第3話
市場の通りを抜け、広い草原に出た時だった。
やはり後をつけられているように感じ、後ろを振り向く。どうやら気のせいではなかったようだ。
いつの間にか男達に囲まれていた。10人はいると思われる。いきなりウィンクが叫んだ。
「スリーワンド!」
その言葉には憎しみがこもっているように感じた。
「ス…スリーワンド?」
僕がそう聞くと、ウィンクは男達を見ながら頷いた。
そんな人…というかグループが小説に出てきただろうか。僕の記憶にはない。
しかし、こいつらが小説に出てきてようが出てきてまいが危機的状況なのには変わりない。
ウィンクは剣を鞘に刺したまま柄をぎゅっと握った。
「僕の父と母を殺したグループです」
僕は思わず息を呑んだ。
そうか、だからあんな言い方をしたのか。
ウィンクの言葉に男達は高らかに笑った。
「あの時は残念だったなぁウィンク。さぁ、その魂の玉を渡してもらおうか」
「これは僕の物だ!お前達の物ではない。そして、お前達の手に渡ることはない!」
ウィンクはそう言うと剣を抜いた。どうやら戦うつもりのようだ。確かにこいつらがこのまま僕達を返してくれるとは思えない。
それにしてもこの魂の玉…ウィンクにとって大切な物だということは分かる。勿論ウィンクのお父さんとお母さんの魂が宿っているわけだから。
しかし何故こいつらが…?殺したグループとはいえ、魂の玉を欲しがる理由がよく分からない。
それは僕だから…ということだろうか。ウィンクやスリーワンドというグループにはこの魂の玉の万人的な価値が分かるというのだろうか。
「後で後悔するんだな」
スリーワンドはそう言うと剣を構えてそのまま突っ込んできた。
僕も腰から剣を抜こうと…って、あれ?ない?
もしかして向こうの世界にあるんじゃ…。
「おりゃあ!」
「え、ちょ、まっ ー 」
僕は前から来た敵を間一髪のところで飛び退き間合いを取った。
流石に生身で剣とは戦えない。
僕は急に動いたため乱れた息を整えた。
「そんな余裕はないんじゃないか?」
ガラガラな低い声が耳元で聞こえ、僕は思わず後ろを振り返った。
「っ!」
「スリク!」
僕はスリーワンドに捕まってしまった。後ろから体をがっしりと固定され、首筋には短剣が突きつけられる。
そして、僕に気を取られてしまったウィンクが剣を弾き飛ばされた。
「こいつを殺されたくなければそれを渡すんだなウィンク」
スリーワンドがニヤリと笑う。
ウィンクが唇を噛み、魂の玉を取り出そうとする。
「…死にたくない」
自然とそう呟いていた。
「死にたくない!こんなところで死んでたまるか!」
僕は頭を思い切り後ろに倒し、それは敵の鳩尾にヒットした。
敵が痛がっているすきに敵の手から抜け出し、先程弾き飛ばされたウィンクの剣を取ると構えた。
「けれど、お前達にウィンクの大切なものを渡すつもりもない!」
僕はそう言って敵に突っ込んだ。
目の前にいる敵を一気に横一線に切りつけ、振り返る時の体重移動を利用して後ろに回り込んできた敵を袈裟懸けに切った。
頬に血が飛び散る。袖口でそれを拭うと、ジッと先程僕を捕まえてきたリーダーらしき男を見た。
「ここで死ぬか、それとももう2度と狙わないと誓って生き延びるか…好きな方を選びなよ」
僕はそう言って微笑んだ。
「ハッ。言ってくれる」
『カキンッ』
敵は怯む様子もなく切りかかってきた。それを剣で受け流す。
僕は自然と体が反応していた。驚きはしたけれど、なんとなく分かっていた。
会いたい人がいる。…そう、僕はまだカリスに会えていない。ナイト学園に一緒に帰るんだ。だから絶対に、こんなところで死ぬわけにはいかない。
そんな思いが僕の体を動かしているのだろう。
もっと早く。敵より先に間合いへ。
気が付けば、そこにはもう僕とウィンクしかいなかった。
息が上がっている。
「凄いですね…」
ウィンクがぽつりとそう呟いた。
僕はウィンクを見て微笑むと言った。
「守りたい人がいるから…会いたい人がいるから…ここで死んだら2度と会えないと思うから…。そのために僕は戦うんだ」
今日で11才になった僕の心は、ほんの少しだけ強くなったような、そんな気がした。
読んで下さりありがとうございました!
予告より遅くなってしまいすみませんでした。
冬の悪魔って何ぞやって感じですよね。
まだ出て来てないじゃないか…と。
スリーワンドとかいう意味わからないものは出てきましたね。
誰かネーミングセンス下さい←
次回更新は、私情(試験があります…)により2週間投稿をお休みさせていただきます。
なので、1/28(火)に更新できれば…と思っています。
宜しくお願いします。




