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コミュニケーション・オンライン~コミュ力最強!仮説~  作者: C


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『マルタ騎士団』 はい、テストに出るよ?

騎士団というと誰もが戦闘的な印象を持つだろう。


だが、別名『病院騎士団』と言われたら、かなり意外に思うのではないだろうか。

巡礼者の保護、主に医療支援から始まった実在の組織。途中で激しい戦闘集団になり、結局、医療奉仕団体に回帰した。


今も存在する実在の団体である。


その通称を

「かってに借りちゃいました」

と言うギルドマスターは柔らかな笑顔が特徴の大人である。

あくまでもゲームクラスとして僧侶をもつ彼女を、人はシスターと呼んだ。


・・・・・・・・・・・・・・キャラクター名より、アダナで認識されるのは、稀によくある。


「ニートはんもアレやし」

「副大統領、院内総務、参謀次長補佐、臨時全権代理、課長補佐見習い・・・・・・・・・・・・だっけ」

「長い肩書きだね!!!」

「前々々々のゲームでなにしたんや」

「知らないの?」

「ボクハナニモシラナイ!シロクキヨイドウテイダヨ」

魔法使い?


おーぃ!


土方が軽く声がけ。話を戻した。


「続けっぞ」


ホワイトボードには


『育成圏ギルドと距離をおく』


と書き込まれていた。


見廻組の佐々木組長と、ユーリアが皆にお菓子を配る。

セイ、トモ、ネコがスコーン(状のアイテム)にかじりついた。

ネコはジャムの瓶を丸のみしてから、スコーンをのんでるが。着ぐるみだし。


大人は話を再開。

「はぐぅがふぅ」

パコッ。

ヨイツが話に戻された。抱え込んだスコーンとクリームは没収されなかった。


「はじまりの街」

「はじまりの暴動」

「はじまりの市街戦」


はい、たいへんよくできました。

嫌な嫌な三題話。

停戦できてよかったですね。僕らは関係ないけど。

「とはいかんのやね」


「停戦、よくできたわね」


「一晩中闘って、疲れきったんだろうな」

「自然休戦?」


「シスターが仲介したんですよ」


皆、納得。

攻略組だからこそ、知らないものはいない。


シスター。


唯一のスタートアップ型ギルド。

(新人のゲーム慣れやPC育成、リアルを含めたゲームライフ相談・・・運営よりきめ細かい!)

