プランA
「この人殺しが!」
人殺し。
大変インパクトがある言葉。
フィクションでは、結構ダメージを受ける言葉らしい。
「はや!」
「バレ?」
セイ&トモ。ダメージ?
「おっさん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「殺ったら隠す!って言ったじゃないですか!」
えー?えー?
マジ!なんでや!?
見ちゃいけません!!行きますよ!
騒ぐギャラリー。
「お静かにお静かに」
周りを見回して、手で制するニート。
「皆さん。わたしの目を見てください」
年相応の落ち着きと知性。
「コレが嘘をついている目でしょうか」
「殺ってないとは言わねーんだ?」
ヤブニラミ、のセイ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「わたしは人を殺してません」
なんだその間は。
はーい、とトモ。
「人型の有機知性体を再起動不可にしただけなんですね!」
リアル人殺しに聞こえるが。
「トモ、言葉を重ねれば安くなります」
ニートは眉間を抑えた。
いいですか、と気合いを入れたニート。
「嫌な事件だったね」
肩をすくめた。
おおーーーーーーー。
拍手。なんとなく。
はじまりの街。
ゲート前。
大広場。
一歩も進まず時が過ぎる。ここは広場のど真ん中。端まで声も届かない。
三つどもえ、的な。
ネコカフェ他一人で合計5人。
ギルド『アルゴ』のメンバー。
そのうちうち頭領エルコレと10名がココ。
メンバーの大半は大広場、と言うよりゲートを管理するために広場出入り口を抑えている。
ど真ん中に集まったのは、ギルドの予備戦力。
最強の切り札だ。
彼らと対峙するのはクラウン。
そしてギルド『黄金の夜明け』メンバー30名。
アルゴが『黄金の夜明け』傘下ギルドなら、この30名はギルド本部直轄になる。
上記三者を囲むのは?
ゲートから出て来た、出て来ていたギャラリーってか、野次馬。
まあ、ゲートが機能している以上、時々他の街から転移してくる。
そういった通行人達は、アルゴメンバーが目視で確認。
問題無さそうなら『黄金の夜明け』傘下ギルドから応援にきたメンバーが案内に入る。
ゲート直前で騒いでいたネコカフェ一同をみて、集まってしまうのは人間として当然だろう。
そしてニートのトークを聴き、そそくさと街への出口に向かう。
目を合わせないようにしているのは、社会人として当然だろう。
あれ?
ナンデカナー。
「メシだメシ」
エルコレが締めた。
「失礼します。クラウンさん」
「ふざけるなー!」
おお!
動いた!
こっち見た!
三人よれば姦しい。
固まっていたクラウンが手をふるニートにキレた。
「貴様のコトなんか言っとらん!貴様ごときに殺されるマヌケなんかおらんわ!幼女趣味の詐欺師ごときこれっぽっちも気にするか!せいぜい餌食にした女の卑劣なヒモとして首を潜めていろ臆病者!だい――――――――――」
上から響いた罵詈讒謗が途切れた。
「きけや」
エルコレの頭上に吊されたクラウン。
エルコレの目が笑っていない。
クラウンの取り巻きは筋肉集団・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・に睨まれて動けない。
彼らはアルゴ最強。
エルコレの一言で他ギルドの幹部だって殴るだろう。
レベリングもギルド運営も時間がかかるから、両立しない。
レベルの高いPCは一目置かれても、ギルド内の権力から遠いと言っていいだろう。
そんな彼らは『黄金の夜明け』中枢メンバーを潰すとどうなるか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・などとは考えない。
「ゲームじゃ殴れないから、面白くねぇ」
リアルを殴れないから。エルコレはキレた目で続けた。
「殴る時がゲームじゃ、きまらねぇよな?」
怒りは遊びじゃ済まない。
「あ、デス・ゲームはリアルだったか?」
クラウンが必死に睨み返す。安全圏である以上、気道か塞がれる演出はない。だが、声が、出ない。
ん?
エルコレの視線が下を向いた。
肩をすくめ、右手を開いた。
「がはぁ」
落ちたクラウン。
「口のきき方に気をつけろ、な」
クラウンは手を借りて、立ち上がった。手、ニートの。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!」
エルコレも、少し、憐れみの目。
「さあさあ、みなさん」
なにとは言わず、手招きするニート。誰をって?
「この役立たずども!!!」
クラウンは取り巻き、取り巻いていた連中を怒鳴り散らした。
彼らはクラウンの手伝い、あるいは護衛。
なのに、守るどころか、アルゴメンバーの威圧で声も出せなかったのだ。
「誰が拾ってやったと思っている!!!『黄金の夜明け』の役目を果たさずに安全と食事だけ手に入れるつもりか!!!!宿無し乞食ども!!!恥を知れ恥を!!!!なんならギルドを辞めてどこになりと」
「あー、えーと」
やめとけって、と肩を叩くエルコレ。
そのエルコレに右手平を縦にして罪ポーズをしたニートが割って入った。
「行って良いですか?」
「良いわけ有るか!!」
向き直るクラウン。
「人殺しめ!!」
振り出しに戻る。
「違う繰り返すな!!貴様じゃない!!!」
自分を指差すジェスチャーのニート。
おめーがな、とつぶやくセイ。
ニートの頭上で寝てるネコ。
「わー動いてる動いてる!!」
後の二人はエルコレの筋肉言語に大喜び。
怒鳴るクラウン。
「その女だ!」
筋肉言語試聴中の魔法使い少女。
「フミノと名乗っているな」
魔法使い少女が振り返った。
「運営!このひとごふゃが」
破壊音。
クラウンの顔に紫色のゲル状物質がベッタリ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんの、つもりだ、ニート」
目が座っている。
「状態異常かと思ったんですよ。顔色と呼吸があからさまに変でしたから」
真剣に心配そうな表情を『作る』ニート。
「だから、そのガキが、解除薬を投げた、と」
投げた良い子はネコである。
アイテムボックスから瞬時に取り出し思い切り投げた。
「いえ、思い切りなら顔が無くなってますよ」
適当に投げた。何やらわめくクラウンの顔面に。
無論、効果が無かった状態異常解除薬は消えず、エフェクトなしにたれ落ちる。
「優しい子でね」
クラウンは頷いた。
「捕らえろ」
前後の直轄、アルゴメンバーに。
「さっさとコイツ等を捕らえろ!運営を捕らえるのは『黄金の夜明け』議長閣下の命令だ!」
アルゴメンバーはエルコレを見た。
「デス・ゲームに巻き込まれた全てのプレイヤーの意志により運営を捕らえろ!!!!!」
先頭のニート、の頭上のネコが目開いた。
セイが棍をかざし、トモが大型フライパンを盾に。
魔法使い少女は最後尾。
『黄金の夜明け』直轄メンバーが動き出した。
エルコレは。
魔法使い少女のすぐ後ろで顎をひねる。
「さっさと捕らえんか!」
「なんとかなんねーか?」
はぁ?




