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コミュニケーション・オンライン~コミュ力最強!仮説~  作者: C


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今を確認するためには少し前からふりかえろう!

決まった事。


目的:運営拠点の調査


ホワイトボードに書く女性はギルド『蝦夷共和国』の佐々木組長(見廻組)。



「はじまりの街は今、どうなってるの?知ってる人」


見回すイサミ局長。


「暴動は収まった、と聞いてます」

「正体不明の軍隊が占領したっちゅーで?」

「周りの街に降伏を迫ってるとかとか」


ユーリア、ヨイツ、マサムネ。


「状況不明って訳ね」


と、イサミ。

北と南の攻略圏、その認識に大差なし。


「あたしたちは情報が無いわ」


イサミはギルド『GG』に水を向けた。

黙するD。流し目C。


「センセ」

「せんせ」

「そやね~」


ガス!

C⇒ニート⇒ヨイツ撲殺(今ここ)。

地に臥すヨイツ。話を振られると乗っちゃう病。



「僭越ながら」

ユーリアに睨まれる前にニートが立ち上がる。

「風の噂を」


半分が警戒。

半々分が無表情。

残りが無警戒。


情報量が多いだけの知らせたがりなら、問題ない。

バイアスはあっても意図はない。他の情報源と照らし合わせるか、話のつじつまを考えればバランスをとれる。


危険なのは情報操作。


情報操作は行動操作。

気が付かないうちに、しかるべき感想を持ち、そうあるべき判断に至り、かくのごとく行動する。


「クッションを挟めば『誰に』操られたのかすらわかりません」

お前が言うか?と視線を向けられるニート。


と言っても特別な話ではない。

知る知らぬを利用する。

伝える内容を選別する。

相手が受け入れ易いように整える。

その程度なら、誰でもやるだろう。


だが、それが異常に上手い奴が居るわけで。


「まま、みなさん」

ニタリ顔のニンジャがとりなした。

「センセは正直の斜め下の悪党っすけど、損はさせないっすよ?」

ニンジャ、Cのふざけたフォロー?


呼吸するかのように自然に。


相手の持つ情報と感情の傾向を把握して。

相手の反応を見極めながら情報を与え。

相手自身に予定通りの判断を下させ。

相手を行動に駆り立てる。


「先生は、危険がないバカ以外には損をさせないから安心して」

Dが受ける。


ニートの長い長いゲーム歴。

ゲーム初参加の『蝦夷共和国』は他の古参ゲーマーからいろいろ聞いている。

ゲーム歴こそ程々ながらゲーマーとして経験値が高い『ノルデン』やマサムネは何度かかかわっている。


ニートを憎むプレイヤーは、少なくない。

騙された(と主張する)奴。

嵌められた(と主張する)奴。

利用された挙句殺された(と主張する)奴。

リアルの生活にも支障が出るようになった(どんな?)奴。


「いや、友達いなくなったらしいですよ。よく知りませんがゲームのからむ友達しかいなかったんでしょうね。よく知りませんが」


おぃ。


ニートを嫌うプレイヤーは、多い。

やり方が汚い。

あそこまですることはない。

眼が笑ってないやつは生理的にいや。

などなど。


リアルイベントで吊し上げを喰らったことも(複数回)あるくらいなので相当だ。

(なぜか『予定していたかのように』対応し『被害者の会』を謝罪に追い込んで嗤っていたのが動画サイトで確認されている)


「私は撮影してませんよ?」

「自撮りの趣味ありませんもんね!」

「そーじゃねーだろ」

と、ネコカフェ。


憎まれて嫌われるニート。

だが、この部屋には、いない。

憎む者、嫌う者はいない。


好意的なものばかりではないが、一目置いている、というべきだろう。


・・・・・・苦手にしている者はチラホラ。

(完全に賛同者ばかりだと、賽の目一つで責任者にされてしまうから、よろしくない)

何故か絶妙のバランス。ふしぎだなー(棒)。


アンシンデキルカー!