そのギルドマスターだから、送り出した元初心者を経由して顔が広い。



トップギルドの大半は自前でリクルートからOJT(研修)までこなす。


そもそも新人集めに消極的だ。

レベルを合わせないと総合戦力が落ちるし、新人に合わせて足踏みすれば競合ギルドに追い越される。


最強ギルド『GG』が少数精鋭を地でいっている。


それが攻略組のモデルになってしまった。

見本や基準に適切かどうか、と考えると、手法が常識外な『GG』は、間違いなく不適切なのだけれど。

最強が見本にされるのは世の常ではある。


だが、後発の攻略組。

パーティー、ギルド幹部はおろかメンバーまでがマルタ印(シスターのギルドで育成された)である事は少なくない。


であれば、一般常識としてシスターとマルタ騎士団の名はランクの上下に受け入れられていた。



ゲーム廃人の一般常識って・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



ともあれ、シスターのまとめる『マルタ騎士団』は初心者サポートだけが目的ではない。


スフィア最大の回復系ボランティアギルド。

僧侶や回復系魔法使いの集まりで、大きなイベントでは『野外病院』を設置する為に出張ってきたりする。

※『野戦病院』と呼ぶとシスターが困った顔をするので皆、呼ばない


『はじまりの街』から西方へすぐ隣がホームタウン。

だが、メンバーが非戦闘職中心。

まとまった戦力が無いことから、暴動にもその後の争乱にもノータッチ。


同じ街のギルドには、回復をマルタ騎士団に任せた、戦闘特化系が多い。


無料奉仕基本の回復支援系PC集団が常駐している特殊な街。

だから、限られたリソースを別方向にさこう、大半のギルド、パーティーが考えるからだ。


そうした戦闘系も、シスターに倣ったために無傷。


「倣った、というより、後方を抑えられているから逆らえないわけですが」


などと感じさせないシスターの人徳。

穿ってみせるニートは異端者だ。



結果。



はじまりの街、デス・ゲーム4日目の朝。

市街戦翌朝。


ヘトヘトに疲れきった千数百の大手ギルドPC、逃げ回る元暴徒、避難民の群れ。


マルタ騎士団(と周辺ギルド)が、おずおずと、皆に回復支援を申し出ながら、乗り込んだ。

名が知られ、信頼が厚く、利害関係がなく、疲れがない実戦力が揃ってる。


「理想的仲介者です」


停戦話はシスターが、医療支援を申し出たところから始まったらしい。


HPは減らないし攻撃によるステータス異常はない。

しかし、MPは減るし疲労は確実にステータスを下げた。


『回復役の皆と割り込んでもいいですか?闘いが続くなら遠慮した方が良いですか?』


「シスターも状況把握してないな」

呼びかけからすればそうだろう。


そう、遠慮がちに尋ねられた当事者達は、諸手を上げて受け入れた。

ヘトヘトで自然休戦状態とはいえ警戒態勢続き。神経が擦り切れる寸前。


『誰も手が出せない』

『手を出せば全員を敵に回す』


シスター達が皆の間を歩き回ることで、やっと休息がとれたのだ。


「救われた思いでしょうね」

「事実、救われたな」


その後、誰も戦闘再開を望まなかった。さっさとホームタウンに帰ったギルドも多かった。


「帰った後で内紛を起こしたギルドが多かったようで」


ストレスマッハに重ねて、万全の状態でもキツい徹夜消耗戦。

勝ち負け不明で山ほどアイテムを失い大損。

誇れず、褒められず、疲労が抜ければ徒労に更に腹が立つ。


ギルド崩壊までいったケースもチラホラ。


「そのあたりを読んだのか察したのか、はじまりの街に居座ったのが26ギルド」

「それはイジワルな見方よ」

ニートをイサミ局長がたしなめた。


まあ、


『はじまりの街の混乱っぷりに放り出す気になれなかった』


のは嘘じゃあるまい。

混乱に拍車を変えたのが自分達となればなおさら。


「ただまあ、残ったギルドからして、互いにしこりどころか恨み骨髄」


事情がわかり、不幸な事故と判明し、だから余計に腹立たしい。

はじまりの街からみて2~3番目までの有力ギルドが揃い踏み。


以遠から参加してしまったギルドは、各々の街では小さなギルドばかりだ。


教都のように、街ぐるみで誰一人参加しなかった(むしろ、はじまりの街から逃げてきたPCを迎え入れていた)場所は他に無いようだが。


「結局、シスターが取り持った、ので和解」

ってより、手打ち。


『はじまりの街』は秩序を取り戻した。




「つまり、これから向かう、はじまりの街は26ギルドの共同管理ということかしら」


イサミ局長が半信半疑。そのギルドたちが共同行動可能に聞こえない。


「いえ」


ニートが『はじまりの街』にPLを置いているギルド複数にあたった結果。


「なにかあれば相談するのはシスター」


まあ、そうなる。

シスターも出来るだけ『はじまりの街』に出るようにしているとか。


「なにかするならギルド『黄金の夜明け』に許可をとるほうが無難なのだそうで」

主導権をシスターと二分しているようだ。



ギルド『黄金の夜明け』。



フミノが凍りつく。


「その夜明けが、あたしらを追っかけて来た奴らだろ?」

「うんえいだーって、言ってたね?」


セイ&トモ。


「フミノさん、すこし休む?」


イサミ局長が確認。フミノ抜きで話を進めるわけにはいかない、が、だからこそ。


「・・・・・・・・・・・・いえ」

「限界を見極める必要がありますから」


ニートがフミノの肩を叩いた。

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