる事はない。

権利と義務、そんなケチな取引じゃない。

アーネが持つ使命感・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・確信。



「確かに幻想っすね」




いや、信仰かもしれない。

とてもとても少ない、あるいはありふれているのかもしれないが、とてつもなく見つけにくい。


Cはアーネを放り出した。安全圏の、破壊不可能オフィシャルアイテム、壁に叩きつけられて爆散。

再生され、アーネは気絶。

痛みはなくとも感じる衝撃。ニートは耐えきって、ジェントルスマイルをみせたが、普通はこうなる。


「んで?」

とC。

アーネに代表される幻想を維持する為に、育成圏の崩壊を防ぐ。その為にイベントを起こし、情報を与え、アーネを殺させない。


「誰が使うっす?」


幻想を。

社会秩序を。


ニート、サイコパスにとってそれは大好物だろう。

人を利用するのが得意。

なら。組織を利用するのは大得意。

社会を利用するに至っては、神業だ。



サイコパスがほぼ例外なく社会に適応する理由。



猟師は雌を狙わない。

獲物を絶やさない為に。

だが。


「せんせが死んだ後、誰がその狩場を使うっす?」


サイコパスが居心地がよい社会、それを守るのは理屈だ。

だが、自分が死んだ後まで考えるのは理屈に合わない。


自己のみで完結して、それ以外は道具でしかないのがサイコパス。

共感失調症。


永遠の、完全な、孤立。


他者とつながりを持てないサイコパスに自己犠牲など有り得ない。

自己犠牲とは永劫不変ならざる生命の代償行為。倒錯した自己保存本能が他者や社会に自己を勝手に投影することで充足感を創る。

検証不可能な他者への信仰。



「死後、作品を焼かせる絵描きはいませんよ」



即答。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・セイちゃんたち、っすか。あんたが創った世界を使うのは」


呆れ、呆然、脱力、C。


ニート、この畜生なサイコパス、は確かに面倒見の良さで知られていた。いや、世間一般、ギルド『GG』メンバー以外はニートをサイコパス扱いしていないが。


むろん、悪評も多い。

だがしかし、悪評をばらまく敵ですら、

『ニートが一部のプレイヤーの面倒を見ることがある』

というのはしぶしぶ認めている。


Cは、ニートの周り、ギルド『ネコカフェ』メンバーは、ニートの調度品だと思っていた。ニートの敵はロリコンギルド呼ばわりしているが、性的な匂いがしない。

よく言えば、ペット。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よく言ってる?

だが、まあ、そういうことか、と。



「今の段階でも、刺激によって完成するようになってるんですが、あまり環境を変えたくないんですよ」



まだ細工中。

だが、ニートの死でうけるショックで、自律機能し始める。

誰の事かって?

もちろん、セイ&トモ、そしてネコ。最近ではフミノも。いやいや、ニートのことだ。他にも『作品』を囲っているかもしれない。


デス・ゲームの前から手を加え、誘い、追い立て、騙して、導き・・・・・・・。


だが、完成には遠い。

だから、なるべく環境を穏やかにして機能を損なわないようにしておきたい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人間に対する視線じゃない。



「黙れ」



演ずる気力が無くなったC。

ニートは口をチャックするジェスチャー。




結論。

ニートは、筋金入りの、サイコパスでした。

完全な利己主義者でした。

よって、殺す必要はなし。


「徒労、っす」


しょんぼりC。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――は、吶喊!!!!!!!!!!


「まちなさぁぁぁぁぁぃ――――――――――」


アーネが飛び起き、


「あ」


ニートの直前で、


「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ドップラー効果。


「ムチャしやがって」


Cの殺気に反応したネコが飛び出し、戸惑いながらも全力でネコキック!

アーネは茫然。

ニートは首を傾げ。


三人に見送られた。




Cは、お星様になりながら、考えた。


ネコの動きは想定より速かった。Cがニートに殺意を抱く瞬間に飛び出す。動物じみた反応速度。

直前で殺気を消しても、ソレに気がついたネコ。それでも攻撃の手を、いや脚か、緩めなかった。

OK!OK!


再確認。

ニートを殺す時は、まっすぐに挑んでは、いけない。



フィールドの、モンスターたちが見えてくる。


「一狩りして、帰りますか」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