「おぃ」

青筋を浮かべたセイが立ち上がる。険悪さが広がる。トモが続いた。

「ニートさんをdisるならネコカフェに入ってください!」


天使が通った。いわゆる一つの沈黙。毒気を抜かれた、と言うほうが近いか

トモの中ではニートを罵る権利がギルド特権らしい。


「わたしは信じます」


イサミ局長の一言。


「では」



再開。


はじまりの暴動。

以後そう呼ばれる騒ぎの顛末はフミノが語った通り。


「え?騒ぎ?」


ですませるん?

さすがにヨイツでさえ、それ以上突っ込めず。

ましてや詳細をフミノ本人に聞こうとはしなかった。

ニートは続けた。


この騒ぎに攻略圏は不干渉。

では育成圏にいるロールプレイやコミュニケーション重視のギルド(概ね規模は攻略圏より大きい)彼らは?


「32のギルドに当たりましたが」


ニートの知り合い。

ギルマスかギルドの参謀役ばかりを狙いインタビュー。


「やはり不参加だったそうです」


育成圏は運営が発表を予告した現場に近い。

いずれ聞こえてくる、という予想は攻略圏より強い。

育成圏のモンスターは弱いが、PCのレベルも低く、練度こころもとない。

むしろ事故死の可能性が攻略圏のベテラン勢より高い。

リスク管理は慎重に。

わざわざ出かける危険を冒す必要はない。


「あの時期、ギルドホームに閉じこもっていた、と」


まあ、デス・ゲームに遭遇したPLの一般的行動。


だっけ?うちらフィールドを東奔西走してたよな?

と見上げるセイ&トモ。

「行動は最大の防御」

ネコカフェの一般的行動。


「はじまりの街にはホームないっすね~」


マサムネがため息をつく。

公式ルール。不動産取得ははじまりの街以外。


「運営が呼びかけた説明会。参加者はソロ、パーティー、ホームを持たない小ギルド。かつ初心者ばかりか」

と土方。


皆、ため息。


事件が起これば、とっさにギルマスを見る。

逆上すれば、とっさに仲間が取り押さえる。

一人の感情より組織が優先することが染みついている。

それが大手ギルド。


規模が小さくなれば、組織のルールより友達のノリが強くなる。

一人はみんなのために!みんなは一人のために!

一人の怒りはみんなの怒り!一人の悲しみはみんなの悲しみ!

共感しやすい。ということは暴走しやすい。

しかも初心者多数。

ゲームユーザー全体が未成年や学生が大半、その中から、よりによって集団プレイに不慣れなPLばかり。


「群集心理」


より悪いのは、そんな彼らを集めてしまったコト。

為に、互いが互いに引きずられ、本人たち、一人一人では想像もできないところに『行き着いてしまう』こと。


「最悪の心証でね」


ニートが淡々と続けた意味は、皆わかる。

仲間が死んだ悲しみ、自由を奪われたイラつき、先の見えない不安。


3日間放置。

冷却期間ではなく、加熱加圧加速期間。


デス・ゲーム。


ユーザーが運営を責めるのは自然だ。情として。


「当然とは思いませんが」


半分はニートに同意。それは理性の方。

飛行機が墜落中、目の前のアテンダントを責めてどうする?


