第11話
ブンッという風の音と強い衝撃が体の奥まで伝わってくる。
ヤクのおかげで身構えていたので、素早く逃げることが出来た。
「あの人は一体何者!?」
「このかっこいい僕が知るわけないだろ!」
「僕も知りません」
森を奥へ奥へと逃げながらそう話していると、ふとカリスが口を開いた。
「冬の悪魔。冬に生まれ、冬が終わると発動する。ロボットではないが、普通の人
間でもない。悪魔として作られた人間なんだ」
「人間!?」
僕達は顔を見合わせた。
あれが自分達と同じ人間だとは思えない。体が大きすぎるだとか、そういう意味ではない。
雰囲気というか、何から何まで自分達とは違った空気なのだ。
しかしカリスが言った普通の人間ではないという言葉に少し引っかかった。
つまりは、人間の生身を使った人造人間…とでも表現すれば良いのだろうか。
「因みに、基本的には普通の人間だからな、体は。あの武器が強いってだけで、人自体は弱い」
僕達は走りながら後ろを向いた。敵の手には大きな斧が握られている。
しかし、大きいというだけで普通の斧だ。見た目は普通に僕達が木を切るために使う物と何ら変わらないように見える。
「ですが、カリスさんがそう言うのでしたらそうなのかもしれません…。カリスさんは実際に彼等に操られていたのですから、色々と知っているはずです」
僕は驚いてカリスを見た。カリスは申し訳なさそうに小さく頷く。
そうか、だからあの時僕を襲ってきたんだ。冬の悪魔に操られていたから。
「今は春の悪魔となる者が生まれている。そして夏、発動するんだ」
「それを止めることは出来ないの?」
「今の所分からない」
僕は唇を噛んだ。
これは、ナイト学園に戻ったら調べる必要がありそうだ。
そんな事を考えていると、目の前に氷のような、ガラスのような板があった。奥の方は斜面になっている。
「何するんでしょうか…」
僕は板をクルクルと回しながら四方八方から見回した。
そして、良い事を思いつく。
「わぁー!これってもしかしてボブスレーみたいなやつかな!?」
皆が一斉に僕を見てきた。
あれ、もしかして良い事ではなかった…?
「え、な、何…?何か悪い事言った…?」
僕がそう言って少し後ずさると、カリスが氷の板を見た。
「いや、お前は悪い事は言ってない。その通りかもしれないって思っただけだ」
そして氷の板に手を掛ける。
「行くって事か…」
ヤクが軽く溜め息をついてまだ置いてある板を手に持った。
「行きましょう」
僕達は氷の板に乗り、坂を下りた。
僕とウィンクはソリの要領で、カリスとヤクはスノーボードの要領でそれぞれ下りていった。
徐々に上がっていくスピードに疾走感を感じながらも、段々とある予感が頭をよぎっていく。
「ねぇ…これってどうやって止めるの?」
「あ…」
皆も特に何も策はないようで一瞬動きが止まる。
「おいおいおい、もうすぐ下に着く。どうすれば…」
カリスがそう言って頭を抱える。
足を地面に付けて減速しようとするも、下も氷なので滑ってしまう。カリス達もスノーボードを止めるように後ろに体重をかけるが、板が削れていくだけだった。
その間にも坂の終わりが近付いている。
僕はバランスを崩しそうになりながらも板の上に立ち、タイミングを見て飛び上がった。一回転して着地する。
「皆大丈夫?」
「なっなんとか…」
皆頭なり腕なりをさすりながら立ち上がった。
「後ろからどんどん来ますよ!冬の悪魔が!」
「そうだった!」
僕達はまた走った。休憩などしていられない。
こんな足元ツルツルするところで戦うなんて大変すぎる。
しかし、やっと土が見えてきたというところで、僕達は足を止めた。
「氷の…池?」
目の前には、表面が固まって氷になってしまった池があった。
渡れるかどうか、試しに氷の上に乗ってみた。
「割れな…」
『パリパリパリ…』
「やっぱり割れるよー!」
僕はすぐさま飛び退き、カリス達がいるところへと戻った。
「ジャンッ!」
「バカか」
カリスにバカとか言われると少し腹立つが、そんな事で腹を立てている暇はない。
「ふ…冬の悪魔が…」
バッと池の方を見ると、パッと数えるだけでも3人はいるであろう冬の悪魔がそこに立っていた。
読んでいただきありがとうございました!
この能天気さは一体何なのでしょうか。
…って前にも言った気がします←
ノートを確認する分には、多分ここからは能天気モードもなくなるかと思われますがどうなるか…
次回更新は2/27(木)に出来ればと思っています!
宜しくお願いします!




