第9話
カリスの目が見開かれ、瞳の色が濃い藍色へと変わった。
僕はまたカリスが操られてしまうのではないかと思い身構えたが、短剣を抜いて僕を背に寄せてくれた事から大丈夫そうだと悟った。
「『あれ』って…どう考えても人じゃん。『あの人』が正しいと…」
気が動転しているのか、今重要ではないどうでもいいことを指摘しだすヤク。
「あれ…」
「また『あれ』かよ…。だから『あの人』だって何度」
「違います!あの人が持ってるあれ!」
またどうでもいいことを指摘しだしたヤクに間髪入れずに現実を見せるウィンク。
僕もその言葉に黒衣の人の手を見ると、そこには僕の身長くらいある剣を持っていた。
大剣と一言で片付けるには大きすぎる。しかし黒衣の人には長剣程度にしかなっていなかった。
僕達がそいつを人かどうか悩む1つの要因でもあった。
「それにしてもこの状況はまずいな。ラルさんとミカリさんを何とかしなければ!2人ではとても倒せる相手ではなさそうだよ!」
冷静を取り戻してきたのか、ヤクがそう言って長剣を構えた。
「こっちに来るように出来れば良いのですが…」
「よし!僕に任せて!」
ヤクは剣を下に構えると思いっきり地を蹴った。
次の瞬間、ヤクの体はそこにはなく、ラル達のいる向こう岸にその姿はあった。
「しゅ、瞬間移動!?」
「うん、瞬間移動!」
その場で剣を一振り二振りさせ敵の注意を自分に向けさせると、また地を蹴ってこちら側へと戻ってきた。
気配を感じたのか敵がこちらを向き近付いてくる。
「こっちに来ちゃったよー!」
「こっちに来させたんだろ!」
僕がそう言って走ろうとすると、皆に後ろから叩かれた。
「うっ…皆怖いよぉ…」
抑制に耐えきれずに半ベソでカリスのお腹をドスドス叩くと、頭をぽんぽんと優しく触られた。
「ごめんごめん。はいはい、もう泣かない」
(全く…世話が焼ける奴だ)
「カリスさん、スリクが可哀想でしょう…?」
「なっ!?」
急なウィンクの言葉にカリスがうろたえる。
僕は何のことだかさっぱり分からずに2人を見つめた。
「お見通しですよ、これくらい。スリク、カリスさんが『全く…世話が焼ける奴だ』…だそうですよ」
僕は額がピクピクと動いているような感覚になりながらカリスを睨んだ。
「カリス…?僕を怒らせたいのかな…?」
ニッコリと微笑みながら手を強く握り締める。
「ス、スリク…?お、おい!ウィンク!お前!」
慌て始めるカリスにウィンクはニコリと笑った。
「僕の能力はその人の思っている事が自然と分かってしまうものです。そう思ったのが悪いんでしょう」
「カーリースー?」
「ヤク様!」
僕が詰め寄ると、カリスは顔ごと目線を逸らしてヤクを見た。
「しーらなーい!あははは」
ヤクはそう言って回れ右をした。
「そんな事言っている場合!?どんどん近付いているわよ!」
そんな呑気な事をしていた僕達にラルの怒号が飛ぶ。
「あー!!」
『ガキィン』
黒衣の人の振り回した剣が僕達の近くにあった岩に当たった。
僕は驚いてその場に頭を抱えて疼くまってしまった。ちらりと上を見た時には、剣が迫ってきていた。
『ガキィン』
剣と剣が重なり合い、重く甲高い音が響き渡った。
「このバカ!油断してんじゃねーよ!」
バッと顔を上げると、目の前にはカリスがいた。
カリスが僕の前に立ち、剣を受け止めていたのだ。
「…ありがと」
僕は呟いて立ち上がると、剣を構えた。
「僕達が、相手になってやる!」
読んで下さりありがとうございました!
遅くなってしまいすみません…
1人危ない状態の人がいて、さらに敵がいるというのにこの呑気さはほんと何なんですかね←
ですが前の方の話を少し変えすぎて、スリクのイメージをちゃんと表せてないような気がしたので、このままここは変更なしで書きました。
実はナイト学園の生徒はこれよりももっと酷い呑気を発動してたんですよ、ノートの方では←
次回更新は2/21(金)に出来ればと思っています!
宜しくお願いします!




