人間関係の基礎知識:偉い友達をたくさんつくりましょう
人は、人であるというだけで、価値があります。
貴方は素晴らしい。
貴女には価値がある。
貴男はとても大切です。
頭のてっぺんから足の先まで捨てるところがない。
使い道を考えるとワクワクします。
「おっさん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌われっぞ」
「手遅れだよセイちゃん!」
ちょおま!
「でも私たちは大好きですよ!」
ちょおま!!!!!!!
セイがトモの口を塞ぐ。
いつもの。
雨である。
ヴァーチャル・ゲーム内である。
しとしとぴっちゃんである。
ゲーム世界に雨が降る。
詩的なお話でもなく、誰かの心象風景でもない。
ただの設定である。
ちなみにゲーム世界なのに気予報はあり、現実と同じ程度に頼りになる。
「つまり当てにならない、と」
「あらあら」
数時間毎に更新して現時点の天気に合わせる。そんなしょーもないモノを予報とはいわない。
人間として恥ずかしい。
あまりにも恥ずかしく、辛すぎた。
だから恥を感じなくなってしまった可哀相な方々の所行である。
アレに金を払うのは救済募金であり、ボランティア精神あふれる世の中に感動する。
次は安楽死だろうか。
「ファンタジーが足りません」
ゲームなのに。
ゲームだから明日の天気が解ってもいいのではないだろうか?
当たる天気予報じゃリアリティにかけるということか?
情報化と高速化。
それは果たして進歩であろうか?
アップデート前提に未完成ソフトを販売し、客をデバッカー扱いする風潮があった。
昔の話だ。
「今は定石ですからね」
まったく、嘆かわしい。
「スフィアの話じゃねーじゃねー」
容易く修正出来るからといって、誤字脱字が許されるのだろうか?
読者は校正係りじゃないぞ。
「本当にたいへん申し訳ございません」
心から反省しております。
どうかどうか広い心でお赦しください。
改善することを誓うべく前向きに努力いたします。
確約できないことを断言しないのは人間的誠実さの表れであると思っていただけますと嬉しいです。
「マジ切れされっぞ」
「お釈迦様は赦してくださいます」
お釈迦様以外はどうだろうか気になるが。
(なんの話よ!!!)
「情報化社会の弊害について」
「ちがーう!」
と血の叫び。いや、安全圏の街中で吐血はないが。
(なんであたしが・・・・・・・・・・・・・・・)
「縁ですわ」
「考えたら負け、と言いますね」
「勝手なこというな!っていうか、あたし声出してないよね?ないよ?スキル?アイテム?いつの間に?」
街の中心には広いスペースがある。
はじまりの街には広場。
教都には大路。
ゲートがあるからだろう。
他の街に行く。
他の街から来る。
場所がないと衝突してしまう。
ヴァーチャル・ゲーム『スフィア』の都市基本構造。
ここは教都。
雅な大路。
雨の下、和傘に覆われたスペースに、洋風の椅子とテーブル。
カフェか茶屋か迷う所だ。
教都らしくはある。
そんな大路は多数のPCが行き来していた。
散策?
買い物?
雨宿り?