そんなキレかけ(控え目な表現)の人々を集めた運営達はユーザー対応の専門家ではなかった。

システム管理の技術屋と労務管理の事務屋。

おまけが未成年中心のテストプレイヤー。

人が集まるリアルイベント運営の経験すらなかっただろう。

必要なのは暴動鎮圧の専門家。


いないが。


それでもマシな方法はあった。

この場にいる大手ギルドのマスターなら、暴動は防ぐ事が出来ただろう。

三桁前後のPLを日常的にまとめる。

同クラスのギルドと共同作戦を指揮する。

それを補佐するスタッフもいる。

リアルのオフイベで100人単位の集まりを体感している。

実力行使にも慣れ、人員も揃っている。


なぜ、そうしなかった。そうしておけば・・・・・・誰も言わなかったが。

皆がフミノを見ないようにする。


「まず、大手ギルドを巻き込むべきでしたね」


皆、フリーズ。言いやがった。


「ギルド上層部を抱き込み、暫定対応に引き込んでしまえば」


誰も死なずにすんだ。殺さずにすんだ。

ゲーム世界の秩序を再編し対応することも可能だった。


理解したフミノが凍りつく。

自分が気づいていれば。自分が考えていれば。自分が伝えていれば。自分がたただただ怯えていたせいで。自分が震えてなにもしなかったから。運営の仲間が殺されて。集まったプレイヤーに殺させて。取り返しがつかないことを。自分なら、プレイヤーの感覚があって、攻略圏も育成圏も知っている、自分が柴田さんに言うべき・・・。

脳裏に門前の光景。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――柴田、サンの、クビ。


ユーリアが鞘走り。

ヨイツが杖を構え。

Dが睨みつけ。

フミノの手が握られた。


ネコが目蓋を開く。


engage!


危機感知スキル持ちの頭に響くAlarm。

反射的に防御態勢。

標的以外から照準をつけられた時にはまず一撃目をしのぐのが定跡。


「ッサン!」

セイがニートを締め上げ皆まで言わせない。

「加減にしろや!」


凶相。マジで殺人5分後。中学生女子なんですよおきゃくさん。


「ニートさん!」


トモが被せる。

危機感知スキル無しの二人はネコの開眼に無反応。


「自分が出来ることは誰でも出来てあたりまえ」


局長の前を塞ぐ土方が目配せ。


「なわけないんです!」


見廻組組長の佐々木が皆に剣や杖を納めさせた。


「なにもかもお任せですからよけーなコト言わないでください!」


微妙な胸を張るトモ。ほぼ、いや、完全に丸投げ。

いいのか、その考え方。


「ハーイ」


手を叩くイサミ局長。


「じゃあ次回は」


次のデス・ゲーム?


「ニートさんを早めに運営さんたちに突き出すことにしましょうね」


ウィンク。女性より母性を感じさせるイサミ局長。


佐々木がホワイトボードに書く。左下に線を引き別枠を設ける細かさ。


次回のデス・ゲームへ向けて方針決定。

毒気を抜かれたユーリア、D。

キャハハハ――――――――――!!!!!!!!!!笑いが止まらないC。

部屋の角で震えるヨイツ。

訳が分からなくなるフミノ。


「続き」

はじまりの暴動が起きた後、何が起きたのか。

とD。


ニートを見た。


ギルド『GG』はゲーム内資産を利用して相当の情報を集めている。

ここにいるギルド全体よりも。おそらくは、ニートに匹敵するくらい。


しかし、やはりニート指名。

視線でCを抑えるD。


(信用してない、っすか)


ヴァーチャルゲーム初参加なギルド『GG』にとって師匠筋のニート。

まあ、『GG』の特殊性に気が付いたニートが様子を見にきて、ギルドマスターのユエと謎の邂逅。ゲームがはじめてな『GG』の面々に「基本的な」ことを教えてくれたのだ。


βテストでニートに散々仕込まれた悪知恵。

そもそもリアルでは普通の同年代より多くの経験を積んでいる『GG』の面々。

それを駆使してなおゲーム本編で出し抜かれた経験。

Dがニートに抱く感情推して知るべし。


ニートの情報を先に吐き出させる。

しかるのち手持ちの情報と比較して、意図を探るつもりの参謀。

内心ため息のC。


(丸投げじゃダメっすか)


どうせ『損にはならない』ならいいじゃないか。

と、Cは判断しているが、親愛なるギルド仲間は割り切る事が出来ないようだ。

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