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【完結保証】帰りたいけど帰れない!? 〜残念魔法使いと巨大な猫と小さな兄弟と平凡なおれの異世界ライフ〜  作者: 小野しば


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28 4人の旅とブルーの父

 ラネムまでの旅は順調に続いた。


 あ、ただひとつ。ヒノコが初めて食事当番をした時は大変だった。


 アイツ、当番を決める時に何も言わなかったから料理はできるものだとばかり思ってたけど……。


 ヒノコが、「ごはんね」といって果物をそのまんま出してきた時は驚いた。よくよく聞くと、包丁も持ったことがないし、味付けとか料理のことも全く知らなかったみたいだ。

 その日はおれとブルーも加わり一緒に料理をすることになったけど……。


 結局、食事当番としては、おれ、3人、ブルーという持ち回りになった。


 ちなみにブルーは料理上手で、おれたちが「おいしい!」を連発していると、ブルーは恥ずかしそうに笑っていた

 思い返すと、おれやリュウセイとユウに初めて朝ごはんを用意してくれた時、何かと手際が良かったもんな。






 夜。いつものように移動式神殿車の前で焚き火を囲み夕食をとっていた。


「なんとか明日にはラネムに着きそうですね〜」


 ライさんが大きめに切った肉と野菜の串焼きを一口食べてから言った。


 そう、ついに明日にはラネムに到着するという。長いようで短かったキャンピングカー(移動式神殿車)暮らしも明日でおしまいというわけだ。


「これもライさんのおかげです。本当にありがとうございました」


 ブルーが食事の手を止めて改まった。おれもあわてて「ありがとうございます」と続ける。

 ライさんはにっこりした。


「いえ〜。ボクも楽しかったですし」


 ほ、ほんとにこの人いい人だ……!


 隣に座って野菜の串焼きを食べながらヒノコがうれしそうにいった。


「おれも料理できるようになった!」

「そうだな、包丁使えるようになったよな」


 ヒノコなりに料理を頑張って、何もできない状態から、野菜や肉やらを少し切ったりはできるようになったのだ。うん。それだけでもすごいよな。






 食事も終わり各自で休んでいると、ライさんが口を開いた。


「…あの〜、突然で恐れ入りますが、ブルーさんのお父様って地球飛行士だったりします?」

「えっ」


 ブルーは目を見開いた。


「そ、そうでしたけど……なぜご存知で……」

「やっぱり!」


 ライさんは嬉しそうだ。


「わ、私、話しましたっけ?」

「いえ〜。実は僕、子どものころに地球に飛ばされたことがあったんです〜。その時は地球飛行士に見つけてもらって戻って来れたのですが……」


 ライさんは懐かしそうに微笑んだ。

     

 ーー今の、何気にすごい発言だぞ。ライさんは地球に行ったことがあるってことだよな?


「助けてくれた地球飛行士の方が、ブルーさんとそっくりだったので、もしかしたらお父様なのかなと思いまして」

「父と…」

「はい〜。やっぱりブルーさんのお父様が……」


 ライさんはすごく嬉しそうだ。


「実は温泉の休憩室でブルーさんを見た時びっくりしたんです。それで気になって……お困りの様子だったし、思いきってお声がけさせてもらったんです〜」

「そ、そうだったんですね」


 ブルーのお父さんが地球飛行士だったなんて!

 ん? そういや、前に神殿の食堂で地球飛行士の話が出たときは何も言っていなかったな⋯⋯。


「あのときは、お父様には本当にお世話になりました〜」

「いえ……でも、自分が助けた子が立派な神官になっているなんて聞いたら、父も喜びます」

「いやぁ、そんな…」


 ライさんが顔を赤らめた。


「お父様には、ぜひお礼をお伝えください〜」

「もちろんです」


 ブルーが頷いた。


「ーーにしても、ライさんはが地球に行ったことがあったなんてびっくりです! ……もしかしたら、おれとすれ違ってたりしたのかな」

「僕が地球に飛ばされたのは小さい頃でしたので、アオバくんはまだ生まれていなかったかもしれませんね〜。それに……実はブルーさんのお父様以外のことはあんまり記憶に残っていないんですよ~」

「そっか⋯」

「なんだかすみません〜」

「いえ、そんな。でも、そっか。ライさんにとってはブルーのお父さんってヒーローだったんだな」

「えっ?」


 ブルーは驚いた顔だったが、ライさんは大真面目に頷いた。


「そうなんです〜!」

「ブルーのお父さん、すごいじゃん」

「そ、そうですかね?」


 ブルーは歯切れ悪く笑っている。照れてるのかな?


「え、なんの話? お父さんって?」


 離れた所でピーと遊んでいたヒノコが話に混じる。


「ち、父の話はもういいんです! それよりもヒノコさん、昨夜も私の頭を蹴ってましたよ! 今夜で最後なんですから、もう蹴らないでくださいね!」


 急に自分に話の矛先が向いて、目を丸くするヒノコ。


 それから、いつもの⋯⋯でも明日で終わる、そんな賑やかな夜が過ぎていった。






 次の日。

 予定通りラネムに到着した。ブルーが話していた転送地点はラネムの街に入る前の外れにある。

 おれたちは街に入る前に転送地点の近くまで送ってもらった。


「また、会えるときを楽しみにしています〜。僕に何か用がありましたら、神殿に問い合わせてくださいね〜」


 ライさんは笑顔でそういった。ほんとに最後までいい人だった。おれたちは、再会の約束をして別れた。


 転送地点は、林の中の小さな沼のほとりにあった。何もないような空間だった所に、ブルーが杖を取り出して何かを呟くと沼の一部が光り出す。


「良かった⋯⋯まだ動きました」


 ブルーはホッとしたように呟く。


「み、水の中!?」


 というおれの呟きに、ヒノコが続いた。


「へぇ〜、こっから飛ぶの?」

「はい。問題なく水の国へ飛べそうです」


 覚悟はしてたけど、また飛ぶのか⋯! 

 あの感覚は慣れないんだよなあ⋯⋯仕方ないけど。


「じゃー、おれ帰る」

「えっ⋯」


 そうだ。ヒノコは帰り道が途中まで同じってことでついて来たんだった。

 おれはここでお別れとは思っていなくてドキリとした。


「ヒノコさん。この門はピーも通れますよ。だから気にせずに…」

「んー、ちょっとめんどうなヤツいるし」


 ヒノコがブルーの言葉にかぶせるように呟く。


「え?」


 次の瞬間、ヒノコの背後にピーが現れた。それと同時にヒノコが鷹の背に飛び乗る。


「料理、楽しかった!」


 それからヒノコの青い目がおれを見た。


「またねー!」


 ヒノコを乗せたピーは、あっという間に空へと消えていった。


「か、勝手なやつ⋯」

「あはは⋯⋯」


 おれとブルーは呆れて笑うしかなかった。

 ライさんとヒノコとピーも去り、2人と一匹になったおれたちは、沼の転移門をくぐり水の国へ飛んだ。


読んでくださり誠にありがとうございます!


面白かった。続きが気になるかも。また読みたい。


と思っていただけましたら、

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正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもしていただけると、本当にうれしいです。


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