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【完結保証】帰りたいけど帰れない!? 〜残念魔法使いと巨大な猫と小さな兄弟と平凡なおれの異世界ライフ〜  作者: 小野しば


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34 襲撃と侵入者

 ……もしかしなくても、幽霊だったり? いやいやそんなバカな……。


 繰り返す思考に思いを馳せていたらいつの間にかスーイが戻ってきていた。


「…何かあった?」

「……何でもない」


 口に出してしまうこと自体、ちょっと怖くなり、おれはそう返した。

 ーーうん。きっと気のせいだ……!


「もう用はすんだ?」

「…うん。…そろそろ帰ろうかと思うけど、いい?」

「もちろんーーて、そうだ。スーイ、トゥビット先生って知ってる? 神殿に先生の部屋があるはず無んだけど、今いるかな?」


 いたら挨拶したいなあと軽い気持ちで聞いてみた。


「…知ってるもなにも…もちろん知ってるよ」


 驚いた様に言うスーイ。


「えっと、やっぱり相当有名な人なの?」


 確か相談役をしてるって話てたよな。


「…というか、召喚の儀の前任者だし、神子の選定の責任者のひとり」

「そ、そんな有名な人だったんだ」

「…トゥビット様は今はいないって」


 さ、様付け?

 トゥビット先生って…まじで偉い人なんだ。


「そ、そっか」

「…用事?」

「いや、いるんなら挨拶でもしようかなって……それだけだから大丈夫」

「…ふーん」


 そんな話をしながら、おれたちは来た時と同じ様に海の中の神殿から地上へ出た。






 轟音と衝撃。それは突然だった。


「!?」

「…っ!!!」


 ちょうど海の中から出たとき、それはおきた。


「じ、地震?!」


 しかし、日本にいた時に幾度と感じた地面のゆれとは違ったように思えた。

 再び轟音と衝撃が走る。おれたちはちょうど小さな港にいて、周囲の人達にも動揺した空気が流れた。


「…あれは」


 頭を上げて空を見るスーイにつられて、おれも頭上を見上げた。薄っすらだが、空に透明な膜が張られているのが見えた。まるで大きなシャボン玉の様なーー。


 轟音とともに、シャボン玉が大きく揺れて見えた。


「…外から攻撃を受けてる」

「こ、攻撃って……ーー」


 非日常の言葉に呆気に取られたように動けない。

 横を見ると、スーイが指を輪っかにして小さく何かを呟いた。チャポンと指の輪の間に水が張られたのが見えた。それをのぞき込み、スーイが呟いた。


「…コウモリと…………女の人……?」

「コウモリ?」


 おれはスーイが見つめる視線の先にある空を見た。

 言われてみれば豆粒くらいにしか見えなかった影に、大きな羽が生えているような……?

 そのうえに更に小さな豆粒がたしかに見えた。と思った瞬間、その小さな影の上に何かの塊が現れそれがだんだんと大きくなっていった。


「なんだ……?!」


 思わず呟いたその時、それが空中に投げられた。


「うわっ……っ!?」


 透明の膜が轟音をたてながら波打つ。


「…アオバ、城に戻るよ」

「え?」


 スーイがおれの手を握り走りだす。

 その間にも打撃音は止んでおらず、更に大きくなっていく。


 ふと、再び空を見上げた時ーー何かがおれを見た、と感じた。



※ ※ ※



 独特の感覚にスーイは眉間にしわを寄せた。

 悪意……ではない何か。それがスーイを襲った。


 アオバが目的だと、なぜか確信した。


 スーイはアオバの手を強く握り走り出した。


 轟音が鳴り続ける中、スーイはアオバの手を引いて走る。城前広場が遠目に見えてきた時だった。鳴り続けていた轟音がピタリと止む。


 ーーおかしい。


 そう思った瞬間、悪寒がスーイの全身を襲った。最悪の視線を感じた方向を仰ぎ見ると、上空の相手もピタリと止まっていた。


「スーイ?」


 後ろからアオバの不安そうな声が届いた。






「力を圧縮させろ!」


 水の国の上空。巨大な蝙蝠は無闇矢鱈に力をぶつけるフォッシルウッドに怒鳴った。


「一点集中で膜を破れ!」

「それいいね」


 フォッシルウッドは応え、動きを止めた。同時に彼女の中を何かが駆け巡った。


 下にいる。


 ふと目を地上に向けると、鮮やかな緑色が光って見えた。


「ーーーーあの子」


 フォッシルウッドは頭上に細長い針のような石を作り出す。そのまま膜に向かって放つと、轟音と同時にガラスが割れるような音が響いた。膜には人が一人分通れるくらいの穴が空いていた。


「捕まってろ」


 蝙蝠はフォッシルウッドを背に乗せたまま体を縮こませると、一気に穴を通り膜の内側に侵入する。

 フォッシルウッドが確信に満ちた声で言った。


「このまま真下に進んで」

「ーーいいんだな?」


 蝙蝠は背にのるフォッシルウッドを見やり言った。


「ええ」


 その応えに蝙蝠は前を向き直り、真下に向かったその時。

 目の前の空間が大きくゆがみ、巨大な赤い鳥に乗ったヒノコが現れた。


「強引過ぎない?」

「お前、人のこと言える?」


 急に現れたヒノコに、フォッシルウッドは驚きもせず返した。

 ヒノコは笑った。


「おれはいいの」


 フォッシルウッドは無言でその笑顔を見つめていた。


読んでくださり誠にありがとうございます!


面白かった。続きが気になるかも。また読みたい。


と思っていただけましたら、


下にある☆☆☆☆☆マークのところから、物語への応援お願いできればと思います。


正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもしていただけると、本当にうれしいです。


どうぞ、よろしくお願いいたします。

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