第12話
「どうすんだよ!このままじゃ殺されるぞ!」
カリスはそう言って短剣2本を構えるとじっと冬の悪魔を見た。
僕は先程カリスが言っていたことを思い返し、指を鳴らした。
「そうだ!こいつ等本体は弱いんだよね…。じゃあ、武器を壊せば良いじゃん!」
「でも、他にも武器持ってるじゃん」
「そうじゃない。その前に倒すんだよ!」
皆が僕の言葉に頷いた。それぞれに武器を構える。
「行くよ!」
「OK!」
僕は剣先を下にして走り出した。
スライディングの要領で冬の悪魔の足の下を滑り抜けると、背中をとって十字に切りつけた。
冬の悪魔が僕に気を取られている隙にカリスがわざと斧に重い一撃を見舞った。
斧がボロボロに崩れ、他の武器を出そうとしているところを僕がまた後ろから深々と剣を突き刺した。
カリスの言った通り、人自体はあまり強くなく、その場に崩れ落ちた。
ウィンクとヤクも同じような方法で1体を倒していた。
しかし、3体しか見えなかったものの他にもまだまだいるようで、僕達は何度も何度も切りつけた。
そして、僕が1体の敵の背中をとった時だった。
「スリク!後ろ!」
ヤクの声に反応した時にはもう遅く、僕の体は宙を舞っていた。
『ダンッ』
「うっ…」
そして、鈍い音と共に僕は体を木に打ち付けた。頭も打ってしまったのか、目の前がぼやけている。
「スリク!」
カリスがすぐさま駆けつけようとするのを、僕は片手で制した。
「僕は大丈夫…だから…!」
目がチカチカするが、背を切られた時とは違って単純に打ち所が少し悪かっただけだ。
僕に構って皆がやられてしまうなんて…そんなの考えたくもない。
カリスは迷っているような顔をしたが、首を振ると僕に背を向けた。
「分かった。お前はそこで休んでろ」
そして、冬の悪魔へと向かって行った。
小さくも、カリスやウィンク、ヤクが受けた痛みが伝わってくる。何も出来ない自分に腹が立った。
動きたいのに思うように体が動かない。立ち上がるのもまだ無理そうだ。
地面を引っ掻いて何とか立ち上がろうとするも、爪に土が入るだけだった。
「この程度で我等を倒せると思っているのか!」
急に大きな声がしてハッと顔を上げると、大きな音と痛みと共に目の前でカリスとウィンクとヤクが地面に叩きつけられた。
「カリス、ウィン、ヤク!」
返事がない。しかし、多分気絶しているだけだろう。死んでしまったという痛みはない。
「よくもカリス達を…許さない…」
「スリク!前!」
ヤクの言葉に僕は咄嗟に右手を前に出した。
重い金属音が鳴り響く。
僕の手には長剣が握られており、それが敵の斧を防いでいたのだ。
いつの間に握ったのだろう。そもそもいつの間に立ち上がっていたのだろうか。
自分が気付かない無意識の内に戦っていたのか、周りには何人かの冬の悪魔が倒れていた。
「ヤク、ありがとう!ヤク達は大丈夫?」
「微妙。身動きが取れなくて…。でも平気!」
「分かった!そこにいて!」
僕はまだ複数いる敵を見た。
僕が剣を構えると、一斉に襲いかかってきた。
剣で抑えるが、何人もの斧やら剣を片手で抑えられる筈もなく、僕は両手で剣を握った。それでも腕全体が痺れてくる。
このままでは…皆…。
力を維持できる自信がない。しかし、今負けてしまえばカリスやウィンク、ヤクが傷付いてしまう。
それだけは絶対に嫌だ。
前に言っていた、カリスの言葉。
僕は選ばれたんだって。
「お前の魂を天と地に収める…つまり死ぬ事で、この世界を救うことができる…。その人物として、お前が選ばれたんだ」
僕はあの時全く信じなかった。信じたくなかったのもあるけれど、こんな僕がそんな凄い人なわけないって思ってたんだ。
でもね、今なら信じてみたい。
もし本当に僕が選ばれた人じゃなかったとしても、可能性を信じたいって思ってるんだ。
ほら、カリス…そんな目してる。そんな顔されたら、本当にそうだって信じちゃうじゃん。
でも僕、もう決めたんだ。
「これしかない。僕が本当に選ばれたんだったら…本当にそうなら…」
「スリク!やめろ!」
カリスの声が後ろから聞こえる。
僕は後ろを向くことができなかった。こんなに酷い顔が皆への最後の顔だなんて、嫌だもん。
僕は静かに首を振ると、思いっきり剣を前に押し出した。敵が倒れる。
「もうこれ以上、仲間…いや、家族をなくしたくない!だから…だから…!」
僕は剣を自分の胸に向けた。
「スリク!」
「天と地に、命を捧げます。この世界が平和になりますように…」
そして僕は、剣を大きく前に出した。
「みんな…ありがとう…」
剣を自分の胸に深々と突き刺し、最後の力を振り絞って抜いた。
力をなくした僕は、そのまま地に倒れた。
「バカ…」
カリスがそう呟くのが聞こえる。
僕の胸から光の玉が通り抜け、天と地、それぞれに吸い込まれていった。
「スリクの…バカ…」
光の殆ど入らない目には、どんどん消えていく冬の悪魔が映っていた。
それは1つ1つが透明なガラスのようで、とても綺麗だった。
僕の目からは涙が流れていた。
それが痛みのためか別れのためか、もう僕には考えられなかった。
この世界は救われる。
また…会う日が来るまで…。
読んで下さりありがとうございました!
時間遅くなってしまいすみません…
物凄く終わりそうな雰囲気ですが終わりません←
むしろまだまだこれからでございます←
活動報告にてちょっとした制作時の小話を…
次回更新は3/2(日)に出来たらと思っています!
宜しくお願いします!




