表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ambassador rain  作者: 輝ぽてと
第2章 冬の悪魔
10/31

第2話


 鈍い音と共に痛んだ背中に目を開けた。目に映るのは透き通った空にぽっかりと浮かんだ雲のみ。

 僕は場所を把握するために立ち上がった。


「ここは…?」


 しかし、全く見たことなの無い風景に言葉をなくす。

 周りには白い塗り壁にレンガの屋根というなんとも可愛らしい建物が並び、目の前には大きな噴水があった。道もレンガで舗装されている。とてもオシャレな街並みだ。

 こんな状況じゃなければ、是非観光に来たいものだ。

 それにしても、一体これはどういう事だろうか。さっきまでカリスの部屋にいたというのに。

 …そうだカリス!彼はどこにいるのだろう。

 ふと噴水の向こう側に人影が見えた。カリスだろうか。

 僕はゆっくりと反対側へと回った。


「ウィンk ー 」


 思わず「ウィンクだ!」と言ってしまいそうになった言葉をすんでのところで飲み込んだ。

 人影の正体はウィンクだった。

 小説でも今さっきやろうとしていたゲームでも見ているため僕にとっては知り合いも同然だが、ウィンクにとって僕は見知らぬ人だ。それなのにいきなり馴れ馴れしく話しかけるなんて出来ない。


「?」


 ウィンクは僕を訝しげにじっと見てきた。

 まぁ…ウィンクからしたら、自分の名前を呼ばれたかもしれないわけだし。それなのに急に呼ぶのをやめた…変な人とでも思っているのかもしれない。


「どちら様ですか?」


 この先どうしようとあたふたしていた僕にウィンクが急に話かけてきた。


「え、僕?僕はスリク・ルナンス。君は?」


 僕はウィンクの名前を知っていたが、一応初対面ということになっているので無礼だろうと思い、聞いた。


「僕はウィンク・スノーレイです」


 そう言って礼儀正しく頭を下げた。

 小説の通りだ。目の前にあのウィンクがいると思うと興奮してしまった。


「じゃあ、ウィンって呼ぶね!」


 ついそんなことを言ってしまうと、ウィンクは深く溜め息をついた。


「初対面でそれですか。クアンと似ていますね。なんかあなたといると疲れそうです」


 僕はその言葉に一気に突き落とされたような気分になった。


「そんなに僕のこと嫌い?」


 泣きそうになりながらそう尋ねると、またもやウィンクは溜め息をついた。

 確かに急にあんなことを言った僕が悪かったのだが。


「嫌いじゃありませんけど…。そういえば、クアンという少年を見ませんでしたか?」


 今さっき、背中が痛いことから恐らく上から落ちてきたのであろう僕にそんなの分かるわけがない。

 それとも、ウィンクは僕の事をこの街の住人だとでも思っているのだろうか。

 しかし僕は気にしても意味がないと思い、考えないことにした。


「見てないよ。僕、今さっきこの街に来たんだ。それこそ、赤い髪でポニーテールしてる男の人見なかった?」


 僕がそう言うとウィンクはしばらく考えていたが、やがて首を横に振った。


「見てないですね…。探すの含めて、この街を案内しましょう」

「ほんとに!?」


 僕は嬉しくなってその場で飛び跳ねた。

 噴水のあるこの広場から北への通路は賑やかな市場の通りになっていた。そこでは僕達の世界と同じような…というか全く同じ食べ物などが売っていた。

 やはりゲームの中といえども作っているのは同じ世界の人間なのだから、中の食料なども同じなのだろうか。

 僕達は街の中を歩き回りながら自分や家族の事を話していた。

 ウィンクは1人っ子で16才だった。ウィンクの両親はウィンクが5才の時に亡くなってしまい、ウィンクが持っている青い玉の中に魂が宿っているらしい。

 …というのは小説ではあまり触れていなかったため僕も知らなかった。ゲームでは自分の年齢を入れるため、その分小説でもあまり重要視されていなかったのかもしれない。

 僕は聞いていて自然と涙が流れていた。

 僕にはお父さんもお母さんもいるが、僕がナイト学園にいる以上会えても1ヶ月に1回だ。それだけでも寂しいというのに、もう一生会えないなんて。


「大丈夫ですよ。僕にはクアンやヤクがいますので…。とはいっても、2人とも凄く手がかかりますが」


 少し怒り気味で溜め息をつくウィンクに僕は面白くなって思わず笑ってしまった。

 目が覚めたら知らない街、しかもカリスもいない。そんな中で僕は凄く不安を感じていた。

 しかしこうしてウィンクと話していることで、その不安も少しずつなくなっていた。


「なんだか、初対面なのに1度どこかで会ったことがあるような気がします」


 ふとウィンクがそう呟いた。

 僕は驚いてウィンクを見た。僕も同じ気持ちだったのだ。

 勿論小説を読んでいるからとかそういったのもあるかもしれないが、そんなんじゃない。


「うん。僕もそんな気がする」


 僕はクスリと笑った。それにつられてか、ウィンクも笑う。

 しかしこの時僕は嫌な気配を感じていた。

 誰かに後をつけられているような、そんな気配だ。

 後ろを向くが誰もいない。

 僕の思い過ごしだろうか。




読んでいただきありがとうございました!

予告よりかなり遅くなってしまいすみません。


ゲームの中の世界…という設定は苦手だしあまり好きではないのですが、こういう物語にしてしまった昔の自分を恨むわけにもいきませんし、変えるわけにもいかないので頭をフル回転させて書いてます(笑

ここからは1話の量がかなりガタガタに変化してくかもしれません…


次回投稿は1/11(土)8:00に予約投稿できたらと思っています。

それ以上過ぎてしまったらすみません…

宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