敵味方敵
「待ちなさい」
と、アーネ。誰もが弛緩する間を狙ってさりげなく動いたニート、をインターセプトするアーネ。なにこの上級者対決。
「やっぱりアラサー?」
「17歳です!!!!!!!!!!」
なんかムカついたアーネ。
「永遠の?」
「?」
キョトンとするアーネ。このネタに反応しないって事は??
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は!まさか。
「ガチっす」
「私も三十代は好きですよ」
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「「なんだと~~~~~~~~~~」です!!!!!!!!!!」
セイ&トモ。
はじまりの街、大広場でした。
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「だ・れ・が・そ・ん・な・こ・と・を・き・き・ま・し・た・か・!」
そのままニートに詰め寄ったアーネ。ニートのストライクゾーンなんかどうでもいい。そりゃそうだ。
再び襟首掴まれながら、表情だけで怒りをスルーするニート。
器用だな!
「探索、だそうですよ?」
ニートはヨイツが引っ込んだ窓を見て、アーネを見て、交互アピール。追いつめられれば即座に自分以外を売り飛ばす。
ブレないニート。
ご記憶にない方々もおられるかもしれないが、ヨイツは間違いなく忘れている不都合な真実。
攻略組による運営拠点調査は秘密作戦である。
何故かと言えば、育成圏のプレイヤー達がデス・ゲーム以後に示した行動を知ったからだ。
暴動は起こすわ、ギルド間戦争は始めるわ、運営プレイヤーを殺すわ、運営プレイヤーを殺しかねない勢いで追いかけ回すわ、育成圏から攻略圏まで主な街々に追っ手を向かわせたあげくに地元プレイヤーに喧嘩を売るわ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
※プレイヤーじゃなくて新種NPCと誤認されて攻略組の解析厨に捕獲された挙句、しまわれて忘れられている方々を忘れないで・・・
ひくわー!まじひくわー!!
ソースはニート。
かくして、攻略組首脳陣が育成圏プレイヤー全体に不信を抱いた。
無理からぬことだろう。
よって、育成圏プレイヤーに、特にその中心になりつつある、攻略組視点で危ない集団、ギルド『黄金の夜明け』には特に、今回の調査作業を知らせない事。
それが山崎が怒鳴っていた探索作戦の必要条件である。
怒鳴り声が明け放された部屋の窓から通りに響いていたなんて、お天道様でも気が付くまい。
しかも通りにギルド『黄金の夜明け』のメンバーであるアーネがいるなんて、神ならぬ身でどうして気がつこうか???
ついでに言えば、この機密、なんだかんだとニートの独断でシスターにはばれている。
ついででいーのか。
探索作戦の指揮は一応、ギルド『蝦夷共和国』の近藤先生。北方攻略ギルド最凶の名をほしいままにする、規模で見ても三桁以上の人数を要する大手ギルドの偉い人。
零細マイナーながら知る人ぞ知る、マニアックギルド『ネコカフェ』の代表ニートはただのアドバイザーである。
指揮権決定権は近藤にある。
そうは見えないかもしれないが。
ヨイツが戻っていった宿屋の部屋は見上げればアーネのすぐ近く。
ヨイツはプレイヤー間の通信機能を使い、例によって運営拠点に入ったフミノ(女子高生)を遠隔サポートしているのだろう。
左右を見渡すように指示をして、見えるものを読み上げてもらい、ヨイツと通信しているスタッフが拠点内部の図解を創り、さらに調査対象を狭め・・・・・・・遠隔操作と言ってもいいかもしれない。
家捜しや個人情報の収集は得意なプレイヤーは貴重である。
塀の外では。
はい、問題。アーネはどのギルド所属でしょうか?ニートは誰に何を売り飛ばそうとしているでしょうか。え?今更ですか??
「何故ですか?」
「さてさて?何を探ってるんでしょうね?あのマシュマロマン」
ニートはアーネの視線を見ないふり。
アーネは、ニートの視線が向いた先を無視。
態度で示す、あんなのはどうでもいい、と。関わりたくなかったのかもしれない。普通の女性はそう思う。
かくして攻略組極秘作戦は発覚を免れた。
誰のせいやら、お陰やら。
「あんなのはどうでもいいんです」
やはり大切なことは二回言うのが人の常。
ニートが口を出す前にたたみかける。ニートが言うことはみんな嘘。ニートに逆らえば真実にたどりつく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう思っている顔だ。
はぐらかし失敗?成功?
「何を考えているんです」
真剣、いや、いっそ真摯な視線。
ニートは少し残念だった。この子供は信じているんだな、と。
人間を。
ほんの少し背中を押したら、どうなるか?
試したい気がしたニート。
アーネは自分を含む中堅クラスの仲間を現状待機とした。それで図らずも、ニートと一対一になったのだが。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・自分が昆虫マニアからみた蝶に見えているとは気がつくまい。
「なぜです」
「いや、アーネさんを巻き込んだわけじゃないんです」
アーネが聞いてるのはそんなことじゃなかった。他人の思惑や行動に巻き込まれる。
それは世の常、人の常。
そこまで達観する何があったのか。出会ってはいけない代物に出会ってしまったというか、出会わされたというか。
「補食されたっすね」
ニヤニヤ嗤いのニンジャがニートを下から覗き上げた。
「代物」
指をさされたニートは左右前後上下を見渡した。
「せんせ♪」
可愛い少女の上目遣い、が、怖い。
ニートにしても、命の危険を感じている。
このニンジャを最初から危険視していたニート。
だから、セイを大広場に置いて来たのだ。
ニンジャの主君、ギルド『GG』マスターのユエが絶対守護を命じるセイ。
大広場は出入り自由なフリーゾーン。
セイ自身は短絡気分屋フリーダム。
ニートの敵に、ユエの敵。
安全圏などその手のプレイヤーから見れば、一番の危険地帯。システムセーフティーなどいくらでもかいくぐる事が出来るのに、誰もが多かれ少なかれ油断する。
だから、ニンジャはずっと大広場にいた。至上命令を守るため。ニートの監視も役目ではあろうが、無理に追わなくても、ニートは夜になれば大広場に帰ってくる。
ニートも必ず質問タイムを設け、忍者が飢えないように配慮した。
「あたしはそれに満足するハズだった、っす?」
ニートの後ろに回るC。最強ギルド『GG』の、つまりヴァーチャルゲーム・スフィア最強のニンジャ。
「せんせ、自分が言ったんすよ?」
『貴女は違う』
かつて、ニートがCを怒らせた言葉。
半月のような口元と細めた眼。主君の最優先命令、セイの保護を放り出したニンジャ。
「あたしはユエ様を裏切ることができる」




