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コミュニケーション・オンライン~コミュ力最強!仮説~  作者: C


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34/95

恵まれない少女に愛の手を



「さあ、はじめましょうか?」


なにを?

という目で二人をにらむアーネ。


間違いではない。


自慢の

「自慢なんかしてない!」

鎧(対魔法効果のミラー胸甲)を外套にくるみ、兜を外し、目深にニット帽。

5月である。

まあ、小雨だからあり?


静かな空間の話ではなく、アーネがいる。


「まだいた」グサッ!


ギルド『黄金の夜明け』所属。


「除名になって居なければ」


慌てふためいてシステム・ウィンドウを確認するアーネ。

ほっと一息。ギルド登録が残っていたらしい。


「残って、とか言うな!」


だが、自然に『居ない』と字義を吹き込む謎話術。

そのニートにコケにされ、ギルド命令を果たせなかったアーネである。


「なんで居るんだ?」

「シーだよ!セイちゃん」

「帰る場所はありますか?」


とニート。


「出家なさいますね」


断定する聖。


「切腹回避」

「高野山追放ですね!」

「家出じゃね」

「あら素敵」


おい、仏教徒。


「違うから!」


ニートたちの追い討ちにたまらず叫ぶ。


「あたしは役目を果たしてます!」


あ。

アーネが凍りついた。

ニートの隣の、どちらかと言えば隠れた、魔法使いローブの少女がふるふると震えて涙目。

フミノである。

フミノからアーネがどう見えているか、言うまでもない。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


アーネ。

フミノに目をあわせられない。

だが、逸らせももしない。

フミノの証言〈はじまりの日。はじまりの街/スフィア・タイムズより無料配信中〉を見たのは明らかだ。

それを見たアーネが何を感じてるかも。


滝汗。

いや、ゲームアバターだよ ?

感情表現にとむスフィア・クオリティ。


ガマの油。


若い人にはわからないか。

まあ、脂汗を滝のように流すとおもいねぇ。


赤毛美少女の汗ならありや!

は?

あれマジもんやで?リアル造形なら倍プッシュや!!

ちょっと!


「黙れ外野!!!!」


ニートはアーネをゆっくり鑑賞。


赤毛に可愛らしい造作。

色以外はリアルアバターを微修正、か。

ジェントルメン・クラブのメンバーなら、重心の位置から「虚乳」を見抜くが、ニートにはわからない。


アーネの目に何が映る?フミノがどう見える?


独りの少女。

死の恐怖を刻まれた少女。

世界中から憎悪と殺意を叩きつけられた少女。


所属ギルド『黄金の夜明け』もあの時点でどこまで状況を把握していたか怪しい。

アーネは何も知らなかっただろう。

最初に会った時は明らかにフミノを敵、いや、デス・ゲームを引き起こした悪、と見ていた。


ニートはニヤリと笑った。



運営を捕らえろ。


そう命じた相手がいるはずだ。

ギルドマスター?サブマスター?幹部?とにかくヒエラルキーの上の方。


だが、今のアーネは手を出さない。

手を出せないのではない。


例えば。

教都代表ギルドの教祖、聖が居なければ?


「教祖はお釈迦様なんですが」


バーサーカーのネコが睨みを利かせていなければ?


「寝てんじゃん」


間違いなく、それでも、障害がなくとも、フミノに手を出さない。

どころか、保護しようとすらするだろう。

「え?」


「勝手なコトを言わないでください!だいたい!アナタには恨み骨髄ですからね!」

「仰せのままに」


口チャックのジェスチャー、ニート。


え、と?

ツンデレですか?

チョロインやっでぇ!


「外野うるさい!!!」


ニートは笑顔。目が見えないくらいに細めて。


さて。アーネ。


報告した?

異見した?

弁解した?


相手は。


気づかない?

気づいた?

どうする?


「美味しい」

「ですわね」


味わうニート、聖。ナニを?何を?


フミノはニートと聖を見て、習って、お茶を飲む。

少し、落ち着いたようで笑顔を見せる。


アーネは少し安心し、視線を逸らした。

やっと、逸らせた、と言うべきだ。


頭を抱えた。


なぜにどうしてこうなった!!!!!

アーネが率いた『黄金の夜明け』運営追跡班は四散。


「戦闘も無しに」


任務をあきらめなかったアーネも目標を取り逃

「ヒッ」

アーネの方がビクビク。


フミノの怯えに生きた心地がしていない。


「たった独り、ご立派ですわ。何が目的であれ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・とりあえず、新しい命令がなく、教都に止まった。


「ぼっち」


グサッ!


