4 召喚失敗と約束?
話してから、恐る恐るといった感じでこちらを伺うブルー。
「信じてもらえますか?」
多分、おれは苦虫を噛み潰したような顔をしていただろう。
「うにゃ」
猫の鳴き声がしておれは、リュウセイとユウに触られるがままのチビを見た。
「あの猫……チビだっけ? あれをみたら、ここは違う世界だって思うからまあ、信じるかな」
あと、昨日この目の前のブルーが見せた光るドア。あの時は必死過ぎて驚く暇もなかったが、やっぱり普通ではない。
「ありがとうございます」
ブルーはホッとした表情になった。
「めちゃくちゃ気になるから聞くけど、チビって猫?」
「チビは妖精なんです」
「妖精……」
「わたしは魔法を生業にしていまして、チビとは気が合って一緒にいます」
チビの話しをするブルーはニコニコで、嬉しそうなんだよな。まあ、わかる。かわいいもん。
にしても妖精とか、魔法とか……ここは地球とは違う世界なんだな。
そういえば。
「おれの髪や目が変化したのってここ違う世界だから?」
「いえ……それは正直なところ私にも分かりません」
「そっか……」
うーん。じゃあ、なんでだろう? ちょっと変わったとかじゃないレベルなんだよな……でもまあ、体調も悪くないし、今は考えないでいいか。他に考えることが多すぎる。ーーそうだ、さっき目の前の男が『地球』って言ったよな?
「あのさ。さっき地球って言ってたけど、なんで知ってるの?」
「そうですね……簡単に言うと、地球とヘルクスは所々で繋がっていまして」
「繋がってる……て、行き来ができるってこと?」
「条件が揃えば、行き来はできるんです。稀に自然災害が起きて空間が繋がる場合もありますね」
……なんか理解に苦しむけど、話が進まないから進めよう。
「じゃあ、よんだっていうのは、どういうこと?」
「突拍子もない話に聞こえると思うのですが……『神子』という存在と関係しています」
「みこ?」
「はい。神子はこの世界を守っている、と言われています」
「……どうゆうこと?」
「神子は世界の穢れを浄化する存在だとされているんです」
「けがれ……」
なんか抽象的な話すぎてよく分からない。
「穢れが溜まると魔物や災害が増え、人々の暮らしが平穏ではなくなります」
「へいおんではなくなる……」
「はい」
うん、わかんない。みこって神様みたいもの?
少なくとも、おれの知ってる『巫女』さんとかとは違うみたいだ。
「今、神子っているんだろ? その人はどうしてるの?」
「実は長らく神子がいない状態なんです」
「え、それじゃあ、良くないってことだよな」
「はい。良くはないですね。それで、昨日、神子を決める召還の儀がありました」
「昨日……それって」
「はい。アオバくん達を喚んだこと。あれが召還の儀でした」
「あ、あれが?」
「はい。召還の儀から喚ばれた方が神子になります」
「……え? てことは……?」
おれとリュウセイやユウが、みこってやつ? いやいや、そんなばかな……。
ブルーは、動揺しているであろうおれを見て、慌てた様子で口を開いた。
「あ、いえ! ほ、本来なら神子候補の中から選ばれた者が『神子』として召喚されるんです。ですので、正直に言いますが、アオバくんたちが召還されたことが……分からないんです」
「……」
「神子候補以外の方が召還されたのは……恐らく、初めてじゃないでしょうか」
ブルーは続けた。
「理由はわかりません。ただ、私の魔法が未熟で……」
そのまま黙り込んだブルーに聞く。
「なに?」
「……し、失敗してしまったのかもしれません。本来は、喚ばれないはずの3人が、喚ばれてしまった……」
すみません……と消え入りそうな声。ブルーはどんどん俯いていく。
おれは、なにもかもが全くもって分からない。ただ、目の前で勝手に小さくなっていく男の姿に、ムカついてきてしまったのだ。
「こっちむけ」
項垂れて座るブルーに近づき、奴の襟元を掴んだ。顔を上げさせ、灰色の目を睨みつける。
「落ち込むのあとでいいから、おれたちがどうすれば帰れるか、考えろ!」
おれの大声にリュウセイとユウが目を丸くしてこちらを見た。チビの耳がピッと立ち上がっている。
「返事は?」
「……はい」
ブルーは、涙目でなんとか頷いてくれた。
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