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コミュニケーション・オンライン~コミュ力最強!仮説~  作者: C


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19/95

長期予報

「オ○ニーどうする?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


野郎同士の猥談なら定番、なのかもしれない。

ひょっとしたら、だが。


だが。別な意味で。


よほどに気心の知れた、友人同士でないと、こんな話題はふらない・・・と推測するのは間違いでは、ないだろう。


考えよう。

コイツはオレのなんだ?

数ヶ月前に一度会った。

だけだ。


「まちいや!毎日話してるやろ!!」

「ガタッさ~~~~ん毎晩でがしょ~~~~~~っす」


バーチャルは会った内に入らん。

「えらいオーソドックスなんやな」

「メッセージが文でトークが携帯ならむしろ親密っす」


毎日目を通していた《報道管制》の執筆者は赤の他人だ。

「なんや」

「フリージャーナリストのサイトっす」

毎日会って言葉を交わしていたが佐々木さんとは友人ではない。

「ダレや」

「やだいけず!・・・4件隣のお婆ちゃんっす」


故に話をすること、文を書き読む事と、人間関係には関係ない。

一度会っただけの親友もいるだろう。

毎日出会う他人は幾らでもいる。

まあ、しかし、知人、とは言える。


「佐々木さんにはお孫さんが二人いるんすよ」

「あそー」

「お嬢さんっす」

「kwsk!」


かも、しれない。


「OLさんと女子校生っす」

「ぬお!校!とな!」

「っすっす!バリバリビッチ!」

「堅いんか軟らかいんか?」

「おねーさんは優等生ってテンプレっす」

「アリだ!」

「じゅんとーにグレた妹さんはあら不思議!多神教神話を極めるビッチ女神に!!」

「な!ナンだってーーーー!!!」

「よい子は真似しちゃダメっすよ~普通は性産業の人型使い切りアイテムとして女体と若さ以外をきれー完全に取り除いてポイッすからね」


・・・・・・・・・他人だ。


「で、今は恋する乙女してるっす」

「なにそのジョブチェンジ!!いや!クラスチェンジか?」

「人生と親子さん以外からも勝ち得た金銭とたゆまぬ努力を費やして、育成された肢体と鍛え抜かれたスキル!愛しの三白眼を昇天させるために――――っす」

「そーいうの僕は好きです!」

「ご実家近くの剣術道場の人体破壊技術継承者に髪先から爪先まで肉体から魂から一撫ででパパ達から寄付された預金の最後の一桁まで捧げて一子相伝を引き受けているっす勝手に」

「・・・お、おぅ」

「書類へのこだわりは無く、ご家族も娘を一睨みで更正させたんだからいいんじゃない?っすね~」

「それ更正?構成ちゃうん?再構成?」


横から、辺りを憚る囁き。


「お知り合いで」

「知らん」


ちょ――――――――――。


独白タイム終了。




いろいろあった。

そして来た。


「北だけに」


北方攻略圏ユグドラシル。


「スルー!!!???? 」


天をつく巨木の麓に建つ半壊した塔状都市。渦巻く嵐に遮られ樹上は望めないが、いずれは解放されるというのが大方の予想だが、イベントトリガーが不明。

運営上の都合、なら、PCは介入出来ない。


今の地下迷宮とてサービス開始一月は発見されていなかった。


厳しい環境演出に大型魔獣の跋扈する北。もともとライトユーザー向けではなく、観光PCも集まらなかった。

ユグドラシル発見後、一時的に注目されたが、なにも見つからない塔内探索に見切りをつけたギルドやパーティーが撤退していった。


大小の魔獣が多くアイテムドロップや採集で実入りが良い南方。

グランドクエストの待つ西方。

リスクが高く、かろうじて経験値が多い程度、北には誰も来ない。


そんな訳ですっかり廃れたユグドラシル塔内。

ロクにアイテムも見つからず、イベントも起きない。

地道に魔獣の掃討を続けていたパーティーが、イベントトリガーを引いた。

底知れぬ地下迷宮の発見。

かくしてゴールドラッシュと言われる北方迷宮攻略が始まった。


そんなこんなは今は昔。


「・・・あれは・・・30日は昔の話じゃ・・・ワシがイケメンでブイブイ言わせとったころ・・・出会ったんじゃ・・・あ」


割愛。


チョーーーー!!!!



