38 再会のパーティとカマード博士
城の広いバルコニーでリュウセイとユウとの再会を祝うパーティーが開かれた。
パーティーといっても、リュウセイとユウ、ブルー、チビ、タングステン、ヒノコ、スーイのメンバーだ。
大きなテーブルには沢山の食べ物が並んでいる。タングステンが「好きなものをどんどん食べろ」と言うと、真っ先にヒノコがうごいて、お皿に果物をのせて食べ始めた。
「何食べたい?」
お皿を持って立っている兄弟に聞く。
「ハンバーグと、ごはん」
「ユウくんも」
食べ物を取ってあげて一緒にテーブルについた。
しばらく食事をしていると、タングステンがやってきて席に座った。
「チビが、ヘルクスと地球の狭間に留めていたというのは本当か?」
タングステンが言うと、リュウセイが何でもないように頷いた。
「そうだよ。小さいチビがぼくたちに、一緒に待とうねって。それで、眠くなって寝ちゃって……。起きたらアオバにいちゃんやブルーさんがいじめられてて……」
「ふむ」
タングステンが顎に手をあてて考え込む。
「お前たち、あの女とは知り合いなのか?」
「女って、フォッシルウッドのこと? もちろん知ってるよ。ぼくたちのこと作ったのはフォッシルウッドだもん」
あっけらかんと言うリュウセイ。
ん? 作った、とは……?
「作ったってどういうこと?」
「どういうこと……って、なにが?」
おれが聞くと不思議そうに質問を返されてしまう。
「こ、言葉通りなんだけど……」
リュウセイとユウはますますハテナ顔だ。
「おれたちは妖精なんだよ」
……ん?
「よ、妖精って…」
「フォッシルウッドが作ったんだ」
え。ってことは人間でもないってこと?
「で、でも、おれたち、こっちに来る前に横断歩道ですれ違ったよな? 地球にいたんじゃないの?」
「ううん、いないよ」
リュウセイが何でもないように言い、「ないよー」とユウがにっこりと同意した。
いないって……。
仲良く横断歩道を渡ってた。その姿がほほ笑ましくて、おれは振り返って……。
ーーもしかして、おれは幻を見てた?
「……だから、チビがふたりのことを気にかけていたんですね」
いつの間にか、近くに来ていたブルーが会話に加わる。
「同じ妖精同士、なにか思う所があったんでしょうか」
「みゃ」
ブルーの隣でチビがひと鳴きする。
「チビ!」
「チビー」
兄弟はすぐにチビにくっついた。笑顔全開のリュウセイとユウを見ていたら、人間じゃなかったことなんか、些細に思えてきた。
「ーーしかし、フォッシルウッドの名前がここに出てくるとはな」
タングステンが呟きに、ブルーが続けた。
「ああ。けれどーーであるならば、先生の力を持ってしても、リュウセイくんたちの正体を見抜けなかったことも頷ける」
その時だった。
ふいに、バルコニーの上空が歪んみ、にゅっと白い服の男がーー。
「ワタシもパーティに参加してもよろしいかね!」
急に出てきた!?
「カ、カマード博士……!」
ブルーは驚きの声を上げながら、おれの前に出た。タングステンとスーイがそれに続く。
ブ、ブルーたちの知り合い!? ーーいや、それにしては警戒、してる?
