あなたに、感謝を。
あたし――――――――――なんで――――――――――こんなことになってんのよ!!!!!!!!!!
「運命っす」
やめてあげて――――――――――!!!!!!!!!!
はじまりの街、大広場。いつもの。
いつもの場所に、いつものメンバーっていいよね?
(あたしちがうし!!!!)
「受けた――――――――――??????????ジョーダンだろ!!!!!!!!!!」
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ」
セイ&トモ。怒り&棒笑い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何それコワイ。
棒笑いって?
「バッカじゃねー!!!!!!!!!!」
「セイちゃんを超えました!!!!!!!!!!」
おい。君たち親友だよね?
「ぎちょーだかの都合良すぎる無茶ぶりを、ふつー受けねーよ!なあ????」
「ですよね!」
(なんで、あたしにフルのよ!!!!!!!!!!)
セイ&トモに同意を求められるアーネ。
仲良きことは美しきかな。引きつった笑顔が素敵ですねー(棒)。
大広場中央よりで車座になって座っているのである。夜になり、大広場にはキャンプがいくつもできている。
数は在れど、ほぼ二種類だ。
まず、もともと配置されている評議会のゲート警戒部隊。
彼らは他の街から乱入してくるプレイヤーを警戒している。育成圏の街々と直結しているこのゲート。突然混乱が生じれば難民化したプレイヤーが流れ込んでくるかもしれない。突然思い立って避難してくる、介入してくるギルドがあるかもしれない。
よって、24時間勤務。
なにそれ、ブラック!!
まあ、提唱者は
「秩序に睡眠も休日もない!!!!!!!!!!」
と絶叫しているが、もちろん、現場では、とくにエルコレが無視している。だいたい、警備部隊は大広場で宿泊しているのだ。本気のギルド間戦争でもなければ対応できる。
「戦争対応できんじゃないか!!!!!常に考え得る最悪に対応できるようにするのが当然だ!!!!!!!」
とクラウンは絶叫したが、エルコレは無視。
常に最悪に対応できるようにする・・・・・・・・・・・理想だ。実害しかない類の理想だ。最悪に備えたリソースを常に消費してみろ。
「最悪を迎える前に破産するだけだ」
とまあ、クラウンには言わなかったが。
夜間の警備は最小限。長期化するようならシフトで休みも入れるつもりだ。
エルコレも、議長も、他の評議会評議員も、ゲート管理の必要性は理解している。
「大広場の維持は全プレイヤーの生命線である!!」
と叫んだクラウンがいたとかいないとか・・・・いたのだが。
ゲーム世界最大のプレイヤー人口を擁する『はじまりの街』。
それをかろうじて維持している評議会にとって、それは悪夢だ。『はじまりの街』が混乱すれば、プレイヤーの大多数が混乱に巻き込まれる。それはゲーム世界全体に波及しかねない。
デス・ゲームという異常な環境によるストレス。人間がどう反応するか、育成圏では誰も確信を持てないのだから。
まあ、育成圏は今のところ安定しているようだが、評議会参加の大手ギルドは『はじまりの街』から2~3個隣の街がホームベース。
その先の事情は分かりにくい。
はじまりの街とホームベースの街、それぞれの維持確保に全力を挙げている中で、別の街に偵察隊を派遣する余裕はない。かつてとちがい「安全圏だけ、ちょっと見てきて」と暇なメンバーを送り出すわけにはいかない。それこそ、ギルド戦争の教訓で皆が臆病になっている。
だから『鬼ごっこ』で警備に利用できる人員を根こそぎ街に繰り出しても、大広場の人数は減らさなかった。むしろ、イベント目当ての流入者があったぐらいで、暇でこそないが平和そのものだったが・・・・・。
次に、外来の宿泊者も各々車座になって夜を過ごしていた。
外来者とは評議会設立後に『はじまりの街』を訪れたプレイヤーである。
はじまりの暴動で運よく他の街に逃げられたものが帰還したり。
行方の知れない仲間を探しに来たり。
デス・ゲームからの解放をじっと待つならゲームの起点である『はじまりの街』がいい、と思ったり。
たいていは、街に宿泊先の当てはない。大広場警備部隊の案内役たちは、大広場での夜明かしを奨めている。街の夜間警邏の手間を減らしたいからだ。
灯りがあり、同じ状況の仲間がいるとあって、なかなか好評である。
ネコカフェもその中に含まれるだろう。
ちなみに、デス・ゲーム世界の住宅事情。
元々『はじまりの街』にいた初心者たちはねぐら、と言って悪ければ住所を持っている。
はじまりの暴動後、ギルド戦争が起き、評議会ができた。