春たけなわ。

吹きすさぶ寒風。

「ネタのせっす?」

「ちゃうちゃうちゃうんちゃう!」

北方フィールドは防寒装備をしていないとHPが自然減少する鬼仕様。ハイレベルPCならオートスキルで対抗したり自然回復で埋められるが、初心者は凍死出来る。ヴァーチャルゲームで。


そんなハイレベルが三人。


寒さをものともしない「オシャレは我慢っす」肌色率高めの装飾過多な忍者娘。言わずと知れたC。

関西の一部の方が怒りそうなイントネーションを使うマシュマロマン「ちょー」にしか見えない魔法使いローブの少年はヨイツ。

細身の青年、いや少年か、は現代から見て少し古い(明治風?)軍装に刀。

その土方が客を振り返った。


「あと2~3ヶ月すれば涼しくなるらしい」

「設定ですか」

「NPCの言葉だ」


攻略最前線のギルドではすべてのNPCに定期的インタビューを行っている。気候、風土、産物、事件、噂などなど。

ゲームデザイナーのこだわりだろうが、世界設定はこうした形で提示される。


「ま、実際にはどうなるか・・・グランドクエストの影響で変わるんじゃないか、って読んでるがな」


これまでこうだった、と『世界設定』をPLに刷り込む。準備済みの気候スケジュールは真逆。

『異常』を印象付ける演出。


「・・・コストパフォーマンス最高ですね」


手間のいらないNPC情報にミスリードを仕込み、ゲーム開始前から組み込んでいたスケジュールをイベントに変える。

印象操作で演出するのはスフィアクオリティの特徴だ。


だとすれば。


手間のかかる演出やイベントはゲーム開始前に造り込まれている可能性が高い。

運営がどうあろうと、PCがどうなろうと、PLがどう思おうと。


「デスゲームが起きようと」

「エンディングまで進む可能性が高い」

「調整無しに」


ゲーム内外が隔絶した以上、イベントがPCの手に余るものでも運営の手助けはない。


では。


今、はハードモードかノーマルモードか?


「イージーでしょうね」


共通見解。

十万人突破イベントに邁進した運営が初見殺しを仕込む訳がない。


では、この先は?

デス・ゲームを想定していないオフィシャルのスケジュールはどうなっているのか?


「イージーや」

企業が運営母体である以上、長期化を望むに決まっている。

無理ゲーを楽しむ廃人は極少数。しかも十万人参加を実現するため最近の難易度はほとんど上がらなかった。ヌルゲーに慣れた初心者PLを難易度上昇で挫けさせ、逃がすようなマネはすまい。


「ノーマル」

客を掴み続けるには刺激が必要。平坦=単調=クソゲーム。イベント連発で誘った新規参加は行き着くところまで行き着いた。デス・ゲームがなくとも今後の増加は望めない。

惰性に流れ刺激がなくなればむしろ客は減る。

ゲームの長期化を望めばこそ難易度を上げてくる。


「ハードっす」

十万人突破目的完遂。

客を掴むのはゲームだが、掴み続けるのは企業だ。

一ゲームにこだわる理由はない。

長引かせれば人間関係、プレイスタイル、レベル差等々が固着。固まった世界は排他的。新規ユーザーが消えてコストパフォーマンスが下降線。


「さっさとイかせて風呂敷を畳むのがビジネスモデルっす」

イベントを先鋭化させユーザーを引きずり込む。


「客席すら血飛沫かかかるコロッセオで客が退く前にエンディング」

そして次のゲームを走らせる。

基幹ユーザー用に最小限のゲームは続けて、経営資源は新しいゲームに切り替える。


「エンターテイメントは数っす」

人間は何にでも慣れてしまう。慣れたら終わり。企業にとって『新しい』より楽な対策はない。

だからこそハードモード。

安全圏や育成圏から最前線の死戦血河を眺めるのはさぞ楽しいだろう。


「それに」

おどける忍者。

「レベル格差対策はもう仕込まれてんじゃないすか」


ギルド『GG』。


24時間プレイ、無制限課金、リアルで雇用したテストPCの動員などなど。

想定外のガチガチプレイで攻略を極めたギルド。


それに引きずられ、彼等がクリアした道をたどってレベルが上がった攻略組。


それはゲーム運営上の障害だったろう。

しかし。

十万PL登録目標推進中は動けない。バランス調整は多かれ少なかれ不評を呼ぶからだ。

だから、顧客をくい込んだ後、十万達成後にバランス調整が入る事は予想済み。


「システム構築やデバック期間を考えればアップデートは準備済みでしょう」

調整は最低1ヶ月まえから仕込む。


ゲーマーは苦い顔。

剣士は微かに笑み。

算盤使いは暗黒笑。


「準備済みのアップデートは自動。逃れる方法がない」


運営の機能停止を疑う理由はない。

リトライ確認中ではあるが、システムが止まっている様子はない。

凍りつく、周りが。



激しく寒い、冬が来る。




「オ○ニーどうする?」

※繰り返し

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