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Ambassador rain  作者: 輝ぽてと
第2章 冬の悪魔
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第5話


(カリス視点)


 自分がどうなってしまったのか分からない。何も思い出せなかった。

 目の前に、会いたくて会いたくてしょうがなかったはずのスリクが血まみれになって倒れている。

 周りを見渡しても敵はいない。

 何より、スリクの腹に深々と刺さっているオレの短剣が現実を突きつけていた。

 オレが…スリクを傷付けたのか…?


「カリスって言いましたね。酷いじゃないですか!酷い以上ですよ!何を考えているんですか!?仲間をこんな目に合わせるなんて!」


 今まで気付かなかったが、スリクの近くにいたらしいウィンクが涙目になりながらオレを睨みつけていた。

 オレはウィンクを見て自分がどうなってしまったのかも全て思い出した。


「冬の…悪魔…」

「今、何て…?」


 頭の中をぐちゃぐちゃと掻き回されているようだ。まるでそれを拒んでいるかのように。

 オレは、自分に言い聞かせるようにもう1度呟いた。


「冬の悪魔…。冬の悪魔が…オレを…」


 ウィンクが訝しげに俺を見ているのが分かる。

 俺だって思い出したとはいえまだ混乱しているんだ。この世界に来てから今の今までの記憶がすっぽりなくなっていたのだから。

 しかし今は深く考えている暇はない。まずはスリクを何とかしないと。

 まだ生きているのだから。

 オレは何枚か重ねて着ていた服を1枚脱ぎ、スリクの腹に刺さっている短剣をゆっくりと抜いた。そしてすぐに先程脱いだ服で止血する。

 完璧に出来ているわけではないが、こうするしかない。

 オレはスリクを背におぶると、まだオレを不審な目で見ているウィンクに向き合った。


「病院に案内してくれないか。又はピアノがあるところ」

「ピアノがあるところと病院ってかなり違うと思うのですが…」

「近い方、どっちでもいい」


 ウィンクは「ついてきて下さい」と言うと急ぎ気味で…しかしスリクの傷を心配してかゆっくりと歩き出した。

 住宅街から逆方向、草原をさらに進んでいく。


「ここです」


 急に立ち止まったかと思うと、小さな家を指差した。

 この家の周りの草だけ綺麗に刈られており、所々に花が植わっている。

 家に入ると所々に机と椅子が置いてあり、どうやらカフェかレストランのようだ。


「ウィンクおかえり。あれ?クアンは見つかったの?」


 ふと家の奥から1人の少年が顔を出した。15才から17才くらいに見える。

 その少年はオレの背にいるスリクを見ると目を見開き、すぐにベッドを持ってきてくれた。


「悪いな…」

「全然。まだ開店前だから大丈夫」


 やはりカフェやレストランのようだ。

 オレはベッドにスリクを寝かせ、タオルを何枚か借りて止血しているオレの服と取り替えた。


「ちょっと待ってて。今お医者さんを呼ぶから」


 そう言って家の奥に行きそうになった少年を引き止めた。


「あ、いや。そこのピアノを貸してくれないか」

「え、あ、どうぞ」


 オレは礼を言うと椅子に座り、深呼吸をして鍵盤に手を置いた。


「よし」


 気合を入れ、心に従って指を動かす。

 優しい音が家中に響き渡った。



読んでいただきありがとうございました!

感想や御指摘ありましたらよろしくお願いします!


更新遅くなってしまいすみませんでした。

昨日は妹にPC乗っ取られてしまってました…

すみません。


今回は、初めての視点変更です!

カリスです!

自分でノートに書いている方では、最初の頃はあまりなかったものの、何回も視点変更してるので、昔に比べたら主人公以外のキャラになりきるのは慣れたものです←

次回はスリクに視点がまたまた変わります!


次回更新は2/6(木)にできたらと思っています!

宜しくお願いします!


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