「まあ、敵地の観察は重要ですよね」


と、ニート。

ちょっと上向きなアーネ。


「あらあら、『敵』地ですの」


石になるアーネ。

笑顔の聖。

完璧な美少女だ・・・・・・・・・この宗教色がなければ。


聖は数百人で統制されたギルドのマスターだ。

メンバーは最低でも中堅レベル。

つまり、アーネ(ぼっち)と同クラスが数百人。

石になる、というか、なるべき。


「安心なさって」


聖を悪人だという人間はいまい。

アーネも、別な時なら、慈母の如き姿に癒やされるだろう。

同年代だが。


「輪廻の輪からいつか解脱出来ますわ」


自他の生死に関心がない、宗教団体の支配者に微笑まれても。


(なんでよ!)


ただ独り、指示も支援もなく、向き合っているのか?

よりによって、自分が傷つけた少女。

その少女を守る愚連隊&宗教団体と。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・タレコミがあったから。



「お客さんが取り逃がした獲物のネタがあるんですがね」


値段に見合う情報だった。

なにしろ、ニート達が再び教都にやって来る、日時やルート(ゲート移動)まで正確にわかったのだから。



(ん?)



「おっさん」

「どうしました?セイ」

「手持ちいくら?」


「物入りでしたら用意しますが?」

と聖。


奢りではない。ニートが資金やアイテムん預けているだけだ。

聖はギルド資産と個人資産と預かり品をギルドストレージにまとめている。

分類無しに。


「あー違う違う。確認」

「150枚ですね」

「あーじゃあ、私たちのお値段は300枚なんですね!」


バンザーイ、なトモ。

セイは、アーネを見た。


「?」


アーネはセイの視線に気が付いたが、すぐに背後のフミノから目を逸らした。



アーネは情報を喜んだ。

ネコカフェ、というより、恨み重なるニートがまた来ると聞いて。

信じられず、


「別口から同じネタが入れば信憑性が高まりますな」

「3つ以上なら完璧でしょう」


という助言によって、裏をとった。



ビンゴ!(誰にとってだか)



これで憎いアンチクショーに、目にもの見せてやる!



ニートが臨時収入を聖に預けた。

「可哀想な女の子に優しくしてあげてください。私の分も」

アーネは聖の笑顔に、視線をそらした。


(このお茶会、慈善寄付金集め?)

あまり、外れてない。



まあ、怨敵再会!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・誤算はフミノまで居たこと。

安全な場所に匿われていると思っていた。

二度と会わないで済むと思っていた。

願望。


依然としてギルド命令は取り消されていない。

意見具申に返信なし。

仲間は裏切れない。

謝れない。


「別に気が引けるわけじゃないし!」


ただ、たった独り故に、やむを得ず、仕方なく、捕まえるのはあきらめて、見張るだけにした。


「当たり前でしょう!たった一人なんだから!」


笑顔で言われても。

ただ、相手は悪名高いネコカフェ。


(でしたか?おっさん個人の悪名だろ)


手痛い目にもあわされたから、用心。


(でしたか?おっさん個人がな!違うよセイちゃん!自爆だよ)


――――――――――気を取り直して、見張り開始。

まあ、ネコカフェは往来で公然とお茶をたてはじめたのだが。

しかも、聖と一緒に。この街一番の権力者。


「誤解ですのに」


ら。

たら。


席に通された。


「そんな所では濡れますわ」

と聖。


その時には傘をさされていた。屈強で鬼瓦のような僧兵に。

ゼロ距離で。

遠慮しようとすると、ネコが爪をのばした。

Target Lockの警報付きで。


逃げると?


街から投げ出され、落下点にネコの大口。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・という夢をみたのさ。


「では」

「そろそろ、ですか」


アーネの周りはいつの間にか尼僧たち。


しんだ!


だが、彼女達は目もくれずに前進。アーネの死んだ目が光を取り戻す。


ニートたち、そして聖がゲートへ。


「愉しい席でしたわ」

「また、はじまりの街から帰ったら」



――――――――――なんで!あたしが同席させられたのよ!!!!!!!!!!


アーネ17歳。青春の主張。

いじめ、かっこ悪い。


遠くに響く罵声を胸に、ネコカフェ一同はゲートに消えた。







なあ、おっさん。

もしかしたらさ、いま、とじこめられてるやつら、ぜんぶのしんぱいしてるわけ?


おっさんは、ずるくて、あたまよくて、いじわるだし、なんでもできるけどさ。

なんでもかんでも、おっさんが、どうにでもしなくてよくね?


おっさんがさ、かんがえるのは、ネコカフェのあたしらだけでいいんじゃねーの。

・・・・・・だけにしとけよ。


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