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コミュニケーション・オンライン~コミュ力最強!仮説~  作者: C


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ミスディレクション


鬼ごっこ、ルールはカンタン、商品たくさん。


鬼はみなさん。

目標は着ぐるみの猫。


猫は当然プレイヤー。


猫に触れたら優勝です!!!!!!!!!!間違いありませんよ?

ただ、ただ、触るだけ。

尻尾か、おヒゲ、耳、背中?


乱暴にしちゃだめですよ。


猫ちゃんをかわいがってあげましょう!!!

鬼どうしでケンカもダメです!!


優勝者には、協賛ギルドのアイテムストレージ掴み取り!!!!!!!!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ただし、自分のストレージいっぱいまで。


さあさあ、こぞって参加して、装備をA級に整えちゃいましょう!!!!!!!!!!




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




「誰が参加するもんか!!!!!!!!!!」


クラウンは怒鳴り散らした。


「まあねぇ」


頷いた議長。呆れ顔のシスター。


プレイヤーイベントは、大手ギルドでもなかなか動かせない。

内容もさりながら、告知に時間がかかるものだ。


そういう意味で『はじまりの街』の治安維持を目指す評議会の議長も心配はしてなかった。



「内容は悪くはないけどね」


このイベントが本当なら。

既に名が上がったギルド複数から『知りません』と回答がきている。


「むしろ『黄金の夜明け』は無関係か?って聞かれたしね」

「なぜ我々のせいにされる!!!!!!!!!!」


謂われのない疑惑に怒り狂うクラウン。


「「「「「まあねぇ」」」」」


謂われの無い疑惑、で罵倒される事に覚えがあるマルコ達が呟いた。

慌てて議長がクラウンを、シスターがマルコ達を宥める。



ギルド『黄金の夜明け』は、ばらまかれたメッセージに名前が無かった。

大手と名が付くギルドは皆、名前が乗っていたのに。


「つまり、我ら以外が犯人です」

胸をはるクラウン。

なんと正論なのでしょうか。

犯行声明に一人だけ名前が載っていないから、犯人じゃありません。

他の全員が犯人です。


自分のギルドの名前を勝手に使われて、怒り心頭な他ギルドのみなさんにそう言ってあげたい。

議長が絶対に言わせないけれど。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――シスターは、ため息。


議長がまあまあ、とみんなを宥めた。


「でも、なぜ、ニートさんたちを?」


シスターもあわててため息を隠して話題を振る。


着ぐるみの猫。

鬼ごっこの標的。


ヴァーチャル・ゲーム『スフィア』の公式アイテム着ぐるみは、開始暫くで販売中止。

購入者も災難を恐れて装備しない。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ネコのせい。


今でこそ天災扱いで皆が関わらないようにしているネコ。


ゲーム開始から暫くは、迷惑プレイヤーとして有名だった。

無言でPK、無言でイベント破壊、無言でアイテム奪取、無言で無言でやりたい放題。ログイン時間が尋常でないために、常に皆の上を行く、ハイプレイヤー。


あまりにあまりなマナー違反、討伐作戦が繰り返されたくらいである。

ニートが保護者っていうか、飼い主扱いされるまでは。




着ぐるみは皆同じに見える。

いや、並べれば大分違うのだが。


だから、着ぐるみ装備は、ネコの悪評の巻き添えを食らう。

よって装備者が減り、余計にシンボルマークとして定着し・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・着ぐるみ=ネコ(ネコカフェのプレイヤー)となった。




既に悪評を超え、特に十万エントリーに伴って参加した大半のプレイヤーには、名物扱い。

だからこそ、このイベント告知にある標的を勘違いすることはない。

そして今回、標的にされたのは何故だろう??



「奴らが狙われるのはいつものことです。飼い主があの、ニートですからな」


断じたクラウン。

確かに、いまさらネコが狙われるのは考えにくい。


ネコが狙われたら、保護者であるニートが出てくる。


なら、この仕掛けはニートが狙いだろう。

イベントが不発でも『はじまりの街』で活動するニートへの牽制にはなる。




「ニートを取り押さえたいのは我々だけではないですから」


クラウンの断言に議長とシスターは首を傾げている。



(彼に敵は多いが、正面から挑むかね?)