雨とお似合い。教都らしい。
「ばんご――う!」
「伝令!伝令!!伝令!!!」
「夕刻1600まで待機!」
「ユエ様の影姿に―――――礼!!!!」
「号外!号外!130人目の残され組救出!」
「131!131人目はいつだ!はったはった!近い奴の総取りだ!」
「あんた~」
「臨時工房増設完了!職人はこっち!」
「三かけないか!三かけないか!」
「もう一声!」
「捜索用ギルド受付中!フィールド孤立中の知り合いにメッセージを送りましょう!ギルド特典で位置特定救出後自由に抜けられます!」
「孤立中の知り合いがいる知り合いにも送れ!」
「急げ!急げ!!急げ!!!救出作戦は基本一週間だよ!攻略組が帰ったらお仕舞いだよ!」
台無しである。
ギルド『GG』傘下、PKギルド多数が教都周辺フィールド広範囲で活動中。
リトライ調査を兼ねたレベリング。
中堅レベル中心の彼らでは攻略圏では邪魔になる。
ギルド『GG』の参謀長、Dがそう考えたからだ。
豊富なゲーム情報と統制で強制レベルアップ。
ついでに教都の有志PCがフィールドの捜索活動中。
デス・ゲーム開始時にイベント中で、街からはるか離れた場所で孤立したPCはかなりいるようだ。
これは期間限定。
取り残されているPCを助け出す為には遠出をしないといけない。
安全圏を出て、補給の当てがない中を、ひたすら進む。
目星もなしにできることじゃない。
目星があっても危険すぎる。
ギルド『GG』の配下達が数に任せて作り出すセーフティーゾーンを移動すれば成算がある
それ以外にない。
いずれはフィールドに出るかもしれないが、デス・ゲーム以前のようにはいかない。
おそらく、街から日帰り出来る範囲が主な生活圏になるだろう。
「わたくしたちは一週間程度の遠征を視野にいれていますわ」
と、聖。
今後の生活圏予想。
狩場の広さは豊かさの証。
少なくともゲームでは。
明確化している効率の良い狩場を狙う。
大規模ギルドが精鋭を絞り込む。
支援体制を組織的に組む
全体で分けてなお、利益率は良い。
近場はパーティーやソロに譲る為、聖に習うギルドは多いだろう。
結果として街に流れ込む物資が増えて、デス・ゲーム前と同じ豊かさを維持できる。
(教都では、ね)
ニートは朗らかに考える。
(近くの安全な狩場を力ずくで抑えるギルドはでるだろうな)
そうなれば、零細ギルドやパーティー、ソロはどうなるか。
吸収?
全部は無理。
統制する力があるギルドが、どれほどもない。
貧困層が生まれる。
挙げ句。
遠距離遠征が基本的に向いていない弱者がそこに追い込まれる。
(まずい)
一気に、なら、かまわない。
理想的ですらある。
だが、そうはならない。
ある程度期間をかけて追い込まれていく。
必ずPC間対立になる。
(後で考えよう)
ニートは切り替えた。
明日の原稿より今日の原稿。
今はこのお祭りを楽しもう。
ニートが考えるように、教都の、今の喧騒は期間限定。
有志も、特に街の動向を決める聖と彼女が率いる教都最大ギルド『聖球寺』はこう考える。
「孤立PC救出は攻略組がフィールドを抑えている間だけ」
明言してもいる。
その攻略組は孤立PCなぞ眼中にない。
彼らは新規加入の中堅PCを戦力にしたいだけだ。
一気に短期間で、ハイレベルな攻略圏で邪魔にならないように。
短期決戦大盛況。
大量の物質がギルド『GG』拠点都市カマルから教都のゲートへ出現。
新兵訓練に投じられていく。
フィールドからの休憩帰還パーティーが戦果(素材やドロップアイテムなど)を街で一番広い大路に運び込む。
兵站担当パーティーが仕分けや加工、再発送。
買い付け売りつけ狙いに、他の攻略圏の商人PCも集まっている。
更に新兵増加。
ギルド『GG』に新たに投降したPKギルドやパーティー、ソロ。
フィールドに出す前に大路で教練を受けている。
合衆国海兵隊チック(誰かの趣味、ではなく経験を導入)だから、うるさいのなんの。
人並み、怒号、歓声、あらゆる人と物がたてる音。
台無しである。
大切な事なので以下略。
カフェ風の茶屋で静かに過ごす聖。
え?静か?
「素敵ですね」
「でしょう」
自重や謙遜の概念が無いのは、大陸由来の宗教を究めんとするからか。
静かな空間である。
アイテムやスキル、魔法効果ではない。誰にでも、ゲームではなく現実でも可能な方法。
心頭滅却すれば、的なアレ。
そんな素敵空間。
白い僧服の聖が清涼な風を生む。
ニートが愛想と話題を振りまく。
アーネがジト目で藪睨み。
久方ぶり。
覚えてた?
フミノを追うゲーム最大手ギルド『黄金の夜明け』第二の刺客。
アーネである。
ニート、聖、そしてアーネ。
三人は卓を囲んだ、んでいた。
卓の周りは人数分の椅子。
ニートの背後にはフミノたちネコカフェ。
聖の傍らで給仕する、兄の禎(そして周りを囲む僧兵と尼僧たち)。
アーネは息をついた。
「さあ、はじめましょうか?」




