人間関係の基礎知識:強い友達をたくさん作りましょう
ゲーム最大ギルド『黄金の夜明け』とは。
ヴァーチャル・ゲームのプレイヤーサークル、老舗にして大手。
ゲーム愛好家が情報交換、仲間集め、単なる社交を目的に集うリアルサークル。
参加者の全部が全部、同じゲームにエントリーする訳もない。
だが、ゲーム業界最大を謳うスフィアには多数のメンバーが集団エントリーしていた。
ネコカフェ一同、はじまりの街着。
まあ、誰かに連絡する訳でもないが。
ネコカフェ一同前、マッチョヒューマンズ着。
いや、誰かに通報したくはなったが。
ギリシャ風彫刻。
ポージング。
マッスル。
半裸。
なもんが、動いたら?迫ったら?まばたきしたら?
ネコが毛を逆立て(しっぽまでパンパン)、女の子が逃げ(ニートに隠れるセイ&トモ)、少女が気絶する(フミノが倒れ人が集まる)。
気をしっかり~。
彫刻は、外野がうるさいな、くらいに視線を走らせた。
「よ!早かったな。待ちくたびれたぜ」
ニートには伝わる。
ゲートをくぐった時間は予定より早い。
だが、転移後に何度も周りを確認したので、待たせただろう。
彼らは広場の外周にいたのだから。
そう、彼ら。
半裸の巨人。
いや、印象だけ。
2m越えたくらいの背丈だがら、ゲームでは珍しくない。
半裸の男女。
ギリシャ風彫刻の後に続くが、違うタイプ。
厄介なことに、いやらしさが全くない。
性的な匂いがしない、と言うべきか。
コレ、人間?
いや、迫真。
例えば。
テラテラ輝く筋肉をヒクつかせた女性。
明るく爽やかに笑顔。
あれはバストか胸筋か?
カラフルなビキニ。
上腕二頭筋に造形が深い方々にはたまらんのかも、しれない。
いや、よくしらんけど。
「お久しぶりです」
ギルド『黄金の夜明け』傘下ギルド『アルゴ』。
アルゴではギルドマスターを『頭領』と呼ぶのだが、ニートは頭を下げた。
ネコはそのまま頭頂から後頭部へ移動。
ニートが頭をあげると逆移動。
常に全周を把握できる位置。
警戒持続。
「先週、のみいったろ」
「お懐かしい」
斜め上から見おろした彫刻。
見上げるセイ&トモ。
投石器用意。
「ゴリアテじゃねーから」
ニートが顔を上げて振り向いた。
「こちらのダビデは」
「「そのネタいーから」」
セイが前に出た。
「あんた、リアルか」
感心顔のゴリアテ(違う)。
「素直ないい子だ」
「ダメだよセイちゃん!」
相手を見て、体の動きに違和感がない、と見て取った。
これれはゲームスキルではない。
リアルでストリートファイト経験を積んだセイのプレイヤースキル。
だからこそ
『リアル』
(リアルとアバターがサイズもスタイルも同じ)
と口に出たのだが。
「ニートのファミリーにしちゃ、スレてない」
ニートいわく。
相手を知りましょう。
相手にそれを隠しましょう。
リアルとアバターがイコール。
ならゲーム重視のハイプレイヤー、特に戦闘職が多い。
リアル/アバターの体感覚のズレを嫌うからだが。
特異な外見。
(この場合はフィクションと見紛う身長他)
そしてあからさまに戦闘職。
なら『アバターとリアルのズレを狙った攻撃』に慣れているハズ。
最適解。
気がつかないふり。
戦闘時に狙える隙をキープ。
さらに、プラス。
自分が『気付ける』プレイヤースキル持ちだと知られなくて済む。
新しいカードを得て手札を伏せるのはゲームの基本。
と、考えるのが『ニート擦れ』したプレイヤーの考え方。
セイも当然、そう教わっている。
教わるだけは。
「いやいや、向き不向きがあるって」
しまった顔のセイを慰める彫刻。
「コイツの真似はできねぇからな」
とニートを指差し慰める彫刻。
「いい加減、紹介しろや」
とニートに話を振る彫刻。
「そっちから名乗ったらどうだ?」
セイが促した。
彫刻は肩をすくめた。
「時期が時期だけに保証が欲しいんだよ」
ニートと彫刻以外が不審顔。
「こいつとオレの話だがな」
二人ルール。
っと言うより、ニートのやり方を真似たらしい。
「紹介したら責任を持つ」
紹介した方。
紹介された方。
双方に。
「ハズれたら、死ぬの殺すの賠償するの、って話じゃない」
じゃあ、何のため?
