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Ambassador rain  作者: 輝ぽてと
第3章 神夢
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第2話



「そういえば!ヤク、あの力を使って下さい!」


 ヤクと呼ばれた少年が、首を左右に振った。


「あれだけは絶対に嫌だ」

「そんな事言わず、お願いします!ヤクの力が必要なんです!」


 ウィンクという少年の必死の頼みにより、ヤクという少年は渋々と頷いた。

 ヤクという少年は僕の方を向き、1度目を閉じると僕の顔をじっと見て、そしてまた目を閉じた。

 すると彼は、目を閉じたままブツブツと何かを呟き出した。


「神と呼ばれる人に会っている…。やらなくてはならないもの?どういうことだ?その後、そいつに記憶を吸い取られて…」


 皆がザッと顔を見合わせた。

 僕には何のことだか全く分からなかったが、恐らく大変な事が起きているのであろうことは多少想像できた。


「あっ…!」


 突然ヤクという少年が頭を抑えて疼くまった。


「どうしましたか!?ヤク!」


 ウィンクという少年が駆け寄り、優しく肩を掴んだ。

 ヤクという少年の息は荒く、手が震えている。


「やめて下さい、ヤク!そこまでにして下さい!」


 堪えきれない様子でウィンクという少年が叫んだ。

 ヤクという少年は何かに怯えているように見える。しかし、彼が何をしているのか、そして何にそんなに怯えているのか僕には全く分からない。

 するといきなり彼の手の震えが止まったかと思うと、眉を潜めて不安そうに目を開けた。


「スリクは…何者…?」


 その言葉に、周りがざわつき始める。

 特に動揺していたのはカリスという青年だった。


「おい、それどういうことだ?スリクは普通の人間だ。何者って…」

「そうじゃない!」

「じゃあどういうことなんだ!?」

「カリスさん、落ち着いてください」


 ウィンクという少年がヤクという少年の肩に掴みかかろうとしているカリスという青年をなだめようとしているが、落ち着きそうにもない。

 何故だか分からないけれど、他人事ではないような気がして間に割って入った。


「あっあのう…。カリス…さん…?」


 僕がそう言うとハッと僕を見て悲しそうな顔をし、1歩下がった。


「そんな…スリクが…。神とは一体…」


 カリスという青年は力無く壁に寄りかかると、そのままずり落ちるように座り込んだ。

 その肩に、優しく手が置かれる。


「スリクに記憶がなかったとしても、最初から教えればいいんじゃないか?」

「リスク…」


 リスクという少年が微笑んだ。そして、右手の親指を立てて突き出して見せた。

 カリスという青年は少し迷ったような顔をしていたが、強く頷くと立ち上がった。


「そういえば、さっきのはなんだ?ヤクのあれ」


 リスクという少年が尋ねると、深く息を吸って心を落ち着かせていたヤクという少年が答えた。


「あぁ…僕の能力は人の過去を見ることなんだ。でも…嫌なんだ。人の過去を見るなんて卑怯だし、怖いんだ。前にウィンクのを見たんだけど、凄く怖かったんだ。その日から、見るのをやめたんだ」

「ウィンクのを…見た?」


 ヤクという少年が頷く。


「それじゃあ、ウィンクがさっき震えていたヤクに『やめて下さい!そこまでにして下さい!』と言っていたのも、スリクの過去が怖いということをヤクが思っていて、それをウィンクが読み取ったから…ってことか」

「はい…」


 リスクという少年の話にウィンクという少年が頷く。

 一体どういう事なのだろうか。それよりもさっきから話に上がっているスリクというのは何のことだろうか?


「あのう…ヤクさん。大丈夫ですか…?」


 ヤクという少年がこちらを向いてニッコリ微笑んだ。僕はひとまず安心した。


「ところで、最初から教えるってどういう意味ですか?」

「ん?あぁ…」


 リスクという少年がウィンクという少年の問いに自分の頭をわしゃわしゃとかき、僕を見てきた。


「えーっと、名前とか分からないなら、全部1からやり直せばいいんだよ。僕等で教えりゃ良いじゃん?」


 その言葉に皆が頷き、僕を見てきた。

 名前しか分からないような、どこの誰だかも分からない人達が、恐らく僕の事について真剣に考えてくれているのだろう。

 それが何故か嬉しくて、自分でも分からないが涙が出てきた。そしてその場にしゃがみ込む。


「なに泣いてるんだ?」


 カリスという青年が僕の頭にポンっと手を置き顔を覗き込むと優しく微笑んだ。


「なんだか…嬉しくて…」


 そう言うと、いきなり吹き出した。


「何言ってんだ!当たり前だろ!オレ達仲間なんだからさ!」

「仲…間…?」


 首を傾げると、リスクという少年が隣から肩を組んできた。


「そうだぜ!僕達、ナイト学園の仲間なんだ!」

「ナイト学園…?」


 2人共力強く、深く頷いた。


「そう、ここはナイト学園!そしてオレ達、仲間だ!」

「詳しい話はまた後で。取り敢えず、スリク…えっと、君の部屋に行って話そう」

「はい!」


 僕は立ち上がり涙を拭うと、皆の後をついていった。



読んで下さりありがとうございました!

投稿時間遅くなってしまいすみませんでした…


前回と今回を1つにして投稿しようと思っていたのですが、あまりにも多いだろうと思い2つに分けました…が、こちらが結構少なくなってしまったかなぁ…と反省中です。

そして記憶喪失という設定のため、「○○という少年」などの表記が多くなってしまいました…すみません。

次回からは、物語の時間設定上、元に戻ると思いますので!


次回更新は3/8(土)に出来たらと思います!

金曜日と土曜日が少し忙しいので、今回くらいの時間に投稿…という形になってしまうかもしれませんが…

宜しくお願いします!

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