「そう! ワタシはカマードという者だ。以後、お見知りおきを」
カマードと名乗った男の人は、宙に浮きながら、おれたちを見下ろして芝居がかった様子で深々と頭を下げた。
「おお!」
顔を上げたその人が、はっきりとおれを見た。深くなった笑顔にどきりとする。
「君がアオバくんか! 話は聞いてるよ」
「は、話……?」
なんだろう。笑顔ではあるんだけど、妙に威圧感を感じる。
「そうさ。君の不思議な光の話も全部ねえ!」
「え……」
「正直に言うと、私はそれよりも気になることがあってね」
「え?」
「ストーップ! 博士! アオバがびっくりしてるじゃん」
ヒノコがおれに飛びついた。ばさりとピーも現れて、頭上で羽ばたく。
「ヒノコ、警戒する必要はないよ」
カマード博士が諭すように言った。とすっと地面に降り立ち、近くにあった椅子に座る。
「フォッシルウッドの話しをしにきたんだ」
「ーー興味深い。ぜひ聞かせてもらおうか。カマード博士」
タングステンが前に進み出た。
「タングステン。もちろんさ」
「フォッシルウッドとは幼馴染でね。昔から個性的な子ではあったけど、ここまでじゃなかったなぁ」
カマード博士は足を組み空を見上げた。そしてゆっくり顔を戻し、前をみた。
「召喚の儀に細工をしたのはフォッシルウッドだとワタシは思っている」
細工……?
「貴方は……」
ブルーが固い声で呟いた。
「なぜ、そう思うんですか?」
「実は……なんでそんなことを思ったのかは、ワタシもわからないんだよね〜、まいったねえ」
全然困っていない様子でケタケタと笑う。
何なんだ、この人……。ちょっと怖いかも。
「……カマード博士。もう夜だ。今夜はここに泊まっていかないか」
「おお、いいのかい?」
カマード博士はタングステンの誘いに嬉しそうに頷いた。
「うん。護衛は多い方がいいだろうね。ーーヒノコ、そうしよう」
「やった」
ヒノコは跳び上がった。
ーーん? 護衛?
「なあ、さっき護衛って」
「ああ、言ったよ。君の護衛だ」
おれの呟きに、カマード博士が当然と言わんばかりに応えた。
「おれ…?」
ヒノコが続けた。
「そうだよ、またフォッシルウッドが来たら大変でしょ。今日はおれが一緒に寝るから大丈夫!」
そのまま、ヒノコに強く抱きしめられた。
「く、苦しっ」
「ぼくもアオバにいちゃんと寝る!」
「ユウくんも!」
ヒノコに続いて、リュウセイとユウもおれに飛びついた。
「ちょっ、一度はなれろってーー」
パチン。
何かがはじける音がして顔を上げる。
自分よりも大きなものに抱きしめられてる!?
「ワタシと一緒に寝よう、アオバくん!」
カマード博士!?
「な、なんで……!?」
いつの間にかおれはカマード博士に抱きしめられていた。
「光る力についても観察できるしねえ」
ニヤリと笑った顔がおれを見下ろす。
「博士! ダメに決まってるだろ!」
「「アオバにいちゃん!」」
ヒノコと兄弟は俺が抜けたことで、3人で抱き合う形になりながら、こちらを睨みつけていた。
「は、博士、アオバくんから離れてください!」
「…アオバをはなせ」
ブルーとスーイが固い声て言った。
「皆さん、お怒りかな?」
カマード博士は笑いを含んだ言葉を発するばかりだ。
この人、一体どうゆうつもりなんだ?!
「とにかく、離せって!」
おれは椅子に座るカマード博士の膝に抱えられた(いわゆるお姫様抱っこである!)状態から、抜け出すために身体をよじった。
「ーー冗談だ」
カマード博士は意外にも、丁寧におれを床に下ろした。そして何事もなかったかのように立ち上がる。
「さて。タングステン、ワタシの部屋はどこかな?」
「……やれやれ、貴様。大概にしておけよ」
タングステンが深いため息をつき、カマード博士を連れてバルコニーから出て行った。
結局、おれはブルーとチビ、兄弟2人と同じ部屋になった。
ヒノコは随分と文句を言っていて、なだめるのに大変だった……。
読んでくださり誠にありがとうございます!
面白かった。続きが気になるかも。また読みたい。
と思っていただけましたら、
下にある☆☆☆☆☆マークのところから、物語への応援お願いできればと思います。
正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもしていただけると、本当にうれしいです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。