「信義のはなし」
少なくとも彫刻(名前これから)は、ニートが紹介した相手はニートが見立てた人物として付き合える。
安心して。
「おっさんは?」
この彫刻からの紹介で安心出来んのか?
「わたしはどんな人とも安心してお付き合いできます」
胸を張るニート。
あ――――――――――となるセイ。
ばんざーい、なトモ。
「まあ、オレとニートだけのローカルルールだからよ。オレの目利きにニートが裏書きするわけじゃねえ」
苦笑。
「では」
ニートが間に立つ。ネコが飛び降りて、傍らに。
「ネコカフェ一同」
ネコ、セイ、トモ、そして魔法使いロープを降ろして顔を出した五人目に皆が注目。
「ネコ、セイ、トモ、ご存知ですね?彼女が」
慌てて抱き留めた。
「ふ、ふみの、です」
肩を支えフードをかけ直させ、周りを見るニート。
「わかってる。辛ければ」
周りのマッスルが視線を伏せた。
「着ぐるみきててもいいぜ」
「キャラが被りますよ」
ネコと。
ニヤリと笑った二人。
「Ladies」
ネコカフェ一同を振り返った。
「こちらが古田さんです」
やめー!!!!!!!!!!
ゲーム内でリアルネームはNG!
「コタさん、と呼んでください」
「リテイク!!!!!!!!!!」
吊されニート。
「ギルド『アルゴ』頭領、エルコレさんです」
額を抑える巨漢、彫刻改め、エルコレ。
「きまんねーよ、コレ!」
セイ&トモは、世界観にあってないからじゃね?と見てる。
「世が世なら、主役ですよ主役」
ハリウッド映画に出てきそう。
「アルゴは聖球寺と同じ規模の大手ギルドで、攻略組レベルも多数在籍」
筋肉をヒクつかせるアルゴメンバー。
幹部クラスか?
セイ&トモは、嬉しいと筋肉に出る人たち、とメモ。
「迷子になったら筋肉を探しましょう」
「「「「ハイ」」」」
ネコはニートに登り始めた。
終わり、と判断したのだろう。
「オレたちはしばらく広場の見張りだから、広場にくりゃいいし、アドレスはニートから聞いてくれ」
広場。はじまりの街一番のランドマーク。
大きな通りを中心にまっすぐ進めばつく。
「見張りですか?」
「ああ」
大広場。
広い広い平面は石畳。
中心には噴水を外周にした円台。
外周が建物に囲まれているが、解放されていないためにプレイヤーは出入りできない。
つまりは、壁。
はじまりの街に四本ある大通りが街中心で繋がり、広場の出入り口となる。
「まあ、外からの出入りを制限したい、ってな」
大通りに出る四つ口にバリケード。
そしてアルゴのメンバーが十数人。
武器を持ってない、しかも、マッスルだから威圧感はないが。
いや、別な意味で威圧感?
中心のゲートも大通りに向けて四カ所。
それぞれにマッチョが配置。
ただし、シートを引いて甲羅干し状態。
しかも二人。
ゲートをぬけたら5秒でマッチョ、は防がれていた。
「なにそれ怖い」
まあ、全体にソフトな雰囲気だ。
ゲートから出て少し進むと、四方の中程から案内役が駆け寄る。
これはアルゴではなさそうだ。
「エルコレさんの仕切りですか」
エルコレは反応しなかった。
つまり、そうなのだろう。
ニートが想定した相手なら完全武装レイドを常駐させる。
軍用犬じみた魔獣を連れたビーストテイマーが警備。
ゲートを出た瞬間に武装解除と身体検査、尋問に入るだろう。
「あー」
頭を抱えるエルコレ。
「提案があったんですね」
「提案、ってか、まあ、命令?」
あ、は、は、は。
「まあ、行こうぜ。積もる話の前に説明してやる。昼飯は?まだだろ?酒、いや、ジュースもある」
「お邪魔し」
「何をしてる!!!!!!!!!!」




