第6話
「あー疲れたぁ…」
思いっきりベッドに倒れ込んだ。ふかふかの枕に顔を埋めると、体の力が抜けていくような感覚に襲われる。
このまま眠ってしまいたい…そう思ったのだが。
「疲れましたね」
「そうだなぁー」
「ルーラ先生ってほんと容赦ねぇよなー!」
眠れるわけがなかった。
「何で僕の部屋に皆しているんですかっ!?」
僕は、ここが自分の部屋であるかのようにくつろいでいる3人をじっと見た。
ウィンクは申し訳なさそうにしていたことから、きっとカリスとリスクに連れて来られたのだろう。
カリスとリスクは顔を見合わせると、僕を見て口を揃えた。
「なんとなく」
「なんとなく!?」
僕は2人に迫った。2人は笑いながら手を前に出してなだめようとしてくる。
「まぁまぁ、落ち着いて」
「リスクさんが言うことですかっ!?」
「そうだけど…あんまりカリカリすんなって」
この疲れを短時間で吹き飛ばそうと、仮眠を取ろうと思ったのにこれじゃあ寝れないじゃないか。
僕は眠い目を擦って首を傾げた。
「じゃあ、自分の部屋に戻ってくれる?」
「嫌だ」
即答か…。一方ウィンクは困った様子で立ったり座ったりを繰り返していた。
僕がどれだけ酷い顔をしていたのか、カリスが慌てた様子で顔を覗き込んできた。
「そ、そんなにオレのこと嫌い?」
「うん、嫌い」
僕は眠気からくる苛立ちのせいか突き放すように言ってしまった。
スタッとカリスは立ち上がり、部屋の隅で体育座りをして泣いてしまった。
「えっ…ちょっ…ごめんー!」
「あーあ。始まっちゃった」
リスクが呆れ顔でそう言った。
「えっ…ごめん。僕何かカリス泣かすような悪い事言った…?」
ちゃんと悪い事を自覚しないといけないとは思うが、男の人…しかも21歳の大人を泣かすような事を言った覚えはない。
しかし、冗談ではなくカリスは本気で泣いているようだ。
「あーこいつな。お前が背中に大きな傷を負った事があって。それ以来泣き虫…ってか落ち込みやすくなったんだ。まぁ、今思えば弟が大きな傷を負ったわけだし、分からなくもないんだがな」
そんなことがあったのか。覚えてはいないが、少し責任を感じた。
僕はカリスに近付き、しゃがむとカリスに体を預けた。
「ごめんね。僕、嫌いじゃないよ。今のはちょっと冗談っていうか…笑ってくれると思ったんだ」
「本当に…?」
水色の瞳の周りは、泣いていたからか赤く染まっている。そんな目で見られたら、僕だって…。
「ご、ごめんねぇー!僕、絶対に嫌いなんて言わないから!ごめんね…」
僕はいつの間にかつられて泣いていた。
「もらい泣き!?」
「あの…2人共、大丈夫ですか…?」
僕は手で目の周りをゴシゴシと涙を拭い、ニッと微笑んだ。
カリスも涙を拭って立ち上がると、僕を恐る恐る見てきた。
「ここにいても良い…?」
「はい、もちろん!」
「よし!スリクから許可も降りた事だし、話の続きしようぜ!」
リスクが僕とカリスをテーブルの周りに連れてくると、円になった。
「えっと…言い忘れていた事があるんだけど…。スリクは、選ばれた勇者なんだ」
「選ばれた?勇者?」
僕は唐突の告白に首を傾げた。
いきなり何を言い出すのだろうか。
しかし、カリスの物凄く真剣な顔から、全く冗談ではないと悟る。
僕はなんとなく座り直し、もう1度聞き返した。
ウィンクはどうやら詳しくは知らない様子だったが、カリスとリスクが深くしっかりと頷いた。
「そう、選ばれたんだ。スリクがね」
リスクの言葉にカリスは頷き、しかし段々と顔が暗くなっていった。
「どうしたの?」
心配になりカリスの顔を覗き込むと、唇を噛んでいた。今にも血が出てきそうだ。
咄嗟に肩を掴むと、驚いた顔をしていたがすぐに「悪い」と呟いた。
「選ばれた者が天と地に命を収めると、世界が救われるんだ…。お前は、そういう重大な責任を負わされている…」
僕は驚いて手をブンブンと振った。
「そ、そんなわけないじゃん!こんな子供が、そんな…」
「そう言うと思ったよ」
リスクにそう遮られ、僕は首を傾げた。
そう言うと思ったよ…?
「記憶を無くす前のお前も、同じ事を言ったんだ」
「そして冬の悪魔と戦った時、お前が自分で自分を殺した。そしたら…世界が救われたんだ」
僕は呆然と聞いていた。
そんな、僕なんかが。信じられなかった。でも、信じるしかなかった。今は仲間から提供される情報をただ鵜呑みにする事しか出来ないのだ。
「本当の…事なんだ…」
やっと絞り出せたのは、そんな言葉だった。
読んで下さりありがとうございます!
感想や御指摘ありましたらよろしくお願いします!
今回は短めとなってしまいました…
お話の都合上、ここで切るのがベストかなぁ…と
それが本当に良かったのか悪かったのか分かりませんが…
そして、これからかなり話がややこしくなっていくと思います!(特にスリク)
ですが、出来るだけわかりやすく書きたいと思っているので、これからも読んで頂けると嬉しいです!
次回更新は3/23(日)に出来たらと思っています!
宜しくお願いします!