と、議長。

ニートはそこかしこで恨みをかっている。

だから、攻撃陰謀を向けられて当たり前・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・に見えて、そうでもない。


ニートの凄みは人脈の広さ。

自分に陰謀が向けられる前に嗅ぎつける。

事前に止めるか、直後にカウンター。


だからニートの敵対者は大抵、陰から足を引っ張る事を目指す。

正面から挑むのはクラウンくらいだ。



(ニートさんが言っていたのは、これかしら)

シスターは思う。




「議長、警邏本部からです」

盗賊スタイルの女性が議長に声をかけた。


最大ギルド『黄金の夜明け』ギルドマスターは、処理すべき事が多い。

だから、直通のメッセージは限られた相手のみを指定して受ける。

だから、彼女は取次役だ。



「何かな?」


警邏は評議会合同の活動。

つまり複数ギルドが入り乱れているので、ギルド間の交渉事になりやすい。


ギルド『黄金の夜明け』としてのフォローが必須。

だからこそ、現場を知らない議長が介入する必要性を減らす為、ギルド幹部に裁量権ごと委ねている。

その幹部からの連絡となれば、大事かもしれない。



『申し訳ありません、議長』

「なーにいってんの、何でも言ってよ」


『街で大騒ぎが起こりました。いえ、今も続いています』

「増援?交渉?状況は?」


『ネコが街中を跳ね回り、大勢が追跡し』

「ニートくん、追われてんの?」



はっ?となる議長。



「心配ない。追っているのはウチの連中だ。バカげたイベントとは違う」


クラウンが割って入った。議長がメッセージをオープン。



『違います』

「そうだ、安心していい」


『警邏どころじゃありません!!!!』

「泣き言を抜かすな!追跡班はアーネ君が指揮している。既に命じた通りだ!さっさと協力しろ!!!!!!!!!」



議長が手で制した。





「クラウン、誰かが追跡してるの?ニートくんたちを?」

「は!」

胸を張るクラウン。

嫌な予感が確信に変わった議長。




「何人?」

「新人ばかりですが、100名は下りません」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――議長は反芻した。

統制のない、一般プレイヤーに近い姿の100あまり。

警邏は制止しない。




「今、街でニートくんを追ってるのは、何人?」

議長は警邏に聞く。


「・・・・・・・・・・・・・・・およそ1000は下らない、かと」

「バカな!!!なにごとだ!!!!」

叫ぶクラウン。




「群集心理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「サクラって言ってもいいけどね」

シスターと議長。



イベント告知。


街に貼られたポスター。

まあ、ヴァーチャル・ゲームなので、掲示許可付きのデータと考えればいい。

それを見かけた何人かが、ゲーム内SNSに画像を上げた。

そのデータが瞬く間に『はじまりの街』限定SNSに広がる。


問題。


本当に、見かけたのだろうか?





そして街を揺るがす逃走劇。

イベントとは別に、追うアーネたちに逃げるネコ(の上下左右どこかににニート)。


轟音を上げるネコ。

閉じこもり気味のプレイヤーが一度は耳にする。


彼らもSNSをチェックする。

何もする事がない彼らは話題に飢えている。


何人かが外に出た。

大勢の、自分と同じ雑多なプレイヤーが、Wikiに載ってる名物キャラクターを追って走り回る。

普段なら騒ぎを威圧する大手ギルドの戦士が黙認している。




みんなが参加している。

評議会が認めている。

キャッチフレーズ『笑顔のために』。

それも瞬く間に広がる。



街頭にプレイヤーが出始めて、何割かは『鬼ごっこ』に加わって、


「千人でおさまりそうにありません!」

「止めろ!」

「止めるな!!!!!!!!!!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「「「「「議長?」」」」」

議長は歩きだした。


「大声だしてごめんね~全員、オフイベスタッフを、よし、警邏本部に集めて」

シスターに、また後ほど、と一礼。

議長は足早に立ち去り、クラウン達が続いた。







「シスター、こちらへ」

「近藤さん」


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