尋ねネコ
「ネコは何処!!!!!!!!!!!!!!!!!」
聴くも涙、語るも涙。ニヤニヤ笑うはニートだけ。
『さー盛り上がってまいりました。朝一冒頭から標的のネコ選手が大ジャンプ!!ハイエンドスキルでゲームが台無しかと思わせて、実際はゲーム参加者でありさえすれば誰でも勝てるボーナスタイム!!かと思わせてルールの裏をかいた頭脳プレイですべての鬼をかわして見せました!!!どーですか解説のエルコレさん!!!!』
『ボーナスタイムは本当でしたね。初級者にはきつかったかもしれませんが、中堅近いプレイヤーならネコが落ちてくるのを待たずに屋根などから飛びつくべきでした。それなら軌道が変わる前に勝利できたでしょう』
『ということは?』
『後知恵で恐縮ですが、これはゲームだってことです。誰にでも何時でも勝つチャンスがある』
『そのように演じているわけですね?ネコさん、そして・・・・』
『ゲームの演出はニートでしょうね』
『今はネコさんと離れてしますが・・・・』
『ボーナスタイムです』
『え?』
『頭脳役のニートがネコに接触できないうちにタッチする。あくまでもゲームであることを考えればネコ単体の方が扱いやすい。もちろん、野生の感で駆け引きはできますが、ニートが指揮している状態より弱くなってます』
『お聞きになりましたか!みなさん!!チャンスの後にピンチあり!ピンチの後にチャンスです!!ネコさんはどこにいるんでしょうか?????中継班もまだみつけておりません!!!!!見つけたあなたはメッセージ!!!!!タッチした瞬間を中継できませんと勝利判定が出ませんよ??????』
『解説として、ゲームを壊すわけにいきません。だから、あえて言いませんが、ネコはいつものところにいるでしょう』
デス・ゲーム内ゲーム『鬼ごっこ』順調に進展中。終了まであと・・・・・・
「苦労したんですよ?」
ただ足場になればいいってものじゃない。踏まれるだけでも悪くはないが、弱い。
「趣味の問題ではなく」
「思ってません!」
ゲームオーバーを防ぐ方法。中空で移動して捕まらないためにどうしたらいいか?
つまり、適当な足場を作る方法。
ネコは常に中継映像に捉えられている。たまに見失うときもあるし、今がちょうどそうだが。
あの時、高く高くたか~~~~~~~く、飛び上がったときは、『鬼ごっこ』スタート直後だけに中継用魔法使いの視線が四方八方から集中。
しかも、ネコの発射場所が見通しがいい大広場。
しかも、力任せのまっすぐジャンプ。
空は快晴。雲はなし。
死角なし。
もし足場をネコ(とニート)以外の外部から調達すればどうなるか?
追手に丸見え。
中空で足場を蹴るか殴れば方向が変わる。それも見える。
建物一つサイズの足場でもない限りネコのパワーに負けてすぐに砕け散り加速はあまり望めない。それも見える。
挙動が予測される以上、中堅プレイヤーなら先回り出来るだろう。落下点に先回りされて、中空でタッチ!ゲームオーバー。
中空で軌道を変える手段は他にもいろいろあるが、条件はあまり変わらない。
予測されずに足場を創るには・・・・・・・・・・・・・・これが答え。
新しく創らない。
元々持っている足場を使う。
しかし足場と気づかれないように持ち歩く。
ふつーは人一人を『足場』とは思わないよねー。
「そうですか?」
そうです。だから『俺を踏み台にした!?』ってセリフが生まれるんです。
しかもネコとニートはいつも一緒。ニートはネコに咥えられたり、抱えられたりが日常。見知っている者も多い。
ニートやネコを初めて見た『鬼ごっこ』参加者の大半、育成圏プレイヤーもイベント故にその奇抜さに気が付かない。
違和感が仕事をしなかったのである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アーネも全然自然に受け入れた。
後悔中。
ネコが跳ぶタイミングに合わせて、ニートもネコの力点蹴る。作用反作用を進行方向に最適化する為に。
もちろん、圧倒的に押し負けて、ニートは瞬時に粉々になったのだが。
それは想定内。
その想定内に巻き込まれた人は納得出来ないわけで
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アーネとかアーネとかアーネとか。
ネコパワーで粉々になったニートのアバター、プレイヤーのゲーム内の体は安全圏故にすぐ再生する。
爆煙状態にまでなるとはさすがに思わなかった。
「おかげで演出効果は最大でしたね」
ドヤ顔ニート。
まあ、爆煙状態で落下してアバターの再生が終わった瞬間が街路上。
おかげで入れ替わりトリック的に最高の演出となった。
気取った物腰に燕尾服、シルクハットで大仰な一礼。
ギャラリーには大ウケであった。アーネは殺意を抑えるのに必死だった。
「苦労したんですよ?」
ニートが再度強調した。
「ネコハ何処ニイルノカッテキイテルンデスヨ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
怒りを抑えると声から抑揚が無くなるよね?