評議会の武力は街にいたプレイヤーに浸透しており、実際の力以上に恐れられている。それを生かして強引に大勢のプレイヤーを『はじまりの街』に点在する大規模公共施設(運動場、劇場、他)に封じ込めた。
「無秩序対抗するのは秩序しかない!!」
と絶叫したものがいたからである。クラウンだが。
意味は解らないが、効果はあった。強引にでも他人と対面させて生活することにより一定の、評議会の元ではあるとはいえ、秩序が生まれたのだ。
実務はエルコレたち、武闘派ギルドが行った。エルコレが大広場に移った後も、続いている。
とにかく街路を巡回して威圧。宿屋に泊まる資金力がない、節約しているプレイヤーを評議会が決めた宿泊施設に追い立てた。宿泊施設ではギルド『マルタ騎士団』のシスターたちが住民登録を行った。単に評議会用に開放したストレージに記録しただけだが。
別に監禁しているわけでもない。
今後は配給の条件にする予定ではあるが、議長の方針で伏せられている。今のところ便宜があるとすれば、常駐する評議会要員に相談ができる事、評議会警邏隊により保護が受けやすい事。
施策としては概ね受け入れられていると言っていいだろう。
もっとも、外出禁止にしているわけでもないので、はみ出す層はいる。
宿屋以外は勝手に占有している建物や道路の一角だが。すべて自然発生的な物であり、その縄張り争いが評議会の頭痛の種でもある。
そして、大広場『呉越同舟』にもどる。
ギルド『ネコカフェ』とアーネ。追われるものと追うもの・・・・・たぶん。
アーネの為に言い添えて置く。
とても近い距離で、セイとトモを両脇にして正面がニートとフミノな、車座になっているアーネ。
会話の接ぎ穂でちょくちょく話題をふられているアーネ。
ネコカフェの輪の中にいるアーネ。
アーネは、ニート率いるネコカフェのメンバーではない。
「もちろん、仲間という言葉にギルドメンバーなどという狭い意味はないですよ」
「仲間じゃないし!!」
ニートにかみつくアーネ。
ニートとは以前からちょくちょくお茶しているが。
「してませんから!!」
「教都の緑茶は美味しかったですね」
(アーネを意味もなくからかい倒したいニートの戯言だとお疑いの向きは、本作33、34話参照の事)
キツ!!
とニートをにらむアーネが断固たる訂正を行った!!
「おいしかったですけど同じテーブルで同じ飲み物を飲んでお話ししただけです!!!」
・・・・・・・・・・・・訂正??
「ベタだな」
「ツンデレっす」
「お幸せになるとセイちゃんが黙っていませんよ」
ちょ!おま!!
どうしてこうなった。
ギルド『黄金の夜明け』の幹部であるよりまえにニートの怨敵である、怨敵って普通に使う言葉じゃないよね、なクラウン。
クラウンに素人以下の新人ギルドメンバーを押しつけられた挙げ句、クラウンに命じられてニート、とニートを離さないネコ、を追いかけていたのがアーネである。
ネコは本来の目標ではない。
だが、結果として、ネコを追いかけているように見えるアーネたち、が呼び水となり、『鬼ごっこ』が絶賛開催中。
賛美が絶えた、という意味なんでよろしく。
『鬼ごっこ』告知のせいでギルド『黄金の夜明け』を含む大手ギルド評議会は想定外の『鬼ごっこ』に巻き込まれ、退くに退けない貧乏くじ。
秩序を維持するために、なけなしの人手をフル回転させて『鬼ごっこ』を成功させざるを得ない。
成功させるとギルド資産が優勝勝者のつかみ取りされてしまう。
主催者には恨み骨髄。
全大手ギルドの恨みが一つになった!!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰が首謀者か、未だに証拠がない。
「ザンネンダネー」
「え??まだ証拠がないんですか??ニート」
セイがトモを羽交い絞め。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おぃ。
ニートはアーネを見てにこにこ笑う。
『鬼ごっこ』告知。
興味を持ったプレイヤーが街中の追いかけっこを見る。
アーネが率いた100あまりの追手。
それを傍観する、あるいは協力する評議会の警邏隊。
皆が評議会公認イベントと思い込み『鬼ごっこ』に参加。
(ちがう!!絶対こいつのせいだ!!!)
アーネはニートをにらみつける。
順番が違うとは気が付かないアーネ。いや、評議会のだれもが気が付かない。告知とは事前にするもの。文章も開催のお知らせ、という形をとっていたから。誰もが因果律を信じる。
ことを起こしてから原因を作るとは思わない。
《アーネが率いた100あまりの追手》
そこから始まったのだ。
笑顔のニートがアーネに贈る言葉は一つ。
貴女に、感謝を。
「貴女に、感謝を」
言いやがったよ!コイツ!!