苦労したニート。
まあ、確かに、それは間違いない。アーネもそれは認めている。
控えめに表現して、だからどーした、と思っているだけ。
『鬼ごっこ』を最悪の形で終わらせてしまうところだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と思って生きた心地がしなかったアーネ。
それと知りつつ、隠すこともなく、焦りと絶望と困惑と怒りに満ちたアーネを愛でるニート。
アーネは怒りのあまり、ニートを睨み付けっぱなしだ。ついでに襟首をねじ上げている
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つもり。
当事者以外はそう思わないかもしれない。
160cm弱のアーネ。180cmくらいのニート。まあ、ギリギリ?詰め寄っていると見なされるか、縋りついていると見なされるか。
すべて想定内。誰の?ニートの。
「アーネさん?」
「ナンデショウカ?」
ドスの効いた素敵な声ですありがとうございました。仕方ないネー。
「可愛いですね」
!!!!!!!!!!
跳び下がったアーネに、ニートがヒラヒラと手をふった。
「ほらほら、ネコを追わないと」
おまいう。
爆心地に集まったプレイヤーは、皆が急いで立ち去った。ゲームが続いている。爆発入れ替わりショーはお終い。何処かにいるネコを探さなくては!勝利かショーを得るために。
「何処にいるかわからないのに?」
アーネは苛立たしげにニートを睨む。慎重に距離をとっているが、ネコを探しに行く気はない。
未だに、『鬼ごっこ』中継班すらネコを見失ったまま。立ち去ったプレイヤーもほとんど当てずっぽうに方向を決めただけ。
アーネは探索を仲間に任せている。
ギルド幹部クラインから預けられただけの、ギルド『黄金の夜明け』新人たち。百人あまりのプレイヤーがアーネの下知に従う。
いつの間にか、『鬼ごっこ』の間にそうなった。
アーネが指定した班単位で動く。判断に迷えばアーネが指名した班長が判断。班長はアーネに指示を求める。それは仲間ってより
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・部下?
アーネは自覚していないが。
アーネの付けた探索条件。
爆心地直上、爆煙が生じた高度がスタート。跳びされる範囲。鐘楼や塔などに配置した見張りや中継の視界に入らない範囲。
そう多くはない。
中継しているギルド『スフィア・タイムズ』や、『鬼ごっこ』参加者で目端が効く者たちは、同じ基準で走り回っているだろう。見物客から目撃者を確保するのも遠くはあるまい。
では、問題は何か?
(このチクショー、ね)
抑えきれない恨みつらみ憤りをさらに限界まで抑えて、さておいても、『鬼ごっこ』の焦点はこの男。
ニートだ。
アーネにしてもわかっている。
最悪を想定したのも、大騒ぎして絶望したのは、自分の勝手だと。ニートに躍らせられたとはいえ、ゲーム内ゲームでのこと。結果として起きたことに文句を言うべきではない、と。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ニートはんがそれを狙っていたとは考えない、アーネちゃんである。えー娘や!」
それにナレーションを入れるお前は何かと。




